ルリアと同じ部屋
三日目、馬車に乗り込み旅が始まる。
シアとは何もやましい事は無かったと、ルリアとリーザさんに理解してもらえた。
何も無かったと言ってもシアの変化を女子二人は敏感に感じ取ってはいるようだが。
ルリアが俺の顔を見て大きく、やれやれと言った表情で大きくため息を吐く。
「はあ、期待してたのにやっぱりラムさんはヘタレなんですね」
「誰がヘタレだ」
「だって、二日間もこんな美人達と部屋を一緒にして二人共に、何もしないなんて信じられませんよ!」
ルリアがしらけた目で見てきた。
「まあ、今日は私がラムさんと一緒の部屋ですけど、この分なら心配は要りませんねー」
俺が意味深の笑みをルリアに向ける。
「あ!シア!ラムさんがエロい目で見てきますよ!私の身が危ない!」
ルリアがシアに抱きつく。
「ルリア、もしかしてリーザさんやシアと何も起こせなかった俺が、ルリアに対して何か起こすと思っている様に聞こえるんだが?」
「そうですけど・・・」
「じゃあ、ルリアはリーザさんやシアより自分の方が魅力的で、俺が手を出してしまうと考えているんだな」
「・・・う。シアー!ラムさんが意地悪するんですよ!」
シアに抱きついて泣く真似をするルリア。
ふ・・・、いつもやられてばかりだと思うなよ。
「ちょっとラムさん、ルリアに意地悪しないで下さい!」
「そうよ!なんでルリアにそんな事言うのよ!」
「ひどいですー」
リーザさんとシアから責められる。
く・・・なぜちょっと反撃しただけでこんなに言われるんだ。
ルリアを見るとシアにくっつきながら俺の事をニヤリと笑っていた。
ルリア、覚えていろよ!
道がずっと真っ直ぐに続きゆっくりとした時間が流れる。
馬車から見える景色はどこまでも緑の草原が続き、柔らかな風が馬車を通り抜ける。
しばらく進むと青い麦畑と黄色い麦畑が交互に続く光景に変わる。
風が吹くと麦が揺れてまるで水面が波打つ様な光景になる。
「もうすぐ、昼の休憩の村に着きますよ」
休憩で寄った村は小麦の生産で有名な村らしく、人口も多いようで規模的には町と言ってもいいくらいの大きさがあった。
ただ農業が中心の村らしく、観光や貿易の起点になるような場所ではないので、町の中はほとんどが民家で商業施設は少ない。
村には王国の騎士団が常駐する数少ない村となっていて、それだけこの村の重要性が窺える。
この辺りは魔物の生息数も少なく、強い魔物も居ないため農業が発展したそうだ。
村を中心に広大な穀倉地帯が広がっていて、この辺りで王国の小麦の生産の半分以上を担っている。
買い物と小休憩を終えて馬車に乗り込むと、俺の隣にシアが座る。
旅が始まってから何となく、最初に座った場所に皆が座っていたのでちょっと違和感がある。
リーザさんはシアが俺の隣に座ったのでルリアの隣に座る。
先程の村で買ったパンはいつもよりちょっと美味しい気がする。
パンには野菜が挟まっている野菜サンドだった。
野菜が好きなルリアには大好評だった。
腹も膨れた午後、真っ直ぐな道を進めば眠くなってくる。
「ふぁーあ」
俺が大きな欠伸をするとシアがツンツンと俺の膝を突っつく。
シアの方を見ると、俺の方は見ないで自分の膝を指差している。
今日はお言葉に甘えてシアの膝でお昼寝させてもらった。
三日目の宿場町に無事に着いてモッチの薦める宿に泊まる。
今日はルリアと一緒の部屋だ。
食事を終えて部屋に二人っきりだ。
「ねー、ラムさん、変な事しないでくだいよ」
「ああ、今日は耐えれる自信がある!」
「なんでそんなに力強く断言するんですか!あんなにメイド服で興奮していたくせに!」
ルリアが頬を膨らませる。
「ルリアは可愛いと思うよ」
「へ!」
俺のさらっと言った言葉に驚きと戸惑いを見せる。
「いきなり、愛の告白なんてラムさん、やりますね!」
「愛の告白ではない」
「じゃあ、遊びだったんですか!ひどいですー」
「ルリアのメイド服姿は可愛いと思うし、今後も着て欲しいがそれと好きは違う」
「いや、そんなに真面目に答えられると逆に悲しくなりますよ・・・」
ルリアの垂れ下がってるうさみみが更に垂れ下がった気がした。
「そろそろ寝るか」
「そうですね」
ルリアがいきなり服を脱ぎ始める。
たまに練習している時にルリアが服を脱ぐことはあるが、なかなか慣れずに毎回ドキッとする。
ルリアが下着姿になると薄いピンクがかった肌が露わになる。
いつもの様に胸には晒しを巻いていて少し膨らみが分かる。
ボクサータイプのパンツからは引き締まって健康的な足がすらりと伸びる。
鞄からピンク色のワンピースのパジャマを取りだし着替えおえた。
「じゃあ、おやすみなさーい」
ルリアは着替え終えると幸せそうにベッドに潜り込む。
今まで我慢出来ると思っていたが、目の前で下着姿の生着替えを見せられたらそりゃ興奮する!
くそ、今の行動もルリアにからかわれているんじゃないかと疑ってしまう。
「くー、くー」
ちょっと目を離した隙にルリアは無邪気な寝顔で眠っていた。
先程のルリアの下着姿をなんとか頭から振り払って、俺も着替を済ませて灯りを消してベッドに入る。
「とう!」
ルリアが寝言を言ってベッドの上で暴れて布団を蹴飛ばして、ベッドから落ちそうになっていた。
しかたがないのでルリアの蹴飛ばした布団を直してやろうと、起き上がり布団に手を伸ばすと、手首をガシッと掴まれる。
ルリアが目をパチッと開けてルリアと目があった瞬間俺の体は、地面に倒れていた。
ルリアは俺を投げ飛ばした後、なに事も無かったようにベッドに戻るとすぐに寝息をたて始める。
「・・・寝よ」
もう絶対に寝ているルリアには近づかないと、心に決めてベッドに戻って意識を手放した。
「ぐふぉ!!!」
いきなり腹の上に凄い衝撃を受けて慌てて飛び起きる。
「ラムさん、朝ですよ!おはようございます!」
俺の腹の上に満面の笑みのルリアが座っている。
「おい、もうちょっと優しく起こしてくれよ・・・」
「えー、うちの実家では、朝の起こし方はこれなんですけどねー?」
「どんな、実家だよ・・・」
確かに一発で起きれたけど朝から心臓に悪いよ。