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ルリアのおへそ

 領主からお呼びが掛かった訳だが、サラダ会長の事前の話の通り御用契約に関わる話ではないだろうか。

トールさんや、リーザさんに話を受けるべきか相談したが、受ける選択肢しかないそうだ。

ギルドマスターもしたくないし、領主との契約もしたくない。

はあー、何かどんどんしがらみが増えていくな。




 ルリアの胸目掛けてナイフを突き出す。

ナイフが当たる寸前でルリアが体を捻ってかわすと、かわした勢いを利用して俺の脇腹に木剣が当てられる。

今日は領主に呼ばれている日だ。

最近の朝の日課になっているルリアとの鍛練で汗を流していた。

俺から一本取って笑顔を見せるルリア。


「どうですか!私もまだまだやれますね!」

「流石だよ、未だに一回も勝てないよ」


 俺もルリアと朝、一緒に汗を流す事によりナイフスキルの習熟度が上がって、体の動きは良くなっている筈なのだが、未だにルリアにクリーンヒットする事が出来ない。


「私も大分片腕の動きに慣れて来ましたからね。でもラムさんの上達は驚異的ですよ!いつもヒヤッとさせられます。なんかずるいですー!」


 ルリアが腰に手を当てて頬を膨らませて睨みを利かせるが、うさみみ効果もあってその仕草が可愛くてしょうがない。


「それを言ったらルリアだってどんどん上達してるじゃないか」

「私は昔に一生懸命練習した感覚を取り戻しているだけなんですー!ラムさんみたいにずるしてないですから」


 苦笑いを浮かべながら、もう一度構えてルリアに斬りかかっていく。

その後も何回か挑戦したが全部負けてしまった。


「ラム、ルリア、朝ごはん出来るからそろそろ切り上げて」


 シアが呼びに来たので練習を終えて、汗で濡れたシャツを脱いで水で濡らしたタオルで体を拭く。

最近、筋肉がついてきて結構良い体になってきている。

特に筋トレをしている訳ではないので、たぶんスキルやレベルの補正的な力が働いているんだと思う。


「あー、私も体拭きたいです」


 ルリアがおもむろにシャツを脱ぎ出す。

もちろん胸には晒しを巻いているのだがルリアの少し桃色がかった肌色のお腹や肩が露わになる。

ルリアの体は無駄な贅肉など一切ないが、だからと言って筋肉隆々と言うわけでもなく、女性らしさを残して美しい。


「やっぱり、練習の後って気持ちがいいですねー」


 濡れたタオルで気持ち良さそうに汗を拭くルリアを目に焼き付ける。

細いお腹に可愛いいおへそがついていて、胸は晒しを巻いていてよく分からんが膨らみは分かる。

肌はスベスベで触ったら気持ち良いんだろうな。


「あ!」


 ルリアが俺の視線に気付いて大きな声で部屋に入って行く。


「シアー!ラムさんがまたいやらしい目で見てきますよ!」

「え!ルリア!なんて格好してるのよ!早く服着てきて!」

「えー、まだ暑いですよ」

「良いから服着て!」


 今回もルリアが俺をからかおうとしたが、逆にルリアがシアに怒られる羽目になった。

俺は良いものが見れてラッキーだったな。

鼻唄混じりで部屋に入るとシアが仁王立ちしている。


「へ、シア・・・」

「今日は朝ごはん抜き!」

「えーーーー!」


 シアに睨みつけられて、項垂れて返事をした。

まー、最後はちゃんと朝ごはんをくれたけどね。




 今日は前ギルドマスターのリーザさんと行政館に来ている。

行政館は騎士団の本部の横にある。

煉瓦作りの大きくてしっかりした建物だが、門は常時解放されていて多くの人が申請やら納税に訪れていた。

俺達も受け付けを済ませてロビーで待っている。

リーザさんはもうガチガチに緊張していてさっきからずっと俺の腕を掴んでいる。


「ラムさん、私が付いてますから大丈夫ですよ」


 リーザさんが優しい笑顔で声を掛けてくれるが、俺の腕を掴む手により一層力が入る。


「ラムザール殿こちらにどうぞ」

「ひゃい!さあ、ラムさん行きますよ」


 カチカチのリーザさんと一緒に行政館の二階一番奥の部屋に案内される。

部屋の前にも係りの人が立っていて、その人の指示に従う様に言われ、二階まで案内してくれた人は戻って行く。

リーザさんと無言で扉の前で待つことしばし、扉が開いて商人風の男が出ていく。


「ラムザール殿お進み下さい」


 係りに促されて部屋に入ると机とソファーとテーブルが置いてあり、机で書き物をしている男が顔を上げる。

年齢は二十代くらいの整った顔立ちの男性だ。

偉いの人にしては若いし部屋も思ったほど豪華じゃない。


「ラムザール殿ですね」

「はい、錬金術ギルド、ギルドマスター代理ラムザールと申します」

「元ギルドマスターのリーザです。」


 リーザさんと共に男に深々と頭を下げる。


「秘書官スイートデイズです。そちらにお座り下さい」


 促されてソファーに腰を下ろす。

若いと思ったら秘書官の様で、よく見たら奥に続く扉があるわ。

この部屋は待合室であの奥に偉い人が居るんだろう。


「長官とお会いになる前に私から今回、お呼びした件を説明させて頂きます。まずラムザール殿の錬金術ギルドをベルクド領の正式な認定ギルドと認める事が決まりました。これから選考された理由を説明致します」


 秘書官スイートの説明によると、前回のゴブリン討伐時のポーション納品の品質が高かった事。

俺がドラゴンもどき討伐の時に功績を挙げた事。

大きいのが石鹸を開発し今後ベルクドの観光産業に大きな貢献が予想される。

御用契約を結んでいる商会と錬金術ギルドで、強固な関係を築く事で安定性を図る目的もある。

この町にあるもう一つの錬金術ギルドがギルドマスター不祥事で交代になっていて、貴族の面子的にもノットギルドを御用達には出来ない。

あとサラダ会長の推薦やエクストラポーションの実績、そして領主が石鹸を大変気に入っていてすんなり御用契約が決まったそうだ。


 一通り話が終わった頃に奥の扉から女性が出てきて、軽く会釈をして退出していった。


「それではラムザール殿、長官室に案内致します」


 長官室は待ち合い室と違いガラスの窓から光が射し明るい。

床には全面赤い絨毯がひかれ、部屋自体もすごく広い。

正面のとても大きな机の向こうに立派な髭を蓄えた、ナイスミドルが座っている。


「長官ラムザール殿をお連れ致しました」


 大きな机の前に進み挨拶をして頭を下げる。


「キャップ・ラベルだ」

 

 落ち着いた声色で行政館の長官が名乗る。

 

「若いとは聞いていたが、想像以上に若くて少し驚いているよ」

「私の様な若輩者にこの様な大役を仰せつかり、身の引き締まる思いです」

「まあ、若くても優秀な者は多い。ラムザール、期待しているぞ」


 その後もしばし雑談が続き、話が一区切りついた所で長官は一枚の紙を取りだし読み上げる。


「領主ベルクドイニングの名において、ラムザール錬金術ギルドをベルクド領の正式な錬金術ギルドと認める。今後、領命あるときは速やかに協力するように」

「畏まりました。慎んでお受け致します」


 立派な紙に書かれた御用契約書を恭しく受けとる。

紙と共に立派な箱も渡された。




「は~あ!緊張しましたね」


 領館を出てカチカチに固まっていたリーザさんがいつもの笑顔を取り戻した。


「それにしてもラムさん凄いですね!まったく緊張しないで長官と話していてビックリしましたよ!」

「ははは」


 緊張てのは自分を良く見せたいて気持ちが緊張を生む。

俺はギルドマスターを辞めても良いと思ってるし、御用契約もどうでも良い。

つまり、失敗してもしなくも良いと思っている。

いや、成功、失敗って概念すらない持ってないから緊張しようがない。

 

 「もう凄く格好良かったですよ!」

 

 リーザさんが腕に抱きついて来る。

先程の少し腕を触る感じでなく恋人同士の様に腕にぶら下がる。

ああ、リーザさん、ふわふわの胸が当たってますよ! 


「へへへ・・・!!!」


 リーザさんの胸の感触を楽しんでいて俺はここで真理に気づく。

違う当たってるんじゃない!

当てているんだ!

普通に考えれば自分の胸が相手に当たって気付かない筈がないじゃないか。

好意を持った相手に対して女性が取る作戦か。

ならば素直に作戦に引っ掛かろうではないか。


「へへへ」

「ラムさん、ギルドに戻る前に食事して帰りましょうよ」

「へへへ、でもリーザさんまだ昼には早いですよ」

「だって昨日はルリアとお昼ご飯食べて来たって聞きましたよ」


 リーザさんがさらに腕に強く、くっついて来る。

俺は腕に全神経が集中する。


「へへへ、そうですね。食べて行きましょうか」

「私、行きたいお店があるんです」


 リーザさんが花咲く笑顔で俺の手を引っ張って行く。

陽の下でリーザさんの笑顔をみるとドキドキが止まらない。



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