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三人のメイド服とラビダルポーション

試験終わりました!

勉強したのに出来ませんでしたが・・・

 シアとリーザさんからは冷めたい視線を浴びせられ、ルリアには爆笑されて、それでも俺はルリアにメイド服を着て欲しい!


「もー。ラムさんが最初から素直に言ってくれれば、こんな意地悪しなかったんですよ。じゃあ、私はこのメイド服にしますね」


 顔を上げてルリアを見ると、無邪気な笑顔が天使の微笑みに見えた。

 

「ルリア、ありがとう!」


 メイド服をリーザさんも欲しがったので、三人分購入した。

早く着たところが見てみたくて、気持ちが早ってしまう。

シアの冷たい視線がさらに冷ややかになっているが・・・気にしない!


「ちょっと、ラム、恥ずかしいから、そのニヤケ顔どうにかならないの?」

「え、そうか?俺、ニヤケてるか?」

「さっきから、口元がだらしなく緩みぱなしだよ!」


 シアにそう言われても、引き締めても口元が緩んでしまってしょうがない。

とにかく!早く家に帰って着て欲しい!

急いで歓迎会用にルリアの好きな食材を買って家に帰る。

ルリアが好きな食べ物は野菜と果物。


 家に着いて料理を作る前に三人に二階でメイド服に着替えてもらった。

先ず始めに二階から着替えて降りてきたのがルリアだ。


「お待たせしましたー!じゃーん!どうですか!」


 ルリアは一階に降りてくると、その場でくるっと一回してみせる。

買ったメイド服は黒い半袖シャツに黒いロングスカート。

その上に白いエプロンを着けるシックな感じだ。

シックなメイド服なので一見重くなりそうだが、ルリアのピンクの髪とうさみみが良い感じに甘さを加えていて可愛い。


「ルリア!最高だよ!うさみみとメイド服は最高の相性だな!」

「ははは!そんなに喜んで貰えて良かったですよ」


 続いてシアが睨みつけながら降りてくる。


「着たわよ!何でこんな服を着て欲しいのよ。もー。男ってこれだから嫌なのよ」

 

 シアの華奢な感じがメイド服によって強調されて凄く良い!


「ラム!何とか言いなさいよ!着てあげたわよ!」

「凄く可愛いよ!」

「へ・・・」


 シアは下を向いて顔を真っ赤にする。


「そう・・・、そうかな・・・そう、可愛いならまた着てもいいけど・・・」


 金髪にメイド服が合わないなんて筈が無い!

俺の中では金髪=メイド服と言ってもいいくらいだ。

ただ二人に共通して言える事はあまりエロさは無い。

たぶん日本で見ていたメイド服は、エロくデフォルメされていて、そのイメージが俺には強かった。

ただ、このシックな感じのメイド服もたまらん!


「すみません。お待たせしました。ちょっとキツくてなかなか着れなくて」


 最後にリーザさんが登場したのだが・・・。

なんと言うか・・・。

三人共に背丈は同じ位なのだが、リーザさんだけが、その・・・胸のボリュームが違うのだ。

シアとルリアが小さいって訳じゃ無いと思うんだけど。

メイド服は細いルリアにピッタリな大きさで、リーザさんには若干小さい様で。

その為に、はち切れんばかりに胸を強調していて、清楚な筈のシックなメイド服が、何て言うか・・・逆にエロい。

もちろん、そこに目が釘付けにされる訳で・・・。

俺の視線に気づいてシアがリーザさんの前に両手を広げて立ち塞がる。


「リーザお姉さまをエロい目で見るなー!!!」

「へへへ・・・ぐふぉ!」


 シアの鉄拳が顔面に飛んで来て、鼻から温かい液体が伝い出てくる。 

興奮したせいなのか、シアの鉄拳のせいのかは分からないが、その後しばらく鼻血は止まらなかった。

ルリアは横で爆笑しているし、シアは介抱どころかゴミを見る目線を向けてきて。

結局、リーザさんのメイド服姿はシアの強い勧めで脱ぐことになった。

ああ、目の保養がーーー!!!




 次の日、朝から俺はノット錬金術ギルドに一人で向かっていた。

ノットギルドに来た理由は二つ。

一つは石鹸の製作依頼をする事だ。

サラダ商会より石鹸の依頼を三日で5、000個受けた訳なのだが、その内2、000個をノットギルドに依頼する。 


 二つ目がセンターからせしめた石鹸の売り上げを頂戴する。

勿論、材料費やギルド員の人件費等の販売管理費を除いた利益部分から、石鹸レシピを無断で使用した使用料を貰い受ける約束になっている。


 ノットギルドに着くと、俺の顔を受付の人が覚えていたようで、慌てて裏に下がって行く。

そんなに怯えなくてもいいのに・・・。

直ぐにノットさんが慌ててギルドホールにやって来た。


「ラム、待たせたな。取り合えず、ここじゃ何だ、俺の部屋に来てくれ」


 ノットさんに連れられて部屋に入る。

ノットさんはソファーに座ると早速テーブルの上に重そうな袋を置く。


「これが約束の金だ。これでレシピ盗用の件は無かった事にしてくれるんだよな」

「ええ、勿論、絶対に錬金術ギルド本部には言いません。何なら一筆書きましょうか?」

「そうして貰えると俺も安心出来る」


 レシピ盗用は今後不問にする旨を書いて、俺のサインをして、紙をノットさんに渡すとやっとホットした表情を見せる。


「ノットさん、これで対等な立場になった訳なので、一つお願いがあるのですが」


 ノットさんが怪訝な顔で聞き返してる。


「ああ、俺が出来る事なら聞くが何だ?」


 俺は石鹸製作の話をする。


「なるほど、話は分かった。ラムのギルドで間に合わない分をうちのギルドで受け持とう」


 その後、ノットさんと話を詰めて、石鹸2,000個の製作。レシピの使用料として石鹸一個に付き3G貰う契約をする。

俺に3Gをレシピの使用料として払っても、同じMP消費量ならポーションを作るより、石鹸を作った方が断然儲かる。

ノットギルドにとっても悪い話じゃない。

そして俺は何もしなくても6,000G貰える。

俺は働かなくて金を稼げて相手も儲かる。

ちなみにセンターから巻き上げた金は50,000Gだった。


  


 自分のギルドに戻ってラビダルポーションの製作に取り掛かる。

ラビダルポーションのレシピは一般公開されているレシピの為、トールさんに聞くと載っている本を渡してくれた。


「ラム君ごめん!今、手が離せなくて。この本に載っているから見てくれるかい」

「ありがとうございます!自分で調べるんで借りますね」


 自分の錬金術室で早速試してみる。


 ラビダルポーションのレシピ


効果:精力増強、繁殖能力強化

必要な材料:レピディウムの根、アフロディジアックの葉

ドラゴンもどきの心:能力の核となる臓器  

極上の魔石

精霊山脈の水:不思議な力が宿った水

 

 レピディウムの根は見た目はかぶで、このまま食べただけでも精力増強効果がある。

アフロディジアックの葉はギザギザの槍形の葉で、これをお茶にして飲むと、子供が授かり易いと言われている。

おばあちゃんの知恵袋として昔からこの世界で愛飲されている。


 作り方は乾燥したレピディウムの根を粉末にする。

とにかく細かく細かく擂り潰す。

次にアフロディジアックの乾燥した葉を特殊な容器に入れて精霊山脈の水でグツグツと入れた水が半分位になるまで煮詰める。

容器から葉を取り出して冷ます。

冷ましたたらアフロディジアックの葉を煎じた薬液の中に、先程のレピディウム粉末を加えて溶かす。

後はドラゴンもどきの心と極上の魔石を加える。

最後に「錬金術」のスキルを掛ければ完成なのだが、さすがに緊張するな。

成功すれば大金が手に入り、失敗すれば当面借金まみれだ。

大きく息を吸い込み吐き出す。


「錬金術!!!」


 いつもの百倍位、気合いを入れてスキルを発動する。

体から一気に精気吸い取られていくのを感じる。


「ああ・・・」


 錬金術スキルの光が収まると淡く輝く茶色のポーションが出来上がっていた。


「???・・・成功か?」


 困った時はトールさん!


「ラム君!本当にラビダルポーションを作ったのかい!てっきりラビダルポーションの事を聞いてきた時は、勉強の為かと思っていたけど、まさか自分で作る為に調べていたなんて・・・」


 トールさんに成功したか見てもらいたいとお願いすると、トールさんも判断出来ないからと、リーザさん、プランさん、レントさんも呼んで皆で鑑定する事になった。

さらに、騒ぎを聞き付けたシアとルリアも加わり、俺の錬金術室はぎゅうぎゅうだ。


「これがラビダルポーションなんですね!」


 リーザさんが興味津々にポーションを見つめる。

トールさんも無言で食い入るように見ている。


「ラム君、レシピ通りに作ったんだよね?」

「はい、分量や、煎じる時間も間違い無いと思います」

「魔石を使ったポーションは成功度合いによって光が増すんだけど、この光は成功したと判断して良いと思う」


 トールさんが難しい顔で続ける。


「ただ、ラビダルポーションの現物を見たことが無いから、絶対とは言い切れない。やはり現物を見た事のある人に鑑定を依頼するのがいいね」

「現物を見たことがある人って誰ですか?」

「今度、王都の錬金術ギルド総会で本部に行った時に見てもらうのはどうだろうか?」

 

 トールさんの言うように最終的な判断は王都で鑑定するまでお預けとなった。


「このポーションてそんなに珍しいポーション何ですか?」


 ルリアがポーションを持って光にかざす。


「わあ!何か独特の色で綺麗ですね!」

「私も見せて!」


シアもルリアと一緒にポーションに近づく。


「おい!それ50万Gだから丁寧に扱えよ」

「「「「え!」」」」


 俺の一言でその場が凍りつく。

シアが顔を引きつらせながらゆっくり口を開く。


「ラム、冗談だよね・・・」

「いや冗談じゃなくて、成功してれば安くても50万Gするらしいぞ」

「ラムさん・・・、なんで先に教えてくれないんですか・・・」


 ルリアが泣きそうな顔でポーションをそっと戻すのであった。 




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