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ルリアのメイド服

 サラダ商会からドラゴンモドキの心を15万Gで購入した

手持ちは2万Gしか無かったので13万G借金になる。

折角、シアの借金の返済が終わったと思ったら、また借金だ。

しかーし!ラビダルポーションの錬金術が成功すれば35万Gの儲け。

酒、女、博打、これで駄目男の称号三拍子揃ったな!

あと、サラダ会長から気になる噂話を聞いた。


「ラムザール様、これは噂ですが石鹸作りの功績、ドラゴン討伐の功績を買われて、ラムザール様の錬金術ギルドがベルクド領との御用契約の候補に挙がっているそうですよ」


 ほう、御用契約ですとな。


「御用契約を知らないので教えて頂きたいのですが、御用契約を結ぶとどうなるのでしょうか?」

「当商会がこの町の商会として唯一御用契約を結ばせて頂いております。御用契約を結べる事は大変名誉な事なのです」


 まー、名誉な事は分かる、分かるが面倒な事は嫌だぞ。


「具体的に義務や利点等はあるのですか?」

「勿論、御座います。まず利点としては今後、ベルクド騎士団などが使うポーションは優先的にラムザール様のギルドが受注できます。後、信用も増しますから、通常のポーションの納品も増えると思います。従業員の募集も容易になるでしょう」


 良い話ししか今の所無いが、世の中そんなに甘くない。

権利があれば義務はセットで存在する。


「ラムザール様の懸念している様にポーションの依頼は、利益のある話しばかりではありません。時には利益の無い面倒な依頼も受けねばなりません。しかし、それを考えても御用契約は皆、結びたいと考えるのです」


 正直、めんどくさい。

ギルドマスターですらめんどくさいのに、更に堅苦しくなるのは御免だよ。


「まだ噂の段階ですが火の無い所に煙は立ちません。考えておいた方が宜しいと思いますよ」


 サラダ会長に助言を貰いサラダ商会を後にした。


 ラビダルポーションの錬金術は明日やる。

MPが満タンの時の方が良いと思うからだ。

ギルドに戻って石鹸やポーションを作るべきなのだが、働きたくない・・・

働きたく無いのだ。

最近、働いてばかりでシアともルリアとも遊んでいない。


 ギルドに戻って石鹸の依頼を伝えると、皆げっそりした顔になる。

いつも元気なリーザさんでさえ嫌そうだ。


「ラムさん・・・お仕事があるのは嬉しいんですけど・・・ちょっとハード過ぎませんか?この前、石鹸を5,000個作ったばかりですし、ギルド総会の準備でポーションの作り置きもしなくちゃいけないですし・・・」

「リーザさん、分かりますよ、俺も働きたくないです」


 シアが呆れた顔で見てくる。


「じゃあ、何でまた仕事取って来るのよ。嫌なら断ればいいじゃない」

「そうなんだけど・・・金になると思うと、受けたくなってしまう」

「ラム、金、金、言ってると守銭奴みたいよ」

「シアだって金、金いつも言ってるじゃん」


 シアが得意気な顔で答える。


「私は良いのよ、商人の娘だし、お金好きだもん!」

「俺だって金は好きだ!」

「じゃあ、頑張りなさいよ!」

「う・・・でも働きたく無い・・・」


 シアがやれやれとため息を付く。

ルリアが優しく声を掛けてくれる。


「ラムさん、私も手伝いますから頑張りましょう!ね!私、石鹸作るの好きですよ」

 

 ルリアにメイド服でも着せて、目の保養をしながら石鹸作りの単純作業を繰り返すか・・・

そこにプランさんが話しに入ってくる。


「でも、マスター、作り置き分のポーションも忘れないで下さいよ!」

「はい・・・明日から頑張ります」


 やはり、ここは外部委託しか無いんじゃないだろうか。

よく日本ではゼネコンが注文を受けて、下請けに丸投げして、さらに下請けが孫請に投げる、何て事が起こっている。

本当の金持ちとは働かないものだ。

 

 今日は仕事を早めに切り上げて、シアとルリアに約束の服を買いにマーケットに行く。

リーザさんも話を聞き付け一緒にやって来た。

両手に花どころか、三人の美少女に囲まれて買い物何て夢の様ではあるが、女子三人が集まれば話しに華が咲き、俺なんて蚊帳の外ですよ・・・。

三者三様の美女の尻を眺めながらマーケットに付いて行く。


 最初に俺が服を買った店を訪れる。

服はここで買うって店主と約束している。


「リーザちゃん、いらっしゃい!今日も美人だね!」

「おじさん、こんにちは」

「リーザちゃんのお友だち二人も、これまたえらい美人だね!」


 服屋の店の親父がシアとルリアを見て感嘆の声を上げる。

美女三人が揃って歩いているのでマーケットのすれ違う男性がチラチラこちらを見てきて、凄く目立っている。

ちなみに俺は話の盛り上がる三人の後ろを歩いているんので、全く気づかれていない。


「おじさん、こんにちは」

「お!リーザの所で働いてる借金のにーちゃんじゃないか!まったく気付かなかったよ!」


 リーザさんが笑いながら訂正する。


「おじさん、今はラムさんの所で働いてるリーザですよ」

「え!?」


 服屋の親父が目を丸くして俺とリーザさんを交互に見てきたので説明する。


「今はリーザさんから引き継いで、俺がギルドマスターなんですよ」

「だってよ、兄ちゃんは最近この町に来て、最近まで200Gの服も買えなかったじゃないか!それが今やギルドマスターだって・・・」


 服屋の親父は俺とリーザさんを交互に訝しげに見て、更に首を傾げる。


「男は見た目じゃ無いが・・・ん・・・、リーザちゃんの趣味は分からんな」


 めんどくさいので誤解はそのままにして服を選ぶ。

女子三人が集まって服選びだ。

店の全ての商品を三人でチェックしていく。

三人が服を選んでいる間に服屋の親父にこっそり話をする。


「おじさん」

「お!なんだ?」

「メイド服が欲しいんだけどあるかな?」


 俺の声のトーンを察したのか、ニヤっとして親父も声を小さくしてくれる。


「うちの店にあるのは古着だがあるぞ。新品が欲しければ上の商店街の服屋で仕立ててもらうしかないな。うちに在るのは古着って言ったて、貴族の屋敷に予備として置いてあって、一回も使われないまま、売りに出されたもんだから、生地も良いし痛みも無くてお勧めだぞ」

「あそこで服を選んでいる金髪の子とピンクの髪の子のサイズってあるか?」

「おい、兄ちゃん、あんな美人二人も相手にするのかい!羨ましいね」

「残念ながら、親父が思っている用途じゃない。普通に家事や錬金術の作業着として欲しいだけだ」


 親父がどこかホットしたような表情で答えてくる。


「ああ、そうだよな、すまん、すまん。メイド服は家での家事や錬金術の作業着に向いてるもんな、ははは。ちょっくらサイズ見てみるな」


 親父が探しにいったのと入れ違いでリーザさんがやってきた。


「ラムさん、この服なんてどうですかね?」


 リーザさんが持ってきた服はピンクのスカートだが、膝丈程の長さで、今までロングスカートしか履いてる所を見たこと無いのですごく新鮮だ。

上は同じ色のベストを羽織っている。


「リーザさん!凄く可愛いですよ!良く似合ってます!」

「へへへ、ラムさんが誉めてくれるんならこれにしようかな」


 リーザさんがちょっと照れくさそうに、笑顔を見せる。

リーザさんは美人なのだが、笑うと特に可愛い。

世の男性すべてが、この笑顔を向けられてボディータッチでもされたら勘違いしてしまうだろう。


 シアとルリアも決まった様なので見に行く。

シアが選んだのは前回買えなかった緑色のワンピースなのだが、丈がすごく短いので、下にはパンツを合わせるタイプの様だ。


「シアはこの前、買えなかったその服にしたんだね」


 シアが下を見ながら呟く。


「ラムがこの前、選んでくれた服だし・・・まー、なかなかセンスは良いし・・・」

「シア、下のズボンはどうするの?」

「高いし、リーザさんに貰ったのあるから大丈夫だよ」


 シアに可愛い服を着せるのは俺の為も大きい。

金があるなら色々着せて楽しみたい。


「この、黄色のズボンなんてどうだ?」


 手近にあったズボンを手に取りシアに合わせてみる。

シアの金髪に緑の服に下に黄色を持ってきたので、まとまりが出た気がする。


「ラム、勿体ないよ」

「良いんだよ、シアも俺も服が少ないから、もう一枚買っておくか」

 

 シアがブンブン首を横に振って拒否してくる。

まあ、余りシアの為だと思って色々買ってあげて、それがプレッシャーになってしまう事もあるので、今日は上と下、各一枚にした。


 最後にルリアはどんな服にしたのかな?

ルリアを見るとルリアの手には黒と白の生地に白いヒラヒラの

付いた服を手に持っている。


「ルリア・・・それは・・・!」


 ルリアがニヤニヤしながら、服を上に掲げてゆらゆらと見せつけてくる。

間違いない!ルリアが手に持っているのはメイド服じゃないか!


「こんな服をみつけっちゃったんですけど、これなんてどうですかね?」


 落ち着け!落ち着くんだ!

ここで対応を間違ってはいけない!


「ルリア、良い服を見つけたね。その服は家事や錬金術の作業する時に、普段着が汚れにように着るのが良いと思うんだ。だからそれは別途買っていこうじゃないか」


 ルリアがつまらなそうにメイド服を棚に戻す。


「はあー、ラムさんが興奮して一生懸命懸命に頼むんなら着ようかと思ったんですけど、なんかそんな正当な理由並べられると着る気が失せました」

「!!!」

 

 ルリアがそう言ってもう一度大きくため息を吐く。

間違えた!!!

ルリアには理論じゃない!

のりで押すべきだった!!!


 「ルリアさん!すみませんでした!格好つけてしまいました!俺の趣味です!メイド服着てください!」


 シアとリーザさんの冷たい視線を浴びながら、90度の角度で勢い良く頭を下げるのであった。




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