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レシピを盗んだのはお前だ!

段々とシア編も佳境に入って参ります。



 サラダ商会より5,000個の石鹸の受注を受けて、ギルド総出で作業を開始していく。

プランさん、シアは、油屋に油の手配、素材ギルドに乾燥の依頼、ミッツさんにはブルースライム液の依頼を出す為にギルドを飛び出して行く。

俺達、錬金術師組はひたすら錬金術をしていく。

その日は、シアも俺も夜遅くまで仕事をしたので、夕御飯を食べ逃してしまった。


「シア、腹減ったな」


 シアも先程まではやる気に満ちていたが、仕事が終わり気が抜けたのかヘロヘロになっている。


「お腹減ったよー。死んじゃうよー。ご飯食べたいよ」

「まだ、リカの食堂やってるかな?」


 ギルドを出ると辺りは辺りは真っ暗だ。


「こんに暗いと、もうリカの食堂のやってないか」

「うーー」


 そんな悲しそうな目で目で見ないで!


「夜、遅くまでお疲れ様です!」


 暗闇からぬっとルリアが表れる。


「お二人が遅いんで待ちくたびれちゃいましたよ」

「ルリア、俺達の事、外で待っててくれたの?」

「そうですよ、あー寂しかったな」


 言葉ではそうは言ってはいるが無邪気な笑顔だ。


「ギルドに入ってくれれば良かったのに」

「でも、皆さん忙しいそうだったので、邪魔しちゃ悪いかと思いまして」


 確かに皆、忙しくて猫の手も借りたい程だった。

ん!待てよ、ルリアはウサギだから、ウサギの手も借りたい程か。


「ルリア、今日、大口の依頼が入って忙しいくて、ルリアも明日から手伝ってくれないかな?」

「別にすることも無いので構いませんが、腕も無い私でも役にたちますねー?」


 可愛い笑顔でうさみみを傾ける。


「片腕だと大変かも知れないけど、ルリアがやってくれるなら、是非お願いしたい」

「わかりました!私で良ければお手伝いします!」


 これで明日から一人増えて少しは作業がはかどるだろう。

ルリアには石鹸作りを手伝って貰っても良いし、素材ギルドに石鹸を運んり、ブルースライムの素材集めに行って貰うなど、お願いしたい事は多い。


「ところで、なんで俺達を待っててくれたの?」

「はい、部屋に泊めて頂いているので、少しは役にたとうかと、夕食を作ってみたんです!出来たので呼びに来たんですけど、忙しいそうなので声を掛けられなくて」


 シアが目を輝かせてルリアに飛び付く。


「ルリアさん、大好きです!」

「え!そ、そうですか・・・そんなに喜んで貰えてうれしいです」


 てな訳で、今日の遅い夕食はルリアの手料理になった。


「ルリアさん、美味しいです!」


 シアが口いっぱいに料理を入れて、幸せそうに食べている。

ルリアの作ってくれた料理はトマトの角切りの中に、玉ねぎ、ズッキーニ、肉を入れて煮込んで、ハーブで味付けしたものをご飯に掛けたトマト丼にサラダだった。

シアの美味しいそうに食べる姿を見て、俺もトマト丼を口にかきこむ。


「うん、ルリア、美味しいよ!トマトとご飯って合うんだね!」

「ははは、美味しいって言って貰えてホッとしました。剣の練習ばかりしていたので、料理なんて、何種類かしか作れないんですけどね」

「そっか、でもこれだけ作れたらレシピさえ覚えたら、他のも直ぐに出来る様になるよ!」


 ルリアも自分で作った料理を美味しいって言いながら食べ始める。

ん?なんか部屋も少し綺麗になっているような。


「ルリア、部屋も掃除してくれたの?」

「はい。片腕の生活に慣れる為にも出来る事は練習しておきたくて」


 俺は真剣な顔でルリアと向き合う。


「ルリア」

「は、はい!」


俺の真剣な顔にちょっと驚きながら、ルリアが返事をする。


「次から掃除と料理を作る時は・・・メイド服を着てくれ!」

「・・・」


 ルリアが一瞬固まって、俺を指差しながら叫ぶ。


「シアさん!ここに変態がいますよ!!!」

「頼む!ルリア!メイド服を着てくれ!」

「いやーーー!!!着てもいいけどラムさんの目がいやらしいーーー!!!」


 ルリアの高速パンチでそのまま後ろに倒れるのであった。

シアが頬を膨らませてゴニョゴニョ言っていたような。


「ルリアさん、ばっかり。私だってラムがお願いしたら、メイド服着て、ご主人様て呼んであげるのに」





 次の日の朝、リーザさん、トールさん、ルリア、俺の四人でメイソンギルドに向かっていた。

なぜこうなったかと言えば。


「え!石鹸を作ってるのはメイソンギルドだって!」


 昨日、サラダ会長から聞いた話をトールさんにすると、ぶち切れてしまった。

トールさんは普段は冷静で優しい人なのだが、錬金術の話になると途端に熱い男に変わってしまう。

どうやら、人のレシピを無断使用している事が許せないらしい。


「同じ錬金術師として許せないよ!レシピは錬金術師の命だよ!それを無断で使うなんて!錬金術師の風上にも置けないよ!直接言ってその性根を叩き直してやる」


 それを聞いたリーザさんも以前の怒りが再燃し、私も文句が言いたいと、こうして四人でメイソンギルドに乗り込む事になった。

ルリアには護衛として一緒に着てもらっている。

メイソンギルドはうちのギルドの坂の上にある商店街の一画に、でかでかと建っていた。


「たのもー!!!」


 いつもの優しいトールさんが扉を力強く開け放つ。

ギルド内の視線が一斉にこちらに集まる。

慌てて、受付の女の人がこちらにやってきて、トールさん、リーザさんの顔を見て固まる。

トールさんは女性の反応を無視して話し始める。


「ステンさん、お久しぶりです。今日は大切なお話があって来ました、ギルドマスターに取り次ぎをお願いします」


 ステンと呼ばれた女性は慌てて奥に戻って行く。

メイソンがギルドマスターをしていたが、リーザさんの一件で悪事が明るみに出て、鉱山送りになったので、今は別の人物がギルドマスターをやっている筈だ。


 しばらくするとステンさんが戻って着てギルドの奥の部屋に案内された。

部屋に入るとそこには、見知った顔があった。


 「「「ノットさん!」」」


 ノットさんはメイソンギルドとの戦いの中で最後の最後で、俺はギルドマスターになる!って言って裏切った人物だ。

本当にギルドマスターになっているとは。


 ノットさんが俺達の前に進み出て土下座で詫びてくる。


「トール、リーザ、すまなかった。自分の夢の為にお前達を裏切った事を謝らせてくれ。本当にすまなかった」


 リーザさんが、泣きそうに睨みつける中、トールさんが前に出る。


「ノットさん、僕はノットさんのギルドマスターに成りたいって夢が少し分かります。ノットさんはギルドマスターに成れて満足していますか」

「ああ、裏切った事は申し訳ないと思っているが、夢がかなって後悔はしていない」

 

 ノットさんがトールさんの瞳を見つめ返す。

それをトールさんもしっかり受け止める。


「それがノットさんの選んだ道なら、僕は何も言いません」


 横でリーザさんが絶対許さないって、呪文の様に言ってます。

女性って昔の事をずっと覚えていて、今さらそれ言うのって事あるよね。

トールさんが言葉を続ける。


「ただ、今回のレシピを盗んだ事は絶対に許せません!レシピの開発がどれ程大変な事か、同じ錬金術師なら分かるはずです!それをギルドマスターともあろうものが行うなど。この件は錬金術ギルド本部に報告して、然るべき処置を取らさせて貰いますよ!」


 トールさんの厳しい言葉と態度にノットさんが慌てる。


「ちょっと、待ってくれ!レシピ盗んだってなんの話だ!俺だって錬金術師だ。レシピの重要性は師匠から叩きこまれている。盗むなんて事をするはずないだろう!」

「調べはついているんですよ。チコリ商会と結託して石鹸を作ってるのはこのギルドですよね!」

「犯人はお前だ!」


 そこで堪えきれず、言ってみたかった台詞をトールさんの話しに被せて指差しながら叫んじゃった。


「そうだ犯人はお前だ!」


 なぜか、ルリアも俺の台詞を被せてくる。

リーザさんが俺とルリアを交互に見て慌ててリーザさんも被せてくる。


「犯人はあなたね!」 


 何この子達、めっちゃのりが良いんですけど!

トールさんが若干ついていけてなく戸惑っているが。

三人に指差されながらノットさんは顔面蒼白になっていた。




 


 

ここまで読んで頂き感謝!感謝!感謝!

ありがとうございます!

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