ルリアをメイドにしたい(願望)
ドラゴンの討伐に失敗した勇者一行は片腕を失って、戦力にならないルリアをたった1,000Gを渡して放り出しやがった。
あいつらマジで糞野郎だな。
なんか知らんがルリアは片腕を失っても明るく気にしてない素振りだが。
「ルリア、今日泊まる所、決まってる?」
「いえ、これから探すんですが、安くて綺麗な宿知ってますか?」
「良かったら部屋が余ってるんだ、家に泊まらない?」
じっと俺の顔を見て笑いだす。
「ははは、口説き文句の常套句ですね!」
「・・・まあ、そうだね・・・」
「片腕を無くした私何かで良いんですかー。分かりました。命の恩人です。その誘い乗りましょう!」
無邪気な笑顔を見せる。
「さあ、そうと決まったらラムさんの家に行きましょう!」
ルリアは腕を突き上げて、俺の腕を取ろうとして、そのまま俺にぶつかってしまう。
「ごめんなさい、ごめんなさい。腕が無くなったの忘れてました・・・」
ルリアが初めて悲しそうな笑顔を見せた。
直ぐに笑顔に戻って、俺の右側に回ると左腕を絡めてくる。
「さあ!愛の巣に行きましょう!」
ルリアにくっつかれて嬉しいのだが、シアに見られたら絶対に口を聞いて貰えない気がする・・・
背中に悪寒走ってブルッと震える。
「あれ、寒いんですか?じゃあ、暖めてあげますね」
さらにルリアがくっついてくる。
ははは!今はこの感触を楽しもう!
シアはまだ仕事なので、まずギルドに戻る。
「ただ今帰りました!」
まずプランさんが出迎えてくれる。
「マスターお帰りなさい!勇者様は無事だったかい?て、あれその可愛い子はどうしたんだい?」
奥からリーザさんとシアも出てくる。
「お帰りなさい!ラムさん勇者様に呼び出されたって聞きましたよ!」
「ご主人様お帰りなさい」
二人が出て来て俺とルリアを交合に見て、二人の顔がみるみる変わっていく。
「ラムさん」
「ご主人様」
二人の声でギルドのホールの気温が下がった気がする。
「その可愛い人は誰ですか?なんで腕を組んでるんですか?」
「えっと・・・その・・・」
俺がたじろいでいると、スッとルリアが腕から離れて、シアとリーザさんの前に出て頭を下げる。
「ごめんなさい、ごめんなさい。私、勇者PTで騎士をしていたルリアと言います」
「え!勇者様のお連れの方ですか!」
皆驚きの声をあげる。
「実はドラゴンに腕を食べられちゃいまして」
ルリアが腕を上げて腕の入っていないシャツをヒラヒラさせる。
皆が一斉に息を飲む。
「戦えなってしまったので勇者PTを首になちゃいまして、お金も少なく困っていたところ、ラムさんに部屋が余ってるので、良かったら使って言いと言われたので、厚かましくもついて来ちゃいました」
話を聞いて、腕が無いのを見てシアもリーザさんも雰囲気が和らぐ。
これで何とか話を切り抜けられそうだ。
「そうだったんですね。でも勇者様を立派にお守りするなんて素晴らしいと思います!」
「ありがとうございます」
「でもなんでラムさんと腕を組んで居たんですか?」
う!まだ、ピンチは続いていたか!
ルリアが俺に目配せして答えてくれる。
「ごめんなさい。腕が無くなって日が浅く、バランスが取りづらくて、ラムさんに無理を言って支えて貰っていたんです。変な誤解を生んでごめんなさい」
ここで、シアとリーザさんの気配がいつもの感じに戻った。
ルリアが俺だけに見える様にピースサインをしてくる。
このウサギっ子やるな!
「もう、ラムさん、そうならそうと言ってくだいよ!私てっきり、またかと思っちゃいましたよ」
リーザさん、またって何!変な誤解生むから!
「そうよ、私もラムがまた鼻の下伸ばしてるから、またスケベな事を考えていると思っちゃたじゃない」
シアもまたとか、スケベとか言うと誤解を生むからね!
「てな訳で少しの間、家に泊まる事になるが、シアよろしく頼むよ」
「はい!勇者様のPTの方と一緒の家なんて光栄です!冒険の話とか聞かせてくだい」
シアは女性とは上手く出来るので問題ないだろう。
ギルドの皆がルリアと話がしたいと言うので、ルリアをギルドに残してマーケットに買い出しに一人で行く。
家具屋でベットを二つ中古で買って布団と一緒に運んで貰うよう依頼しておく。
その他の食材と雑貨を買い込み、家路に着く。
仕事終わりの鐘がなってしばらくすると、シアとルリアが帰って来た。
「ただいまー」
「お帰りー」
「お世話になります」
ルリアがキョロキョロしながら海の見える、ダイニングに移動していく。
「わあぁぁぁ、海が見えるなんて素敵ですねー。私もこんな家に住みたいです」
「部屋も余ってるし、ゆっくりしていきなよ」
ずっと住んでも良いんだよ!
「ありがとうございます!でもお二人のお邪魔は出来ないですよー」
「ちょちょ、ご主人様と私はそう言うのとは違うから!ルリアさん誤解しないで!」
「シアさん、分かってますよ!」
ルリアがシアにだけ聞こえる様にゴニョゴニョ話している。
「ちょ!もう!ルリアさんたら、違いますって!」
「えーそうなんですか?じゃあ、私がご主人様取っちゃいますよ、ははは」
「ルリアさん!」
シアがルリアの服を引っ張てじゃれついている。
その日はいつになく賑やかな夕食となった。
「それにしてもシアさんが奴隷だったなんてビックリしましたよ。だってラムさんとは気軽に話しているし、奴隷の腕輪もしてないですし。洋服も可愛いの着てるし」
「はは、そうね。ご主人様は変わってるのよ」
「あ!分かった!その代わり夜の要求が激しいんですね!」
「「ないない!」」
シアと二人で口を揃えて否定する。
「えー無いんですかー。それはそれで残念ですねー。ははは」
「ルリアさん、ご主人様をからかうと本気にしちゃうから駄目ですよ」
「あ!目がいやらしくなってますね、ははは。擦ったって消えませよ!ははは」
シアが今日一日ですっかりルリアになついたな。
「あーもーずっとルリアさんに泊まっていって欲しいなー」
「私も久しぶりにこんなに笑いましたよ。ヴィーラの元を去って正解でしたね」
口ではそう言ってはいるが、少し寂しそうだな。
夜、水を飲みに一階に降りていくと庭で動く影がある。
慌てて部屋に戻ってナイフを持って庭に行く。
「あ、こんばんは」
「ルリアか!こんな夜中に何やってるの!?」
「ははは、それがですね。右手が無くなっちゃたんで、左で剣が振れないかと思いまして」
ルリアが木の棒で素振りをして見せてくれる。
普段見せない真剣な表情で素早く木の棒を振っていく。
俺が見る限り十分戦えそうに見えるのだが。
「やっぱり、難しいですね」
「素人目にはすごい動きに見えるけど?」
「ラムさんちょっと手合わせしてみませんか?」
「勇者の騎士様とじゃ、勝負にならないよ」
月明かりの下、無邪気な笑顔を見せる。
「良いじゃないですかー。ご主人様ー」
う!たまらん。やはりルリアにメイド服を着てもらおう。
「ははは、シアちゃんに聞いた通り、ラムさんはご主人様って呼ぶと甘くなるって言ってましたよ」
シアの奴、結構良く、見てるな。
「じゃあ、私に勝てたら明日一日、ラムさんをご主人様て呼びましょうか?」
ふふ!武士に二言は御座らんな!
「よし!その勝負乗った!」
「じゃあ、やりましょうか!」