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歓迎会

窓から日差しが入って来て目を覚ます。

今日は午後からリーザさんとデートの予定だ。

勝手にデートと言っているだけだけど。


やはりデートに必要なのはおしゃれ!

だがおしゃれ以前に汚い、臭いときている。

絶対女子に嫌われるね。

おしゃれじゃなくても最低限、清潔にしないと。

今日の最初のミッションは清潔になろう!


取りあえず井戸で頭と体を洗ってみる。

服が汚いが替えがない。

あと石鹸が欲しい。


朝飯を食べてギルドに出社する。


「おはよございます!」


元気に笑顔でリーザさんに挨拶する。


「おはようございます。今日も一日がんばってくださいね。

お昼過ぎには仕事が終わるので声かけますね」

「はい!楽しみにしてます」


今日も一日めっちゃ頑張れそうだ!

早速ポーションを三つ作る。

大体一個当たり10分ほどで完成する。


この後は昼までに新しい服の購入とお風呂に行く予定だ。

まだ朝早い為、店がやっていない可能性がある。

錬金術の本を読んで少し時間を潰すことにする。


昨日トールさんに見せてもらったハイポーションのレシピを確認してみる。

昨日は生の薬草を使用していたが、レシピには薬草としか書いていない。

錬金術の基本の本に錬金術成功率を上げるには、素材の質、素材の配合比率、錬金術の熟練度が関係していると書いてあった。

錬金術レベルの高い自分は素材の質が悪かったり、配合比率を間違えても成功する確率が高い。


ちなみに錬金術室には特殊な魔方陣が書かれており成功率が向上する。

錬金術室以外でも錬金術は可能だが成功率が下がってしまうため、ほとんど行われない。


一時間ほど本を読んだ後トールさんの錬金術室を訪ねる。

ギルドでの納品実績が上がると専用の錬金術室をもらえるらしい。


「トールさん失礼します。おはようございます」

「やあ、ラム君おはよう」

「お風呂に入りたくて、お風呂の場所を教えて下さい」

「近い所だとレッサー通りだね。お勧めなのは町の外れに温泉があるよ」

「温泉があるんですか!!」

「あるよ。結構王都からも観光客が温泉目当てにやって来るほど人気があるんだ」


温泉は是非入りたいが、今日は体を洗うのが目的の為、近くのお風呂の場所を教えてもらう。

お風呂に行く前に、前回行ったマーケットに服を買いに行く。

ちゃんとした店ではなく、テントがずらっと並んで立っている。

今の所持金は120G。

これで風呂と服を調達する必要がある。

とりあえず店の人に相談してみよう。


「あのー、服が上下と下着が欲しいんだけど」

「いらっしゃい!この前のお客さんだね。服は決まったかい?」

「それがですね‥‥お金が100Gしかないんです」


店のおじちゃんに難しい顔をされる。


「100Gだとちょっと厳しいな、もうちょい出せないのか?」

「仕事を始めたばかりで、これ以上厳しいです」

「じゃあ今日はズボンと下着だけにしたらどうだい?」

「服が臭くて洗い替えの服がどうしても今欲しいんです」

「なんだい、なんだい、その服しか持ってないのかい?」

「はい、なんとか100Gでそろいませんかね?」


おじちゃんはまた難しい顔で考え始める。


「どこで働いてるんだい?」

「リーザさんの錬金術ギルドですけど」

「にいちゃん錬金術師かい。村から出てきて15歳の信託で錬金術スキルをもらった口か」

「そうなんです。なので服も持ってなくて」

「じゃあ上の服は後払いにしてやるから、貯まったら払いにきな」


値引きで買おうと思っていたんだが、思わぬ方向に話が進んだ。

今日、服を手に入れることが重要なので後払いをお願いする。

おじちゃんに生地の良いのを選らんで貰って100G支払う。


「ありがとうございました。五日後に払いに来ます」

「おう!リーザさんに恥かかすんじゃないぞ」


払いに来なければリーザさんの所に取り立てにいくのか?

踏み倒したりしないので問題はない。

服が手に入ったので次は風呂屋に向かう。

風呂屋はギルドから10分ほど歩いた場所にあった。


受付で5G払い篭と粉を受け取り中に入る。

聞いてみると粉は石鹸の代わりのようだ。

脱衣所で服を脱いで服も篭に入れて中に持っていくようだ。

風呂場に入ると小さな湯槽があり、その回りで手桶を使って洗う。


石鹸の粉?で髪と体を洗う。

水と違い汚れが落ちているのが実感出来る。

体を洗い終えて今度は大きめの湯槽に浸かる。

少しぬるいが気持ちがいい。


ついに俺は清潔ミッションを完了した!

一度ギルドに戻り、リーザさんの様子を伺う。

見るとまだ仕事をしている。

取りあえずポーションを製作して計四個納品する。


「リーザさん今日のポーション先に納品しておきます」

「お疲れ様です。もう少しで終わるので待ってて下さい」


取りあえず錬金術の本を読んでリーザさんを待つ。

30分くらいしてリーザさんが入ってくる。


「お待たせしました」

「こちらこそ時間取ってもらってありがとうございます」

「これ先に今日の分40G渡しておきます。ラムさんご飯食べましたか?」

「まだ食べてないです」

「私もまだなのでお昼ご飯たべませんか?私お腹すいちゃいました」


お腹を空かせたリーザさんもかわいい。


「俺もお腹空いてるんでお昼にしましょう。いつもそこの屋台なんですが、いい店ありますか?」

「そしたら下のマーケット近くにかわいいお店があるんでそこにしましょう」


リーザさんと一緒にギルドの前の道を下ってマーケットに向かって歩いていく。

リーザさんは金髪で肩くらいの長さ、ゆるいウエーブがかかっていて、どこかのお嬢様の雰囲気だ。

隣を歩いていると髪がふわふわ揺れてその度にドキッとする。


マーケットを囲うように商店が並んでおりその一軒に入っていく。

店に入ると奥に案内されテラスの席に案内される。

テラスからは海が見えており風が気持ちがいい。

座ると柵で海は見えない。


「さすがリーザさんおすすめのお店ですね!すごく良い店ですね」

「でしょー!ラムさんも彼女が出来たら連れて来てあげてね。ご飯もとっても美味しいのよ」


リーザさんと同じ10Gのランチプレートを注文する。

屋台だと半額くらいで昼飯が食べられる。

ランチプレートはいろんな種類のおかずが少しずつ乗っていて大きめパンがついてくる。

女子に人気がありそうなメニューだ。

店内は女性客やカップルが多い。

男性だけは見当たらない。


「ラムさん何処か見たい所ありますか?」

「ほとんどギルドとマーケットしか行ったことがなくて、何がこの町に在るのかも知らなくて、トールさんに聞いた町外れの温泉は興味があるかな」

「そっかそっか、じゃあ温泉の方に歩いて行ってみようか」


リーザさんと向かい合わせで食事をするなんて最高に気分が良い。

いろいろこの町の事を聞いているうちに時間はあっという間に経ってしまった。

店を出て温泉に向かって歩いていく。


「あそこに見える大きな白い屋敷はここの領主様のお屋敷ですよ」

「へー、上の方だから景色も良さそうですね」

「あー私もあんなお家に住んでみたいなー」


ああ、俺が金も持ちならリーザさんに大きな家をプレゼントするのに。

今は服すら買えない貧乏人。


「領主様てどんな人なんですか?」

「ここの領主様は女性でとっても綺麗な人なんですよ。ここだけの話、王様の愛人なんじゃないかって噂があります」

「綺麗な人なら一度見てみたなー」

「あーあ、これだから男性はすぐ鼻の下のばしてー」


なんか呆れ顔のリーザさん。

デートを満喫しながらけっこう歩くと家が少なくなり、斜面に果樹園が広がってくる。


「ここの果樹園も領主様のですよ。この地域の特産の果物でオレンジで香りがとっても良くて甘くて、是非食べてください」


果樹園を見るとオレンジがなっている。

マーケットでもよく売られていた。

果樹園を抜けると何件か大きい家が経っている。


「この先が温泉になっていて、そこの建物は宿泊施設になってるんですよ。けっこう遠くからこの温泉目当てに旅行者がくるんですよ」

「良いですね!お金が貯まったら泊まってみたいです」

「私は温泉の準備はしてきていないので入らないですがラムさん入っていきます?」

「さっきお風呂にいったので今日は大丈夫です。場所が判ったので今度来てみます」


リーザさんと景色と会話を楽しみながらだらだらもと来た道を戻っていく。

ころころと変わるリーザさんの表情は見ていて飽きない。


「ラムさんこの後は予定ありますか?」

「何にもないですよ。知り合いもいませんし」

「よかった。これからラムさんの歓迎会やるので一緒に来てください」


リーザさんについてマーケットと抜けて、さらに海側に下っていく。


港のまで降りて行くと良い匂いがする。

港の一角はビアガーデンのようなバーベキュー場になっており、みんな色々な食材を焼いて楽しそうに食事をしている。

辺りをキョロキョロしているリーザさん。


「おーい!こっちこっち」


向こうで手を振っているのはトールさん。


「トールお待たせー」


リーザさんは手を振ってトールさんのいる席に向かう。

あれ?トールさん以外にも、一人いるぞ。


「この人はおじいちゃんの代からうちのギルドを支えてくれているノットさんです」


リーザさんが紹介してくれる。

おじいちゃんになる手前の年齢の優しそうな男性だ。


「初めてましてラム君、トールに怒こられてないか?俺は先代のギルド長にはいっぱい怒られたなー。はっはっは」

「最近入ったラムザールです。よろしくお願いします」

「よしよし、今日は俺の奢りだ、いっぱい飲もうじゃないか、はっはっは」


最初の印象の通り気の良いおじさんのようだ。

ここの場所はマーケットで好きな食材を買ってきて、焼いて食べたり、席に着きながらその場でメニューもあって注文も出来る。


「ラム君のギルド加入を祝って乾杯!」

「「乾杯!」」


トールさんの掛け声で開始する。

網の上には貝、海老、魚が乗っていてどれも美味しそうだ。


「若い者が遠慮するなどんどん食え、はっはっは」

「頂きます」


うん!旨い!ただ塩で焼いただけだがシンプルで旨い。

飲んで食べてで、飲み会も盛り上がってくると、少しずつリーザさんの話方が変わってくる。


「ラム~どんどん錬金術して上手くなれよ~。私はあんたに期待してんだかんな~」


!?

いつもの上品なリーザさんと違う!?

トールさんを見ると苦笑いでこちらをみている。


「聞いてんのか~」


リーザさんが肩をゆすってくる。


「いいか~錬金術ってのはハートなんだよ!ハート!技術ばっかじゃなくてな~。トールはなこう見えても熱い男なんだよ!しっかりラムも見習えよ~」


リーザさん絡み酒なんですね‥‥

さらにその喋りかたが素なんですか‥‥


「若いんだからもっと飲め飲め、はっはっは」


ノットさんが酒を勧めてくる。

トールさん助けて

トールさんの方を見ると目で頑張ってね、て応援された。


その後は語られ飲まされ、楽しく歓迎会は進み。

途中リーザさんと港を意味もなく走ったり、ノットさんに海に落とされそうになったり、凄く盛り上がった。

途中から記憶がなくなり、気付いたら自分の部屋で目を冷ましました。

家に無事に帰れてよかった。




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