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勇者敗北

今日は見て下さる方が多い為、PV上げたいので、明日分も投稿致します。

いつも読んで頂き誠にありがとうございます。


 勇者が負けた話は直ぐにベルクドの町中に広まっていった。


 あの嫌みな勇者ヴィーラ達が負けたのはざまあないが、ドラゴンの脅威は大丈夫なのだろうか?


 情報を仕入れる為に、サラダ会長を訪ねると、すんなりと会うことが出来た。


「サラダ商会長、勇者様達はどうなったんでしょうか?」


 サラダ商会長は険しい顔で頷く。


「私の聞いた話では勇者様のPTと騎士団がドラゴン討伐に向かったそうです。最初に勇者様PTの準備の時間を作るべく、騎士団がドラゴンを包囲していきます。しかしドラゴンの咆哮で騎士団の陣形が崩され、そこから準備の整う前にドラゴンが勇者様のPTに襲いかかったようです。騎士のルリア様が一人でドラゴンと対峙され時間を稼いだそうですが、残念ながら重症を負って片腕をなくされたそうです。勇者様一行はルリア様が稼がれた時間でなんとか無傷で逃げれたそうです」


 ルリアってあの可愛いウサミミだよね。


「ルリア様はどうなったんですか?」

「運良くエクスポーションが一個だけ手に入っていたようで、なんとか一命はとりとめた様です」


それは俺が作ったやつですね!

まー材料が無いんで、もう作れませんけど。


「もしかしてエクスポーションを作られたのはラムザール様ですか?」

「さすがサラダ会長、正解です」

「さすが、ギルドマスターですな!エクスポーションを作れる者は少ないと伺ってますよ!」


 サラダ会長から情報を仕入れてギルドに戻ると、プランさんが慌てて駆け寄ってくる。


「マスター!大変だよ!」

「今度はどうしたんですか?」

「それが!マスターを勇者様がお呼びだよ!」

「はい?」


 あんだけグチグチ言われたのに今度は何の用事よ。

俺はめっちゃ会いたくないんだけど。


「で、理由は何ですか?」

「なんでも、マスターのポーションで命を救われたから、直接お礼が言いたいって」


 ん?命を救われたのはルリアだよね?

それにあの勇者が俺なんかに、お礼なんて言うのかな?


「行かないと駄目ですかね?」

「駄目に決まってるよ!マスター直ぐに行って下さいな!」


 プランさんにギルドから追い出されて仕方なく以前の温泉宿に行く。


「錬金術ギルド、ギルドマスターのラムザールです。ヴィーラ様に呼ばれて参りました」

「入れ」


 前回と同じ冷たい声が帰ってくる。


「失礼します」


 入室するとヴィーラが露骨に嫌な顔をする。


「お前がエクスポーションを作った錬金術師か」

「はい、私が作りました」

「お前が作った、ポーションなんて反吐が出る。使わなくて正解だったな」


 カールとベロも一緒に笑い声をあげる。


「ルリアを連れてこい」


 ベロに連れられてルリアが連れてこられた。

今日は鎧や剣は装備しておらず、ピンクのロングスカートに白いシャツを着ている。

右腕は二の腕から先が無くなっていて痛々しい。


「あなたが作ってくれたポーションだったんですね!ありがとうございました!お陰でなんとか死なずに済みましたよ!まー、右手は無くなっちゃいましたけどね」


 無邪気な笑顔でヒラヒラと腕の入って無いシャツを振って見せる。

腕が無いのに明るいな。

腕を生やすのは以外と簡単なのかな?

でも、それならもう治していても良いはずだが?


「ルリア、これで気は済んだか?」

「はい!ヴィーラ様ありがとうございました!長い間お世話になりました」

「これは少ないが持っていけ、腕が無いんじゃ金を稼ぐのも大変だろ」

「ありがとう、ございます!」


 ルリアが深々と頭を下げるとウサギ耳もピョコンと一緒に垂れ下がる。


「ヴィーラ様はお優しいですね。本来なら時間を稼げなかったルリアがいけないのに、エクスポーションで命を助けて、さらにお金まで渡すなんて」

「良いんだ、カール。ルリアは私と同郷だからな」

「最後くらいは良くしてやりたいんだ」


 カールとベロとヴィーラの三人で楽しそうに笑いあっている。


「あの、私はもう帰ってよろしいのですか?」

「ああ、それなら済んだから帰っていいぞ。ルリアがこのPTを離れる前にどうしてもポーションのお礼を言いたいから、呼び出してくれと頼まれたからな」

「ごめんなさい、ヴィーラ様の元を離れた後だとポーションを作った人を探しだす自信が無くて、ヴィーラ様に無理を言ってしまいました」


 なるほど、この勇者が俺にお礼なんて言うはずないと思ったわ!

それにしてもルリアは腕を無くして戦力にならないから、勇者PTを離れるってことかな?。


「あのルリア様の腕って治るんですか?」


 ヴィーラがめんどくさそうに俺を見てからカールに視線を送ると代わりにカールが口を開く。


「私では腕は生やせん。生やせるのは大司教様だけだ。だが大司教は忙しく王族、貴族方しか治療しない。一般人が治療して貰うには多額の寄付が必要だ。そんな金ルリアに払える訳がないだろう。だからお前の質問の答えは治らないだ。それにそもそも、自分のミスで腕を無くしたんだ自業自得だろ」

「私が聞いた話ではヴィーラ様を逃がすために一人で戦ったと聞きましたが?」


 今、こいつ鼻で笑いやがったぞ!


「勇者ヴィーラ様のお口添えがあれば、大司教様も治療してくださらないのですか?」

「何故、私がそんな事をしなくてはならないんだ?」

「何故ってルリア様は勇者PTを逃がす為に勇敢に戦われた訳ですよね」

「先程から貴方五月蝿いですね」


 今まで黙っていたカールが話に加わってくる。


「ルリアの役目は我々の壁になって魔法を使う時間を稼ぐ事。今回は騎士団が不甲斐ないばかりに、我々がとんだ恥をかかされて、さらにルリアは壁にもなれず、そんな奴になぜヴィーラ様が尽力されねばならないんですか!情けでこうしてポーションの制作者を呼んで、さらに金まで渡してるんですよ。感謝されど文句を言われるのは可笑しいでしょう」

「でも」


 ルリアが俺の前に飛び出してきて話を遮る。


「ごめんなさい、ごめんなさい。私の力不足で皆さんにご迷惑をお掛けしました。ラムザールさんも、ありがとうございました。私達ははこれで失礼します。ヴィーラ様、今までありがとうございました」


 ルリアは深々と頭を下げて部屋を出ていったので、俺も付いて部屋を後にした。

宿を出るとルリアが耳をピクピクさせながら立っている。


 ルリアの耳はピンとまっすぐ立っている耳ではなく、横に垂れ下がるタイプの耳だ。

桜色のいや、サーモンピンクの方が近いかな、サーモンピンクの髪で肩くらいでふんわりと内巻きにカールしている。

目も同じサーモンピンク色だ。

顔立ちは可愛い。

シアとリーザさんの方が美人だが、ルリアも可愛い顔立ちで。その頭から生えているウサミミが俺のハートをわしずかみしている。


 ルリアが俺に気づいて笑顔で振り向く。


「さっきは色々言ってくれて、ありがとうございました」

「あいつら嫌な奴だな」


俺はしかめっ面で答える。


「ははは!ですよねー。やっぱり思いますよね」


本当に腕が無くなったのに明るい子だなー。


「でも良いのか?腕治らないんだろ?」

「まーしょうがないですね。ヴィーラにいくら言ったて大司教に頼んでくれませよ。時間の無駄ですよ」


腕の入ってない、シャツをヒラヒラさせる。


「これからどうするの?」

「さあ、どうしましょうかね?なにも考えてないです」


そう言って笑顔を見せてくれる。


「実家に帰るの?」

「そうですね、それも良いかも知れませんね。幸いお金も貰いましたし、旅費くらいはありそうですしね」

「いくら、貰ったの?」

「そこは大切ですね!確認します」


 ルリアはその場で座ると袋を開けてお金を数え始める。

「いち、に、さん、よん、ご、ろく、・・・・・・じゅう。えっと、十枚が十個だから・・・えっと・・・」

「1,000Gだな」

「そうです!1,000Gですね。もう!ここまで出かかってたんですよ!」


 やっぱり、獣人は計算が苦手なのか?


「少ないな」

「そうですか?これだけあれば家まで帰れますよ」

「だって腕ないんだぞ、今後どうやって稼ぐんだ?」

「ははは、どうしましょうか?でも貯金は少しは有りますよ!」


 それにしても1,000Gて、あいつ勇者だよな、けち過ぎない?



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