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キングウルフ討伐

いつも読んで頂きありがとうございます。

久々の戦闘パート&冒険は書いていて楽しいですね。

今後も読んで頂けると嬉しいです。

よろしくお願いいたします。

 それにしても勇者が女性だとはビックリした。

勝手に男性だと思い込んでいたよ。

誰も女性だなんて教えてくれなかったし。

まあ、誰も男性とも言ってないけど。


「おい、そこの男、今度は私をジロジロ見ているが、汚い目でみるな」


 勇者ヴィーラは冷たい声で淡々と言い放つ。


「ルリアだけならまだしも、ヴィーラ様まで粗末な視線を向けるなんて、身のほどをわきまえろ!」

「ありがとう、カール」


 カールと呼ばれた茶色い長髪の男もヴィーラに続いて、俺を蔑んだ目で見てくる。

俺ってそんなにエロい視線してますかね?


 勇者ヴィーラを膝枕している男がヴィーラの青い髪を撫でる。


「ヴィーラ様の美しさに魅せられてしまったのでしょ。田舎者にヴィーラ様の美しさは少し刺激が強すぎましたね」

「ふふ、ありがとう、ベロ」


 サラダがペコペコと頭を下げて、勇者ヴィーラに謝罪する。

俺も納得いかないが、サラダに続いて謝罪する。


「で、田舎の商人二人がいったいなんの用かしら?」

「はい、実はこちらのラムザール殿が石鹸を開発いたしまして、この石鹸が大変、お肌や髪を艶々にするので是非とも勇者ヴィーラ様にお使い頂けたらとお持ち致しました」


 石鹸を十個程テーブルに並べて置く。

やはり女性らしく、美しくなることに関しては興味があるようで、少しだけ態度が柔らかくなる。


「ルリア!早く私の所に持って来なさい」

「あ!はい!ごめんなさい、ごめんなさい」


 ウサギ獣人のルリアが慌ててソファーの後ろから回ってテーブルの石鹸を取ってヴィーラに渡す。

いや、それ、自分で手を伸ばした方が早くない!


「ほんと、ルリアはいつまでたっても気が利かないわね」

「これだから獣人は駄目なんだ」


 カールも続けてルリアを攻め立てる。


「まあ、ヴィーラ様が気を回し過ぎるので、ヴィーラ様から見ると他の者が出来ないように見えてしまいますね」


 ベロが勇者ヴィーラの頭を撫でながら誉め称える。


「そんな、知力も武力も美貌も兼ね備えた勇者ヴィーラ様にぜひ当商会がお薦めする石鹸を使って頂けたら、我々も大変名誉でございます」


 サラダがベラに続いて勇者ヴィーラを誉め称える。

おいおい!なんだこのヨイショ合戦は!

しょうがない俺も参戦するか!


「私も大変美しいヴィーラ様に石鹸を使って頂けたら、開発者として大変光栄でございます」


少し緩んだ空気が一気に冷え込む。


「気持ち悪い男だな」

「田舎者が言う事は本当に品が無い」

「ヴィーラ様の前で浮かれてしまったのでしょう。哀れですね」


 なに!なに!いじめ!もう帰りたいよ!


「こんな男が作った石鹸なんて使えるか。ルリア、お客様がお帰りだぞ」

「ごめんなさい、ごめんなさい。出口まで案内しますね」


 ルリアが俺たちを出口まで送っていってくれた。


「ごめんなさい、気を悪くしないで下さい、ヴィーラはいつもあんな感じなんです。私から石鹸は使うように言っときますので」


 ルリアに見送られてサラダと町に向けて下を向いて歩いて行く。


「すみませんでした」

「しょうがないですよ、また別の手を考えましょう」

「・・・俺ってそんなにいやらしい目、してますかね・・・」

「生まれ持ったモノです気になさらずに」


 えーー!否定してくれないの!

シアとリーザさんがよく話してるけど冗談かと思ってたら本当の事かよ!

嘘でしょ・・・一生エロい目の男として生きていかなければならないなんて・・・。


 誰かに慰めて貰いたいけどシアに言ったら冷たい目で見られるだけだろし、リーザさんなら優しく慰めてくれそう。

まあ、頼む勇気も無いわけで一人枕を濡らして寝ましたよ。


 次の日、ミッツさん、テーマさん、エキストラさんとPTを組んで、日の出前から町を出発する。

全身を皮の軽装備に身を包み、短剣、小型のナイフ、皮のマント、背中にはリュックを背負っている。

もう、どっから見ても、ファンタジー世界の旅人の格好ですよ!

テンションマックス!


 時間を見つけては短剣の練習を繰り返して、短剣スキルも以前よりは体に馴染んできた。

前回はウルフ四匹に怪我を負わされていたが、今回は無傷で倒したい。

勿論、ポーションとハイポーションは持って来ている。

余れば納品しちゃえばいいし。


 街道は四人でPTを組んで進んで行くが、森からは二組に別れてミッツさんと俺、テーマさんとエキストラさんで別れて、俺の組が先行して進む。

追いかけるテーマさんの組は俺たちが露払いをする為、安全に森を探索出来る。

その分、分け前も少なくなるが。


 森に入ってしばらく進むと一気に魔物の気配が強くなる。

どうしてかは知らないが、毎回森の奥へと進むと、ある地点から一気に魔力が濃くなり、薬草の自生率が上がり、魔物の遭遇率の格段に上がる。


 「この辺りから気を引き締めて進んで行くぞ、先頭はラムでいいな」

「はい、俺が先頭を歩きます。マッピングはお願いします」

「わーてるよ、注意して進めよ」


 と注意する割りにはミッツさんの軽い感じは相変わらずだが。


 獲物探知スキルに意識を集中し辺りの気配を探す。

前回、戦ったウルフとキングウルフの気配は分かる。

戦った事の無い魔物の気配は位置は分かるが何の魔物なのか、までは特定は出来ない。


 俺が探知出来る範囲にウルフとキングウルフは居ないので森の奥にと進んで行く。


 昼時になりテーマさん達と合流して昼食にする。

移動しない休憩時は四人で集まって休憩した方が、襲われた時の安全性が高まる。


「それにしてもラムの探知スキルの精度は異常だな」

「そうですか?」

「これだけ歩き回って、獲物に遭わないなんて中々ないぞ。たまに止まったり、進路を微妙にずらして進んでる。高い精度で魔物の位置が把握出来てんだろ。今回は獲物が決まってんだ、倒したって捨てるだけなんだから、無駄に危険を侵す必要はねえよ」

「それにしても、キングウルフに遭えませんね」


 探知スキルを使えば直ぐに見つかると思ったんだけどなー。


「ウルフは群れで行動しているから、他の単独で行動する魔物より遭遇率は低くなるが、一旦狙われると群れで襲って来るから厄介だな。単体の強さならボアとかの方が上だが、連携を取られると何倍も強くなるぜ」


 昼休憩を終了してすぐ探知スキルに覚えのある感覚が引っ掛かる、ウルフだ。


「ミッツさんウルフを発見しました。どうしますか?」

「その群れのボスがキングの場合、追い詰められるとキングを呼ぶ事があるが、まだ若い群れだとキングが居ない場合もある。向こうがこっちに気付かないなら様子見だな」


 とは言われたが、早く倒して帰りたい。


「少しでも可能性があるならやっちゃいましょうか」

「雇い主はラムだ、ラムが決めな」


 ウルフに近づきながら、戦い易い木を探す。

戦う場所を決めたらウルフの気付く距離まで近づいて行く。

直ぐにウルフの群れに反応がある。

二手に別れてじりじり距離を詰めてくる。

急いで先程見つけた木に登った。


「おい、木の上で迎え討つのか?」

「はい、トラップを木の下に仕掛けるんで、掛かったら弓で射って下さい」

「おめえは弓は持って無いな?どうすんだ?」


ミッツさんの表情が少しだけ真剣さを増している。


「俺はスリープアローで射ちます」


ミッツさんの表情が一瞬、驚きに変わるが直ぐにいつものニヤケ顔になる。


「トラップ」

「トラップ」

「トラップ」


 トラップを三個仕掛けて木に登る。

トラップを三回仕掛けた時もミッツさんは驚いていた。

狩人とレンジャーの違いかも知れないな。

木に登ってしばらくするとウルフ達が姿を現す。


「おい!こいつはヤバイな!数が多すぎる!大型の群れに当たっちまたぞ!」


 まず姿を表したのが八匹のウルフ。

さらに、逆方向からさらに八匹やって来る。

ミッツさんが今回のウルフ狩りで初めて険しい顔になる。


ここで今回の秘密兵器を試してみるか。

俺はリュックから干し肉を10切れ取りだす。


「毒化!」


 スキルを使用して干し肉を毒化してウルフに向かって放り投げる。

ウルフは最初は一歩下がるが、投げられた物が肉だと判ると臭いを嗅いで食べる。

他のウルフ達もバクバク食べていて、もう犬にしか見えないな。

数が足りなかったので、喧嘩も起きているし。

もっとあげたかったけど、後はキングウルフ用なの御免ね。 


 直ぐに毒餌は効果を表しキャンキャン言いながらのたうち回って動かなくなった。

その光景を見た残りのウルフ達が一斉に遠吠えを始める。


「ミッツさん上から援護お願いします!」


そう言うと地面に短剣を抜いて飛び降りる。


「え!おい、ラム!」


遠吠えを止めて一斉にウルフ達が俺に群がって来た。

ウルフ達がトラップに掛かる位置に移動して待ち構える。


「キャン」


バシュ!


「キャン」


バシュ!


「キャン」


バシュ!


 トラップに引っ掛かり潰れたウルフをミッツさんが上から的確に矢を打ち込んでいく。


「残り三匹!」


 一匹が牙を剥いて飛び付いてくる。

左手をおとりにしてウルフの脇腹を短剣で突き刺す。

衝撃でウルフが吹き飛び、キャンキャン言いながら逃げ出す。

足に噛みついてきたウルフを蹴飛ばすと、想像以上にに吹き飛んでいって、こいつも地面に叩きつけられると逃げ出して行く。

最後の一匹はキョロキョロ辺りを見回し、自分だけになったのに気付いて逃げていった。


「ヒュー!やるねー!」


口笛を吹きながらミッツさんが木から飛び降りる。


「やっぱり、スゲーな。噂は本当だったみたいだな」

「噂ですか?」


「「!!!」」


二人で顔を見合わす。


「来たみたいですね」

「ああ、当たりだった様だな。念の為にこれ飲んどけ」


赤いポーションを渡されるが、この赤に見覚えが無い。


「ライオンハートポーションだ、キングウルフの咆哮に耐える事が出来る」


 ライオンハートポーションを一気に飲み干す。

体の中が熱くなって負ける気が全く無くなる。

相変わらずポーションの効き目には驚かされな。

ポーションも飲んで先程受けた傷も治しておいた。


 さあ!キングウルフ様のお出ましだ。

俺のモフモフソファーになってくれよ!



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