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醤油を手に入れる

 昨日は丸一日ギルドをお休みしてしまった。

朝から溜まった依頼を片付けて

ポーション、上ポーション、キュアポーション、石鹸も作ってフル稼働で働いた!


 昼ご飯はトールさん、リーザさん、シア、俺の四人で屋台で買ってきたサンドイッチを食べながら談笑タイム。

この時間が大切だよね。


「ラム君、新居の住み心地はどうだい?」

「すごく、良いですよ!海が見えて最高ですね」


リーザさんがシアに優しく声を掛ける。


「シアちゃんは新居はどう?困ってることは無い?」

「リーザお姉さま、お気遣いありがとうございます。海が見えてとっても綺麗ですよ」

「そうだ、良かったらリーザさん、トールさん今日の夜でも遊びに来ますか?」


トールさんが大きく頷く。


「ラム君が迷惑じゃなければ、お邪魔しようかな」

「是非、遊びに来てくださいよ!」

「じゃあ、私も行きますね♪」


 リーザさんもノリノリで答えてくれる。

午後は早めに切り上げて買い出しに行くかな。

午後は高いポーションを作っていると、プランさんが呼びに来てくれる。


「マスター、ミッツさんがブルースライムの液を納品しに来ましたよ」

「直ぐに行くんで、待ってて貰えますか」


 錬金術を終わらせて、急いでロビーに向かう。

ミッツさんはシアにお茶を出して貰ってロビーの椅子で寛いでいた。


「ミッツさん、お待たせしました」

「おう!俺を待たせるなんて、良い身分になったな」

「すみません!」

「で、俺に話ってなんだ?」

「実はですね、家にソファーを買ったんで、それに掛ける毛皮が欲しいんですよ」


ミッツさんが足を組み直す。


「で、俺に捕って来いってことか」

「いえ、俺が獲りに行きたいんでサポートをお願いしたいんです」

「・・・」


ミッツさんが少し考え込む。


「で、何を狩りに行くんだ?」

「ソファーに掛けられる大きさでふわふわの毛皮が良いですね。俺が知ってる獲物だとキングウルフですかね」

「・・・」


また少しミッツさんが考え込む。


「ラムはキングウルフが倒せるのか?」

「たぶん倒せると思います」

「・・・」


また少し考え込む。


「一人で倒せるのに何を手伝うんだ?」

「たぶん、俺、森で迷うと思いますし、倒した後、持って来れないんですよね」

「・・・。なるほどな。だったら、運び屋を雇うか」

「運び屋て倒した獲物を運ぶんですか?」

「そうだ、運びを主軸に活動している冒険者だな。だからってあいつらは決して弱くないぞ。運びを専門に受け持ってるってだけだ」

「ミッツさんにお任せしますよ。上手いこと段取お願いします」

「そうだな、俺の依頼料は1,000G。運び屋は二人雇って一日500Gだな」

「結構しますね」

「おいおい、こっちは命掛けてんだぜ、それくらい貰わなくちゃやってられねーぜ」


そりゃあ、そうか。

ちなみにキングウルフの毛皮を買うといくら位なんどろうか?


「分かりました。それで手配してもえますか?」

「分かった。後でギルドで契約書作って持ってくるから金用意しとけ。でいつ頃行くんだ?」

「いつでも良いですよ」

「分かった、運び屋が手配出来たらそれも一緒に伝える」


 ミッツさんはそう言うとギルドを出て行った。

さて、午後の錬金術の続きをしようか。

午後はハイポーションとマジックポーションを作って、夜の買い出しの為早めに切り上げる。


今日の納品代金 合計1,700G

内訳

ポーション5G×10個=50G

上ポーション10G×5個=50G

キュアポーション75G×4=300G

ハイポーション100G×3個=300G

マジックポーション300G×2個=600G

石鹸4G×100個=400G


 ドラゴン討伐の特需で高額依頼があるので納品金額が高くなっている。

それに普通の錬金術師はMPが尽きてしまいここまで数をこなすことが出来ない。

ちなみにリーザさんだと午前、午後で石鹸100個とポーションを数個でMPが尽きる。

普通の人が一日働くと40G前後稼げる。

俺がどれだけ稼いでいるかお分かり頂けるだろう。


 仕事を早めに切り上げ、港近くのマーケットに買い出しに行くが、今日はシアが仕事が終わっていない為、リーザさんと買い出しに来た。


「リーザさんは料理出来るんですか?」

「えっと・・・あんまり出来ないかも」

「意外ですね、料理出来そうなのに」

「実家暮らしで、母が作ってくれるし、私はギルドの仕事が忙しく殆んど任せっきりなの」

「そうですよね、俺も実家暮らしの時は作ったことがありませんでしたよ。じゃあ、今日は俺とシアが作りますね」

「でも、簡単な物なら作れるから私も一品作るね」


 いつもの様に賑わうマーケット、店員の威勢の良い声が飛び交っている。

何か今日はやけに猫獣人の姿が多い。


「そろそろ、月お祭りの時期ですね」

「月のお祭りですか?」

「ええ、ラムさんは始めてですかね?」

「私たちが信仰する太陽の神の奥様の月の神の誕生を祝うお祭りですね。猫獣人の方々もお祭りに参加しに来てるんだと思います。船便の都合で早めに着いたんじゃないでしょうかね?」


猫獣人を横目に買い物を再開する。


「ちょっとラムさん猫人さん見すぎですよ」

「ははは」


 ここベルクドは港町だけあって、海の幸が安く買える。

獣の肉も山に囲まれているため、魔物の肉も含め色々な種類が並んでいる。

やはり値段は魚が圧倒的に安い。


 魚のテントを覗くと今日はイカが大量に並んでいたのでイカを買う。

イカは5杯で3G。


 肉屋に移動すると今日は入荷が少なく、新鮮な肉は売れてしまったそうで、塩漬けのハムを買った。

ハムは一塊で15G。


「リーザさん醤油が欲しいんですけど、マーケットで一番、調味料が豊富にある店ってどこですかね?」

「んー」


 リーザさんが人指し指を顎に当てて首を傾げる。

リーザさんはあざといと言うか、こういった仕草がいちいち可愛い。

勿論、見た目も可愛いのだが、リーザさんは服のセンスも良いし、花の匂いもする。

錬金術もいつも一生懸命でちょっと抜けたりして見てると助けてあげたくなる。

これって計算してやってるのかな?

でも全く計算してる様には見えないし、してるなんて思いたくない。

世の男性を虜にする魔性の女性だ。


「確か、そこの細い道を少し入った所にあるお店が珍しい調味料を扱って、醤油も有ったと思いますよ」


 リーザさんに連れられて細い路地に入って行くと、以前のリーザさんと行った服屋の様に、小型の店舗が並んでいる。

その一軒の店に入って行く。

店に入ると壺や大型の桶が並んでいてパンが焼けた様な不思議な香りがする。

奥の桶には味噌が売られているのが見える。


「醤油てありますか?」

「ありますよ、この辺に置いてあるのがそうだよ」


店のお婆ちゃんに壺を開けて貰うと色々な色の醤油が入っている。


「へー、色々な色が在るんですね」

「そうさな、作る材料によって色が変わるんだよ」


 臭い醤油もあったのでそれは避けて、匂いが良いのを小型の瓶に入れてもらう。


「後、そっちに見えるのって味噌ですよね?」

「そうだよ」

「味噌も貰えますか?」


 味噌も購入する。

醤油と味噌は二つで20Gでこの町では作られていないので割高になるそうだが、醤油と味噌を使う地域から高いニーズがあるそうだ。


 帰りにお米も買っていく。

この辺りのお米はちょっと細長くてパサつきがあるけど、まあ、そこまで困っていない。


 家に帰るとトールさんとシアも家に帰っていた。

トールさんが俺たちが帰ってくると、ほっとした顔で出迎えてくれる。

シアは未だに俺以外の男性とは殆んど会話をしない。

以前より多少ましになっているが、自分から話掛けることなんてまず無い。


 今日は俺とリーザさんで料理を作ろうと思ったが、シアがそれは出来ないと三人で作る事になった。

シアが昨日の野菜でスープを作る。

リーザさんにハムを切って焼いてもらう。

俺はイカの下処理をして中に醤油で味付けしたお米を詰めていく。

味付けは今日手に入れた醤油に砂糖、酒がないのでワインで代用。

それらの調味液で米を詰めたイカを煮ていく。


「ねえ、ご主人様、不思議な物作ってるね」

「でしょ、不思議だよね、ははは。作ってる俺も不思議だよ」


シアがジと目で見てくる。


「俺の故郷でもそんなに頻繁に食べる、食べ物じゃ無いんだけどイカを見たら無性に食べたくなっちゃてね」

「あーなんか判るかも!私も近所にあった芋のお菓子が定期的に食べたくなるんだよね」


出来上がったら皆で食卓に並べて夕食だ。




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