商会探し3
サラダ商会長に石鹸の宣伝に勇者様を使う提案してみる。
よく有名スポーツ選手に自社の製品を使って貰って、ブランドイメージを上げる戦略がある。
今回は勇者様に石鹸を使って貰って、勇者も使っている石鹸として知名度を上げていければと考えたのだ。
「ラムザール様は勇者様のお付き合いはございますか?」
あるはずない!むしろ勇者の存在を今知ったは!
「いえ、残念ながらありあません」
「そこで提案なのですが、我がサラダ商会に優先して石鹸を卸して下さるなら、サラダ商会で勇者様に使って頂く手筈をいたしましょう!」
その話は願ったり叶ったりだ。
当初の予定道理、商会と手を組む事により、販路や、販売のノウハウなど俺たちだけで出来ない部分を商会に任せる為に、商会探しを始めた訳だ。
この町一番の商会と手を組めればこれ程心強い事はない。
短い時間ではあるがサラダ商会長も信頼のおける印象を得ている。
「サラダ商会長、申し出、ありがとうございます。当ギルドとしてもサラダ商会と取引出来ればと考えております。つきましては更に具体的な数字のお話をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
サラダと握手を交わすし、更に具体的な数字の話をしていく。
初回は石鹸一個、20Gで400個注文を受けた。
300個は王都の貴族や金持ちに販売し、残り100個はこの町の温泉、温泉宿で試験的に販売するそうだ。
勇者がこの町に来た時には、領主の館か温泉宿に泊まる。
温泉宿に勇者が泊まった場合は石鹸を使って貰うように出来るそうだ。
問題は領主の館に泊まった場合だ。
「幸いにも私はベルクドの領主様と故意にさせて頂いております。この石鹸を献上すれば気に入って頂き、使って頂けるのではないかと考えております」
領主に気に入って貰えれば今後、商売もしやすいだろう。
是非、使って貰いたい。
「領主様に使って頂けるのでしたら、別に100個準備しますので、サラダ会長からお渡し頂けますでしょう?」
サラダが満足げに大きく頷く。
どうやらサラダの求めていた回答だったようだ。
午後に商品の納品を約束しサラダ商会を後にしギルドに戻った。
今回の販売価格は20G×400個=8000G
その内原価が:約500G
人件費:3500G(俺の儲け)
ギルドの儲け:2000G
税金:2000G
結構の儲けだが、この数の注文が続く訳ではない。
石鹸の宣伝を上手くやって、知名度を上げていって始めて安定した収入になる。
ギルドの昼休みにギルドの皆に集まって貰って報告する。
「と言うわけで今回、石鹸の販売についてサラダ商会と手を組むことになりました」
トールさんが驚きの表情で誉めてくれる。
「ラム君はなんでも勢いがあるけど、今度はこの町一番のサラダ商会との商談を纏めてくるとはさすがだよ!」
リーザさんは満面の笑みで質問してくる。
「ラムさん、今回の商談でいったい幾ら儲けたんですか?」
「俺の儲けが3,500Gでギルドが2,000G儲かってますね」
シアがポカーンと口を開いたアホな表情で俺の顔を見る。
「さんぜんごひゃくG・・・さんぜん・・・」
シアのアホな顔を見ながら話を先に進める。
「今回は俺が石鹸を作りましたが、今後はリーザさん、トールさんにも石鹸を作って貰いたいと思います」
俺ばかりが儲かったら悪いのでギルドの皆で均等に割っていこうと思う。
リーザさんがキラキラな笑顔で乗り気だ。
早速午後にギルドの依頼分のポーション作りは俺が引き受け、リーザさん、トールさんに石鹸作りをお願いした。
シアと俺は石鹸の納品に行った。
結果としては二人とも簡単に成功した。
どうやら石鹸のMPはポーションと同じ様で、二人で20個の容器の石鹸を完成させた。
容器から出して五等分にするので計100個の石鹸が出来たこ
とになる。
ポーション一個の買い取りが5G
リーザさんが作れる石鹸は一日に容器14個分
石鹸の買い取りが25Gなので断然に石鹸の方が割りがいい。
ただ現在は残念ながら依頼がないので、買い取りは出来ないが、今後、需要が増えてくれば相当儲けることが出来る。
その日の仕事終わり後に港にあるバーベキューの出来るビアガーデンでシアの歓迎会をすることになった。
なぜか俺の3,500Gを皆、当てにしている節があるが、俺は借金18,000Gあるからね!
シアと一緒にマーケットに買い出しに行く。
「シアはバーベキューしたことある?」
シアが下から俺を睨むが、最初のトゲトゲしさは無くなってるし、慣れたせいか、ぜんぜん気にならなくなってきた。
慣れって恐ろしいね。
「バーベキューくらいあるわよ!お父さんと行商してたから、野宿も何回もあるわ」
「行商してたんだね、なんか楽しそうだね」
ふと、下を向き一瞬止まるが、直ぐに作り笑顔で答えてくれる。
「まー楽しかったわね」
作り笑顔が気になってそれ以上は聞かないでおいて、話題を変える。
「シアは何が食べたい?」
ドッキッとする笑顔で即答してくれる。
「肉!」
なんか、最近シアのこの自然な笑顔を見る度に、心がざわついてしまう。
「やっぱりかー!」
「やっぱりて何よ!」
シアがちょっとだけ頬を膨らませる。
「だってシアに何食べたいて聞くと毎回、肉じゃん!」
「そんな事ないわよ、私だって野菜て言うことあるわよ・・」
「じゃあ、今日はシア野菜ね!」
「う・・・」
下唇を噛んで目がウルウルしてる!
「う・・・野菜・・・」
「冗談だよ!そんな事しないから!大丈夫だからね!」
「ご主人様のイジワル・・・」
シアが小さな声で呟いた瞬間、俺は膝から崩れ落ちていた。
ついに長かった異世界生活において、ご主人様と呼ばれたぞー!
俺の夢がひとつ叶った瞬間だった。
「ねえ、どうしたの?大丈夫?皆見てるよ、立てる?」
「シア、もう一度呼んでくれ」
シアの目をみてしかっりお願いする。
「え・・・」
シアが辺りをキョロキョロ見回し、顔を真っ赤にする。
「絶対、言わない!」
シアはそう言うと走り出して人混みの中に消えてしまった。
しょうがないので寂しく一人で買い出ししました。
取り合えず魚より肉を多めにしました。
買い出しを終えて港のバーベキュー場に行くと、シアも皆揃っている。
「あ!ラムさん、シアちゃんが迷子になってましたよ!ちゃんと連れて来てくださいよ!」
シアに目線をやるとプイッと横を向かれてしまう。
「すみません、反省してます。お詫びに肉いっぱい買ってきたんで許して下さい」
「そうですか、じゃあ気を付けてくださいね」
リーザさんがちょっと不思議そうに許してくれた。
皆で乾杯して歓迎会が始まったっが、まあいつも通りの展開になる。
「ねーラム!何でシアちゃんの事はシアて呼び捨てなのに、私の事はリーザさんて呼ぶのよ!」
「だってリーザさんは先輩じゃないですか。だからトールさんのこともさんづけですよ」
リーザさんは酔うと肩と肩がぶつかる距離で話てくる。
近いですよー!
ほら!ちょっと当たっちゃうじゃないですか!
「私達はメイソンて悪と共に戦った仲間じゃないですか!それなのに、さん付けなんて水くさいですよ!ねえ!トールもそう思うでしょう!」
「そうだね、ラム君はギルドマスターになったんだし呼び捨てでも言いと思うよ」
「尊敬している、トールさんを呼び捨てになんて出来ませんよ!」
「いや、尊敬なんて僕なんてたいした事ないし」
あ!トールさんは後輩からの尊敬に弱いようでめっちゃデレてる。
リーザさんの接近は止まらず
「ねー、リーザて呼んで、ほら、呼んでみて」
ガン!!!
プランさんの鉄拳がリーザさんの頭に落ちる。
「リーザ!いい加減にしなさい。もう、そんなにくっつくかないのこっち来なさい」
プランさんにテーブルの反対側に連れていかれる。
ああ・・・肘が幸せだったのに・・・。
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