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薬草採取

パッチっと目が覚めて外を見るとまだ暗い。

明るくなりそうな気配を感じる。

目覚まし時計がなくても結構起きれるもんだな。

そんな感想を抱きつつ、先輩を待たせる訳には行かないので直ぐにギルドに向かう。

うっすらと明るくなりつつあるので歩くのは困らない。


ギルドに着くとトールさんが待っていた。

「おはようございます。すみません。お待たせしました」

「僕もさっき来たところだから、ちょうど良い時間だったよ。それじゃあ、早速だけど出発するよ」


トールさんについて西の町の入り口に向かう。

西の門の前にくると、もう露店がやっている。

皆さん朝早くから、ご苦労様です。


「ここで昼ご飯と水を買ってから出発しよう」


トールさんに言われて露店を覗くとお弁当と水筒を売っている。

今食べる用と昼飯用に二個サンドイッチを買い、水筒も一つ買う。

15G支払いトールさんの所に戻る。


「トールさんはお弁当買わないんですか?」

「僕は持ってきたからね。ごめんね一つしか用意できなくて」


「気にしないで下さい。連れて行ってもらえるだけで嬉しいです」


町を出て街道を進んで行く。

きちんと整備されており道幅も広い。

さっき買ったサンドイッチを取り出し、歩きながら食べる。

今日のサンドイッチは魚を焼いた物が入っていてこれも旨い。


二時間ほど歩いたところで休憩する。


「トールさんこの辺りは危険はないんですか?」

「そうだねー。町の近くの街道沿いは安全だけど場所によっては、山賊が出たりモンスターが出ることもあるよ。」


モンスターに遇えるのを楽しみにしている。

異世界に来たんだからスライム、ゴブリンは倒してみたいよね。


「この辺りはどんなモンスターが出るんですか?」

「めったに居ないけど角ウサギとワイルドボアとディアが多いかな」

「結構強いんですか?」

「そうだね、出たら強烈な臭いの出るポーションを投げつけて逃げるから心配しなくて大丈夫だよ」


安心させるように優しく笑い掛けてくれる。

俺が女の子なら惚れちゃうよ。


「そんなに森の奥まで行かないから、出会う確率は低いしね。

じゃあ、この変で街道を外れて森の中に入って薬草を探そうか」


トールさんについて森の中に入って行く。

森に入ってすぐにトールさんがキノコを見つける。


「ラム君、見てごらん、このパワーきのこも錬金術の材料になるんだ。

これは主に力を増やす効果のあるポーションになるんだよ」


パワーきのこは赤黒いきのこで見るからに毒がありそうだけど・・・

トールさんは慣れた手つきできのこをもいでは袋にしまっていく。

俺も見つけて、きのこをもいでみる。

ポロっと抵抗なくとれてしまう。

きのこ取り楽しい!!!

夢中でもいでいく。

小さい頃にしたドングリ拾いを思い出すなー。


「ラム君、申し訳ないが荷物持ちを頼むよ」


採取の勉強をさせて貰ってるのだ。

それくらいは当然しなくてはいけないな。

トールさんからキノコの袋を受けとる。


森の奥には行かずに街道に沿って町の方向に進みながら森の中で採取を続ける。

また少し歩くと今度は白い花の咲いた雑草の前で足と止める。


「これは鈴花て名前で、マジックポーションの材料になるよ。これだけじゃ駄目で他にも材料が必要なんだけど、これも採取しておこう」


名前の通り、小さい花が鈴なりに咲いている。

匂いを嗅いでみると、一瞬甘い香りが花をくすぐる。

見ると結構な数の花が咲いている。

トールさんを見て真似しながら花の部分だけをとっていく。

花の部分を取っては袋に入れる作業を繰り返す。

二人で採取したので思たより早く取り終えた。


また進んで行くと先程のパワーキノコを見つけて、今度は自分で採取して袋にしまう。

ちなみに花の袋とキノコの袋は別の袋の為、袋を二つ持っている。


しばらく進むとただの細長い草にしか見えない雑草の前でトールさんが足を止める。


「この草はバラン草。キュアポーションに使う材料の一つだから採取していこう。

この草は他にも似た草があって間違いやすいから注意が必要だね。新人は良く間違える代表的な草だね」


確かにどこにでも生えていそうな草だ。

多分、一人では見分ける自信が全くない。


「結構、錬金術に使える材料が採れるんですね」

「そうだね、錬金術に使える材料て、ことならすべての物が使えるよ。ただ効果が高い材料は一部しかないけどね。

それかまだ発見されていない組み合わせで、そこに生えている、名もない草が凄い材料かも知れない」


「錬金術て奥が深いんですね!」

「そうなんだよ!ラム君は解ってくれるかい!

ただ最近の錬金術師は既存の効果の高いポーションしか作らないんだ。確かに既存のポーションは凄い効果だけど錬金術師なら色々研究すべきだと思うんだよね!」


「トールさんは色々と研究してるんですか?」

「ははは‥‥色々試してはいるんだけど、なかなか良い結果は出てなくて。研究費だけが掛かって大変だよ」


なるほど。

錬金術師はお金持ちだと酒場の子に聞いたけど、お金持ちなのは既存のポーションを商業的に作り続ける錬金術師で、研究が好きな学者タイプの錬金術師は貧乏だと。

なんかよくある話だな。


「研究テーマを決めてギルドやお金持ちに援助してもらったらどうですか?」

「‥‥‥、国とか貴族がお抱えの錬金術師に若返りの薬なんかを開発させようと、してるのは聞いたことがあるけど、そんなことできるのかな?新しい発想だとは思うけど、成功する見込みが低いのにお金なんか出してくれるかな。それに出来上がらなかったら、お金返せって言われそうだし」


やっぱり難しいか。

製薬会社が新薬を開発するのには莫大な研究費が掛かるようだし。

成功すれば特許を取って儲けられる。

この世界では作り方を秘密にして独占すればいいのかな。

だけど数が作れなければあまり儲からなさそうだし、量産するには人に教える必要があるし、悩ましいところだ。


さらにそんな話をしながら採取を続ける。

その後もトールさんは次々に素材を発見していく。


「自分一人で探したら見落としそうですよ」

「僕の職業は薬草採取師だから錬金術素材を発見しやすいんだよ。そういえばラム君はなんの職業に就いているんだい」

「狩人です」


本当は狩人の上級職レンジャーなのだが、珍しい職で知られていないので、狩人と答えている。


「狩人だと獲物を見つける能力が向上するんだよね。

後たしか危険察知能力も上がるって聞いたな」


職業:レンジャー


スキル:トラップ

(罠を仕掛けて獲物を数秒足止めする)

スキル:毒餌

(餌を毒化させる。食べると数時間麻痺状態になる)

スキル:スリープアロー

(矢に睡眠効果を付与する)


パッシブスキル(常時発動スキル)

獲物探知力向上(生きた対象を発見しやすくなる)

危険察知力向上(危険に対して敏感に反応出来る)

敏捷性向上 

待ち伏せ    (待ち伏せするとき敵に見つかりづらい)


ウサギの説明によるとレンジャーのスキルはこんな感じで、

狩人の上位職になるため、パッシブスキルは同じだが効果が高いと聞いている。


「そうですね、そんな感じです。なったばかりでスキルは使ったことが無いんですが」

「MPもまだ少ないだろうから1回使えれば良いと思うけど一度試したらどうだい?」

「そうですね、いきなり使う場面になっても使えないですもんね。じゃあ使って見ます」


「トラップ!!」


スキル名を唱えると自分の前方に光のサークルが出来る。

直ぐに光が消えて、まったく見た目には変化がない。


「えーと、成功ですかね?」

「たぶん成功だと思うんだけど、試しに僕が乗ってみるね」

「大丈夫ですか?怪我とかしませんか??」

「トラップのスキルは獲物を短時間足止めするだけで、攻撃能力はないはず‥‥」


トールさんはそう言うと恐る恐る地面が光った方に歩いていく。


「わあぁぁぁぁぁ」


トールさんが光った地面辺りに近づくと地面が再度光、情けない声を出してトールさんは尻餅をついて倒れてしまう。

すぐに駆け寄り怪我が無いか確認して、手を貸して立ち上がらせる。


「いやー凄いスキルだね。これで獲物が倒れた所を仕留めるだね」


凄いスキルだ。

他にも選ぶ時に賢者や聖騎士なんてかっこいい職業が並んでいた。

地味なレンジャーなんて選んでみたけど、さすが上位職だ。

今度はトールさんがいない所で色々試してみよう。


「じゃあ、スキルも試したし、先に進もうか」


さらに採取を続けながら進むが目的のポーションの材料の薬草が見つからない。


「なかなか薬草ありませんね」

「薬草は魔力の濃い森の奥に行けば、すぐに見つかるんだど危険だから森の入り口で探索してたけど、薬草を採るため少し奥まで行って見ようか」

「モンスター大丈夫ですか?」

「そうだね、確かに危険だけどラム君が狩人だからモンスターが近くにいたら教えて欲しい。直ぐに逃げよう。それにもし出会ってしまっても、臭いポーションもあるからね。危険はあるけど、今日の仕事に新鮮な薬草が必要なんだ」


トールさんが大丈夫と思うならなんにも知らない自分はついていくだけだ。



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