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リーザさんの服選び

 午前中に石鹸作りで必要な資材の手配が完了する。

これで第一段階の自分達内部の環境が整った。

次は外部の問題に取り掛かっていくことになる。

外部要因の解決の鍵になるのが強力な商会の存在だ。


 昼食中にに皆に集まってもらう。

トールさん、リーザさん、プランさん、シア。

皆、通常の仕事が在る為、この時間帯しか皆集まれなかったのだ。


「会議を開始します」


俺、ギルドマスターの言葉と共にスタートする。


「午前中にトールさんの紹介で石鹸製造の道具の発注が完了しました。道具が揃えば一日、125個石鹸が作れる予定です。次にすることが

①石鹸を誰がいくらで買ってくれるのかを調べる事

(顧客調査、ニーズの調査、ターゲット層の絞込)

②王都の石鹸の品質を確認して当ギルドとの違いを把握する事

(どこがうちの強みで、弱味なのかを把握する)

③石鹸の販路を作る事になります」


元気良くリーザさんが手を上げる。


「はい!」

「はい!リーザさん、何でしょう?」

「①と②は何となく分かるんですけど③はうちのギルドで販売すれば良いんじゃないですか?」

「はい!良い質問です!」


ここでシアに質問してみる。


「シアはなんでうちのギルドで販売しないと思う?」


いきなり質問されて目をパチパチしている。

関係ないと思って油断していると、指してくる先生いたよね。


「・・・たぶん、売らないんじゃなくて、売れないと思う」

「正解!」


さすが商人の娘で商売が好きって答えるだけの事はある。


「プランさん、一日に125個の石鹸を仮に王都の石鹸と同じ100Gで売れますか?」

「うちの小さなギルドじゃ無理なんじゃないかしらね?だって12、500Gもうちの取引先じゃ、払えないと思うし、仕入れても、そんな高いの簡単に売れないわよ」


いつも窓口に立って、取引先と接しているプランさんの感覚は間違っていない思う。


「そうなんです。一日に一個か二個は売れるかも知れません、話題になって十個売れるかも知れませんが、うちの石鹸の生産能力は一日125個!月間で二十日、製造したら2、500個!一年30、000個!」


一旦、間を置いてリーザさんに質問する。


「リーザさん、この数売れると思いますか?」


ブンブン首を振る。


「では話を進めます。この三つの問題をまとめて解決する方法があります」


皆を見回すと興味深々だ。

特にシアなんかはいつもの目線が嘘の様にキラキラの眼差しで、前のめりになっている。

本当に商売が好きなんだなー。


「それは大商会と手を組むことです。シアはなんでかわかる?」


しばらく考え込む。


「まず、大手の商会なら色々な物を売っていて、どういう人が、どの位の価格なら買ってくれるのか把握していると思う。それに貴族とか金持ちにも顔が広いし、色々な町に支店があるから顧客数も多いと思う」

「さすがシアだね!」


シアが子供の様な笑顔を覗かせる。

トールさんも賛同してくれる。


「確かに王都のギルドも一個の商会が独占してるし、うちも商会と手を組んだ方が良さそうだね」


「そこで、誰か信頼出来る商会しりませんかね?」


みんな黙ってしまう。


「うちのギルドと付き合いのある商会はどこも小さいからねー」

「取り合えず、この町にある商会で売り上げの高い上位三商会と交渉してみよう、一番信頼の出来そうな商会と手を組みましょう。シア、アポイントを取って来て」

「え!?私!」

「うん、俺たち錬金術師でシアは商人でしょ。シアのが得意でしょ」


え!なにそのジトーとした目線!シア目線だけで感情表現し過ぎだから!


7日後、石鹸の道具が揃って生産がスタートしたら、ベルクドの町にある有力な商会の商会長と会えるアポイントをシアにお願いした。


「まず、プランさんや、ギルドの取引先から有力な商会を目星をつけよう。時間と日時は向こうに合わせると伝えてくれ、その代わり商会長と直接話がしたいと」

「分かった、交渉してみる」


ただ、商会に交渉する前に自分達でも

①石鹸を誰がいくらで買ってくれるのかを調べる

②王都の石鹸の品質を確認して当ギルドとの違いを把握する

を調べておく必要がある。

交渉を有利にするのに情報は絶対必要だ。

こちらが情報を持ってなければ、嘘をつかれたり、向こうに有利な話しに持っていかれてしまう。

情報は多いに越したことはない。


王都の石鹸は町の上側の商店街で売っているので、シアに買いに行ってもらう。


その間に俺はポーション作りで少しでも稼ぐ。

何たって一家の大黒柱ですからね!

錬金術の本を開き今ある材料で作れるレシピを探すと、「魔物避け香」が出来そうだ。


魔物避け香のレシピ

魔除け草(乾燥)、聖木(乾燥)、魔毒草(乾燥)、魔石、水


魔除け草:乾燥させて炊くだけでも魔除けの効果がある。

聖木:この木の近くには何故か魔物が寄り付かない。

魔毒草:魔物が食べるとお腹を壊す、死んだりはしない。


魔除け草(乾燥)、聖木(乾燥)、魔毒草(乾燥)を計量しお椀にいれます。

次に水を加えて練ります。

さらに魔石の粉末を加えて練ります。

最後に好きな形に整えて完成。

最後に「錬金術」を掛けたら出来上がり!


ポーション以外の錬金術が楽しくて、シアが帰ってくるまで夢中で粘土をこねて遊んじゃいました。

とんがり帽子型とか、渦巻き型とか猫型ロボットもつくっちゃいました。

これ売れるかな・・・。

納品は止めてシアにプレゼントしとこ・・・。


シアが帰って来たので石鹸を五等分して、各自持って帰って使用感は明日、報告しあうことにした。

今日作ったポーション類と猫型ロボット以外の形の魔除け香を納品し、締め作業をして帰ろうとしていると、リーザさんが甘えた声で話し掛けてくる。


「ラムさん、約束覚えてますか?」

「へ?・・・えーーーと、なんの約束でしたっけ?」


「ラムさん」


リーザさんの声がワントーン低くなる。


「服選んでくれるっていったじゃないですか!」

「その約束ですね!もちろん覚えてますよ!」


リーザさんの声がさっきの甘いトーンに戻る。


「この後、なんて時間ありますか?」


「俺は勿論、予定は無いので大丈夫ですよ」


リーザさんとシアと三人でリーザさん行き付けの服屋で服を選ぶ事になった。


リーザさん、行き付けの服屋は、マーケットから少し歩いた極小な店だった。

ここの女主人が自分でデザインして、自分で作っているらしく、工房と商店と自宅を兼ねている。

どの服もちょっとワンポイントの花柄がついていたり、裾にレースがあったりしてお洒落だ。


「じゃあ、ラムさん、服を選んで貰えますか?」


まず始めに着せてみた服は、緑のシャツに白のスカートを合わせて格好だ。

茶色ぽい緑のシャツがリーザさんの髪色とも合っているし、リーザさんの清楚な感じもスカートの白で表現出来ていて、良い!


「リーザさん、すごく似合ってると思いますよ!」

「そうかな、そうかな、可愛いかな?」

「とっても可愛いですよ」

「へへへへ」


鏡の前でくるくる回って何度も確認している。


「別の服も試着してみましょうよ!」


この機会に色々な服を着せて、リーザさんの可愛さを堪能しておこう!


今度は淡いピンクのカットソーに胸の所に花柄の刺繍がしてあるものを着て貰う。

下の白の長めのスカートはそのまま履いていてもらう。

フンワリしたリーザさんの雰囲気にピンクはぴったりだけど、可愛さを狙い過ぎて、甘くなりすぎかな?

男性受けは良さそうだけど、特に花柄の刺繍に目が行っていまう。

へへへ、花柄最高!


「パコーン!」


小気味良い音と共にシアに頭を叩かれる。


「リーザお姉様をそんな目で見るな!この変態が!」


シアが小さな鼻を膨らませて、目を吊り上げていた。

あれーーーーえ!?

奴隷ルールで主人には危害を加え無いんじゃなかったの!?



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