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お風呂屋さん

シアに100G渡して買い物に行かせる。

さすがに、女の子と一緒に下着を選ぶ勇気は無い。

選びたいって願望は有るんだよ、有るんだけど・・・恥ずかし過ぎる。

シアがどんな下着を選ぶか想像して待っていたが、一向に帰って来ない。

もう辺りは暗くなり始めているよ。

シアが逃亡したの!?


実はマーケット内にシアが居るの事は分かっている。

だって、獲物探知スキルが有るからね。

さっきマーケットを見たそうにしてたけど、俺が居ると遠慮して見れないみたいだから、しばらく放置していた。

でもさすがに、遅いのでシアを迎えにいく。


「シア、探したよ」


実際は一直線で来たけど。

俺に気付いて辺りを見回して、辺りが暗くらっている事に気付き、ばつが悪そうな顔をする。


「何、見てたの?」


シアが足を止めて見ていたのは、髪飾り屋さんだった。


「どれか欲しいの有った?」

「無い。ただ見てただけだから」


シアの肩より少し長い髪は黒い紐で縛ってあるだけだ。


「いいよ、必要でしょ。どれが気に入ったの?」

「要らない、これで十分だから」


シアが強情なので勝手に選ぶ事にした。

その中で目に付いたのが大きめの青いリボン。

シアの髪に当ててみると金髪に良く映えて似合っているし、リボンの可愛さがシアのムスッと顔を和らげてくれていいな。


「このリボン下さい」

「20Gね」


代金を支払いシアにリボンを手渡す。


「早速、着けてみてよ」

「・・・・・・」

「シアが選ばないからいけないんだよ。せっかく買ったんだし一度は着けてよ」

「・・・」


シアは無言で受け取り髪に結ぶ。

やぱっり想像してた通り、良く似合っている。

いや、これは想像以上に良いもの買ったと、内心でニヤニヤが止まらなかった。


辺りも暗くなっていたのでマーケットの中にある屋台で、夕飯を済ませる。

銭湯に向かって歩いていると、シアに袖を引っ張られる。


「ん?どうしたの?」

「さっきは遅くなってごめん」


シアが下を向きながら話しかけてくる。


「大丈夫、女性の買い物は長いって言うからね。逃げるなんて思ってないよ」

「うん」


またしばらく歩くと袖をツンツン引っ張られる。


「後、服とリボンありがとう」


小さな声で呟く。

何これー!可愛いんですけどー!


銭湯に入ろうとすると、シアが付いてこない。


「シア、銭湯に行くよ」

「いい、行かない」

「でも、お風呂に入らないと汚いよ」


シアが首をぶんぶん振って、拒否する。

なにこの子、汚女子なの!?


「お金は気にしなくていいから、お風呂行こうよ」


シアが顔を真っ赤にしてうつむきながらゴニョゴニョ言ってる。


「なに?シア、何て言っの?」

「私、そおゆうこと、したことないし・・・」

「へ?」


真っ赤な顔で睨み付けながら大きな声で言う。


「だから、私、夜の相手なんて絶対しないんだから!!!」

「ええええええ」


何にをこの娘、大きな声で言ってるの!

周りがザワザワしちゃってるよ!

おばちゃんは若いわねーて笑ってるし、おじさんには睨まれるし。


「シア、シーー!!夜も遅くてご近所迷惑だから、落ち着こう!」

「うーーー」

「そんなつもりで、お風呂に来たんじゃないから、ね、ね。そんな目で見ないでよ、違うから!」


シアの誤解も解けないし、周りのおばちゃんはヒソヒソ話してるし、もう帰りてー!


「分かった!本当にそんなつもりでお風呂に来た訳じゃないけど、今日はもう帰ろう、ね」


だから、そんな目で見ないでよ!


「本当?」

「むしろどこでそんな誤解したのさ!」

「う・・・だって、奴隷商館でそう言われたし・・・」

「それ間違った知識だから!・・・・・・いや、間違ってはないか?」

「やっぱり!そうなんだ!」

「違う!違う!俺の場合は純粋に風呂に入りたかった、だけだから!」


その後、何とか誤解は解けた。


「じゃあ、風呂に入るけど、シアにはこの石鹸を使って欲しいんだ」

「・・・やっぱり」


シアが睨んでくる。


「ちがーーーう!」


思わず叫んでしまった・・・


「シア、もうそこから離れようね・・・。売り出す石鹸を従業員、皆で使って、使用感を確認しているんだよ。シアにも使って貰って感想を聞きたいんだ」

「そうなら、そう言ってよ!」

「ごめん・・・」


俺、悪いことした!?


風呂から出て、ギルド宿舎に戻りながらシアに感想を聞く。


「シア、石鹸を使ってみた、感想を聞かせて?」

「・・・凄く、髪がさらさらになった。頭皮も軽くなった気がして気持ちが良い」

「悪い意見も聞かせて?」

「・・・これっていくらで売るの?」

「まだ決めて無いけど、王都では石鹸が100Gで売られているらしいよ」

「欲しいけど高いんだね。奴隷になった私じゃ、もう買えないや・・・」

「値段設定は迷っていて、まず王都の石鹸を一度使ってみて、うちの石鹸と比較したいんだよね。後、生産能力が低ければ数が作れないから、値段を高くしないと儲けれないけど、生産能力が高ければ、薄利多売で利益も出せる。今日、話してたけどまず生産能力を出来るだけ上げていきたいんだ」


シアがじっと俺の目を見つめる。


「製造出来る量が少なければ、値段を上げるって戦略しかとれないけど、いっぱい作れれば値段を下げる選択も出来る。石鹸を作れるのは王都にある錬金術ギルドだけなんだ。レシピは極秘扱い。うちで石鹸のレシピの開発に成功したけど、信頼が出来る人しか石鹸作りには参加させられない」


シアの金色の瞳の奥を覗き込むように見つめる。


「だから、シアはうちのギルドに必要なんだよ」



次の朝、毛布も買って暖かく眠れた。

大きく伸びをしてシアを起こしに行く。


「シア朝だよ、起きてる?」


ゴトゴト音がするので待っていると、扉が開いてシアが出てくる。


昨日買った、青い服に青いリボンを髪に結んでポニーテールにしている。

シアの白い肌と服い青のコントラスト。

金髪に映える青いリボン。

リボンの青と服の青が互いに引き立て合っていて良く似合っている。


「おお!良いね!凄く似合ってるよ!可愛い!」

「・・・」


キッ!て睨まれる。

あれ?誉めたのに睨まれたよ、最後の一言が余計だったか?


シアと共にいつものお粥の屋台に行く。


「おはようございます。お粥二杯お願いします」

「おはようございます」


今日はシアも自分の方から挨拶している。


「おはよう、いつもありがとね。あらー、今日の青い服良く似合ってるわね。リボンも可愛いわー」


屋台のおばちゃんに服を誉められて、ちょっと嬉しそうだ。

ギルドに行くとリーザさんとプランさんにも服とリボンを誉められている。

いやー、さすが俺の見立てだね。

俺のセンスが光っているね!

まー、シアは元が良いから、実は何を着せても可愛いんだろうけどね。


ひとしきり女子でワイワイやっていたが、リーザさんだけ俺の所にやってきて、ジーと見られる。


「どうしたんですか?」


ちょっとモジモジしている。


「ラムさん、シアちゃんに洋服選んであげったて」

「シア、服一枚しか持って無いので、洗い替え用の服が必要だったので、昨日一緒に買いに行ったんですよ」

「私の服も今度一緒に選んでもらえますか?」


お!俺のセンスの良さが認められたか!

リーザさんには白をベースにピンクを入れたり、黒でシックに攻めても可愛いかも・・・ちょっと露出多くしたり・・・

夢が広がるぜ。


「勿論ですよー。一緒に行きましょうね」

「約束ですよ!」


リーザさんが心なしか軽い足取りで戻って行く。

これってリーザさんとデートだよね、楽しみだけど、トールさんは良いのかな?


午前中のうちにトールさんと一緒に昨日話していて、資材の注文にギルドの付き合いのある工房を訪ねる。

石鹸を固まらせる、容器を5G×100個。

石鹸の油の量を量る専用の10×容器一個。

ブルースライムの液を量る柄杓型の計量スプーン10G×一個

眼鏡20G×一個 を注文する。


出来上がりは明後日には出来るそうだ。


道具が揃えば石鹸をある程度の個数を作れる。

一個の容器で出来た石鹸を五等分して販売する予定だ。

石鹸が固まるまで三日かかるので、一日当たり25個の容器に石鹸を作って回していく。

一日に125個作れる計算になる。

軌道に乗ってくれば更に道具を増やして更に増産体制に入る。


これでギルド内の製造ラインの問題は解決した。

①備品の確保

②作業効率の工場

③従業員の安全確保


後やることは、競合の調査と市場のニーズの分析と販路の開拓だ。

この辺りは自分達でやるよりも強力な商会と手を組めると、いっきに解決するからだけど、信頼が置けてある程度力のある商会なんてどうやって探そう?



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