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このギルド赤字なんですけど!

次の日、朝からリーザさんに付いてギルドマスターの仕事を教えてもらう。


「まずは納品依頼の受け付け確認ですね」


目の前に出された書類に目を通す。

特に普通の受注書でいつまでに、何が、何個、欲しいと書いてある。


「プランさんが受付の段階で、期日と個数は相手と詰めてくれていて、うちのギルドの生産能力に合わせた受注にしてくれているので、基本判子を押すだけですよ」

「プランさんめちゃくちゃ優秀じゃないですか!

もうプランさんがマスターで良いんじゃない!」


言われた通り判子を押して、プランさんに渡す。


「はい、これが在庫が足り無い商品のリストだから、皆に仕事割り振っておいてね」


プランさんから渡された紙には今日、納品しなくちゃいけない、ポーション名が記載されている。


「そんなに数は多くないので、俺が一人で午前中に作りますよ」

「さすがラムさん!普通なら二人で一日は掛かりますよ!」


リーザさんがキラキラの眼差しで見てくる!

眩しいー!!!

リーザさんの笑顔がまぶしてくて、見返せないよ!


次に、素材ギルドから納品された素材の検品リストに判子を押してプランさんに返す。


「はい、次はこれに判子頂戴な」


プランさんに次に渡されたのは、素材の発注書で内容を確認しこれにも判子を押してプランさんに返す。

プランさん本当に優秀だな。


「マスター、時間があればポーションもお願いしますね」

「わかりました。午後になるべく作りますね」


プランさんにポーションをさりげなくお願いされたけど、これだけ仕事をしているプランさんのお願いじゃ、嫌とはいえないよね。

これでマスターの朝の仕事は終わり、自分の錬金術を開始する。

依頼書の中にキュアポーションが含まれていた。

初めて作るレシピはワクワクするんだよ!


キュアポーションのレシピ


赤ピーマン(生)、春海草のネバネバ、ハラン草、水、魔石


こいつはちょっと一手間掛かって、まず春海草を細かく切っていく、さらに細かく切っていく、さらに細かく切っていく。

切れば切るほどネバネバが出てくる不思議な草。

名前の通り、春になると海でいっぱい採れる。

出てきたネバネバだけを容器に移す。


バラン草も擂り潰さないで、切らなくてはいけない。

これも細かく細かく切っていく。


赤ピーマンは擦り潰して、混ぜ合わせていけば完成。


「錬金術!」


光が収まると青色のポーションが出来上がった!

光にかざして、色の美しさに満足する。

ポーションを作った後に光にかざして、確認する時は錬金術の楽しい時間だ。

自分の作った作品が、どれだけの出来映えなのかを確認して、もう少し上手に作りたいなって反省したり、出来映えに自己満足してうっとりする大切な時間。

その後も順調にリストのポーションを仕上げていく。


「プランさん出来ましたよ!」

「さすがマスターね。仕事が早くておばちゃん助かるわ。後、これに判子頂戴ね。この前の騎士団の依頼料の書類ね」


書類にざっと目を通すとだいぶ普段より安い金額で受けたのが分かる。

午前の依頼分を終えてプランさんに納品し、今日のノルマは達成したので、午後の自由時間を使って、昨日貸してもらたギルドの帳簿を読むと何点か疑問が出てきたので、トールさんとリーザさんに集まってもらい、話を聞いてもらう。


「仕事中にすみません。二人に集まってもらったのは、この帳簿の件、何ですが、ざっと見た限り赤字ですよね・・・」


リーザさんに視線をやると、スーと逸らす。

トールさんは驚きの表情をしている。

トールさんはあんまりお金の事には無頓着で、どちらかと言うと職人気質だからなー。


「読んでみて何個か問題点が見つかったんですけどまず

①売り上げが少ない

②販売管理費のうち固定費が高い

です」


トールさんにさらに詳しく説明していく。


「①番と②番の問題は結局は同じことなんですど

まず毎年ギルド本部に上納金を50000G納める必要がります。

次に売り上げの25%を税金で領主に納めます。

仕入れ原価が大体25%くらいで、

残りの50%で販売管理費を支払うんですけど、人件費が30%弱。

賃料、光熱費、修繕金、上納金積み立て、等で30%あります。

全部足すと110%になるので、すなわち赤字なのです」


目を逸らせた、リーザさんが今度は俺に期待の眼差しを向けている。

いや、リーザさんギルドマスターじゃなくなって嬉そうですね・・・


「で、まとめると売り上げの80%は税金、材料費、人件費に消えてしまい、売り上げの20%がギルドに残ります。

20%の中から固定費を支払う訳ですが、以前はギルド員が多くて残る金額も多かったから、支払えていて問題無かったです。でもギルド員が引き抜かれた為に残る%は同じでも、金額ベースで考えると減少するため赤字に陥ったと考えられます」


トールさんが深く頷いて、リーザさんはキラキラ見つめてくる。

良くニュースで赤字企業の大規模リストラが、取り上げ挙げられている。

赤字企業を建て直すのにてっとり早いのが、販管費の圧縮すること、すなわち人件費の削減になるわけだが、この錬金術業界はそれが出来ない。

人件費=ギルド員=売上となるわけで、完全歩合制なのと、一人が生産出来る量が決まっていて、作った分だけ売れるので人件費を減らしたら、それだけ売上が下がっていしまう。


むしろ、人件費比率を上げて他のギルドから錬金術師を引き抜いてきて、売上を上げる作戦すらある。

となると後、削減出来て効果の高い項目としては固定費の賃料しかない。


「なので赤字の解消にはさっき言った、売上を上げるか、固定費を下げるしか無いわけですが、多分ギルド員の人数に対して、このギルド会館が大き過ぎるんですよね。この人数ならもっと小さな場所に引っ越して、賃料を下げることは出来ますか?」


「ラム君すごいね・・・ちょっと帳簿を見ただけで、そんな事も分かるのかい!」

「ラムさん凄いです!」


パチパチパチパチ

て、リーザさん拍手しない!


「ラム君は錬金術も出来て、キングウルフも倒して、今度はギルドの数字まで分かって、本当に何者なんだい・・・」

「まーそこは流してもらって、リーザさんどうですかね?」


その話はめんどいくさいのでトールさんの質問はスルーする。

トールさん拗ねちゃったよ。


「はい!そうですね、私の考えではあまりお勧め出来ないですかね、まず錬金術室を作るのに結構お金が掛かるので、移転先に設備を揃えるとなると、相当長い目でみないとプラスにならないと思いますよ。後、この場所はこの町のメインストリートに在るので、ギルドの設置場所としてはこれ以上に良い場所は無いですね」


なるほど、錬金術室のことは考えて無かったな。


「じゃあ、裏の従業員宿舎って必要ですかね?あれって俺しか使ってないですよね?」

「レントさんも使っては居るんですけど、いつも錬金術室で寝てるみたいで、確かに部屋は余ってますよね」

「宿舎か借りるのを止めるだけでも、だいぶ固定費が削減出来ますよ」


俺の住む場所が無くなるけど、二人であの部屋数の宿舎は勿体無い。

お金も稼げる様になったし、家を借りても暮らしていけるはずだ。


「ラムさんが良ければ、解約しちゃいましょうか」

「それが、いいですね」

「すると、これ以上の経費削減が難しいとなると、売上を上げるしか無いですね」

「でもラム君、売上をを上げる為にはギルド員を増やさないと駄目だよね、メイソンギルドに行ってしまった人に声を掛けて、戻ってきてもらうとかかな?」


リーザさんはやっぱり暗い顔になっている。

理由はあるにしろ、辛かった時期にリーザさんを見捨てた人に、頭を下げて戻って来て欲しいとは言いたくないな。

向こうから言ってきてリーザさんが許すなら、戻ってもらいたいけど。


「売上を上げる方法は二つ程考えてあります。まず一つ目が俺に作業補助を付ける。二つ目が石鹸を売り出すです」


「「石鹸!?」」


リーザさんがすごく驚いてるよ!






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