今日もひたすらポーション作り
ハイマジックポーションを一つ作り終え、次に試してみる錬金術を探す。
次に目をつけたのがパワーポーションだ。
確か以前の薬草採取の時にパワーキノコを採ってきたので材料もあるはずだ。
プランさんにパワーキノコの在庫場所を確認すると、ついでに素材の出し入れの帳簿の付け方もレクチャーを受ける。
「毎回、持ち出す度に記入していたんですね」
「そうなんですよ、良く使う材料は各部屋に置いておいて、毎日夜に数量を確認して、足り無い分は補充して、使った分をまとめて書いてますけど、こっちの素材庫は都度記入してますよ」
ギルドの裏方の仕事も大変だな。
錬金術師がMP回復の時に事務仕事をしても良いが・・・。
「ラムさん、ギルドマスターになって直ぐで、申し訳ないんだけど、出来れば事務の子を増やして欲しいんだよね。おばちゃん一人じゃ大変でね。今までリーザに手伝って貰ってたけど、出来ればあの子には錬金術師として、頑張って欲しいから事務の仕事は無くして上げたいんだよ」
「そうですよね。一度トールさんに相談してみますね」
トールさんの部屋を訪ねる。
「トールさんちょっと相談があるんですけど」
「はい、どうぞ」
トールさんに椅子を勧められて座るとお茶を出してくれる。
「プランさんから聞いたんですけど、事務の人が足りなくて補充して欲しいて」
「ああ、そうだね。今はリーザがフォローしているからなんとかなってるけど、早く事務を増やした方が良いね」
「従業員てどうすれば雇えるんですか?」
基本的な質問で申し訳ないが、この世界のハローワークなんて知らないからなー。
「ギルドの掲示板に従業員募集の紙を貼ったり、知り合いにお願いしたり、商業ギルドに斡旋してもらったり、が多いかな。ただ、メイソンの事があって、リーザも僕達も人間不信になっていて、信用出来る人以外採用したくないってのが本音だね」
「信用出来る人って一番難しいですね」
「募集をかければ、直ぐに人は見つかるけど、信用出来る人がなかなかいないのと、事務仕事だから読み書き、計算も出来ないといけない」
出た!異世界識字率問題!
確かに義務教育がなければ、識字率と計算なんて覚えないよね。
親が出来なければ、子供も出来ないだろうし。
「文字と計算はどのくらいの人が出来るんですか?」
「あまり、多くは無いね。文字と計算が出来る人は仕事が見つかり易いから、仕事に就いてる事が多いんだよ。町で育った子達は、比較的商人の子が多いから出来るけど、農村の出身の子はまず出来ないね」
人事採用もなかなか難しいなー。
①信用出来る人
これってノットさんでも裏切ったのにほぼ無理じゃない!?
②文字、計算が出来る人
これに関しては最悪教えればなんとかなる。
物覚えが悪かったら無理だから、ある程度頭の回転や記憶力が良いのは条件として必要だな。
後、確認したいのが、このギルドの財務状況で人を雇う事が出来るのか?
「後、もう一個だけ質問なんですが、このギルドって人を雇う金銭的余裕てあるんですか?」
「多分、大丈夫なんじゃないかな?今までも雇っていたし。僕はその辺りの事はリーザに任せっきりでさ」
トールさんにお礼を言って、次にリーザさんを訪ねてこのギルドの財務状況を聞くことにする。
「リーザさん、聞きたい事があるんですけど、時間ありますか?」
「はーい、大丈夫ですよ」
花が咲くような笑顔で部屋に迎えてくれる。
ギルドマスターを辞めたからか、今まで以上にニコニコしている。
先程のプランさんとトールさんとのやり取りを伝える。
「新しい人ですか・・・」
ちょとリーザさんの顔が曇る。
やはり、人間不信になってるなー。
採用するなら、リーザさんが納得しないと、難しいそうだな。
「事務仕事なら私がやるんで、新しい人を採用しなくても大丈夫ですよ」
「当面の間はリーザさんにお願いしたいんですが、一応、現状を把握だけしたくて」
「そうですよね、じゃあ帳簿持って来ますね」
リーザさんに帳簿を持って来てもらって目を通す。
数字がいっぱいだね!
ぱっと見たけど、まず何が適正な数字かも分からないし、比較対象もなく現状は何も言えないので、借りて後でじっくり見ることにした。
さあ、部屋に戻って錬金術の続きを行う。
パワーポーションのレシピ
パワーキノコ、ミルク貝(乾燥)、ボアの肉(乾燥)、水、魔石
作り方は基本通り
各材料を計量し、均一の大きさに砕く、水、魔石を加える。
パワーポーションは各材料の分量が一個づつが多い。
「錬金術!」
ピカ!っと光、光が収まると赤いポーションが出来上がっている。
一回に服用する量がパワーポーションは多い!
味が不味かったらキツい量だな。
ここで一回プランさんに納品査定に行く。
「プランさん納品お願いします!」
「はい、マスター。ちょっとまってて下さいね」
マスターて中々良い響きだな!
「ラムさん、あんたまたとんでもないの作ったね」
あれ?マスターからラムさんに戻った。
「ん?どっちが凄いんですか?」
「こっちのだよ!」
プランさんが手に持っているのはハイマジックポーションの方だ。
「そっちですか」
「そっちですかって・・・あんたは価値も知らずに作っちゃうから質が悪いねー」
「まず、ハイマジックポーションが750G」
「おお!!高い!」
「次が、パワーポーションが50G」
「おお!!安い!」
「なんですか!この差は!」
「難易度の問題が一番だよ。ハイマジックポーションは作れる人も少ないし、さらに一日に作れる量もベテランで二本が限界だって。市場に出回る量も少ないんだよ」
作る時間はそこまで変わらないんだったら、ハイマジックポーションを作るのが時間効率が一番いいな。
「でも、ラムさん、ハイマジックポーションなんて毎日作られても、うちのギルドじゃ買い取れないよ」
「え?駄目なんですか?」
「うちの取引先にそんな量を捌ける取引先が無いからね、ラムさんがもっと稼ぎたいなら、ギルドマスターとして大口の取引先を探さないとね」
うげ!世の中、そんなに上手く行かないな。
俺の生産能力が高いんだから、今後、作った分を全て捌ける取引先を探す必要があるな。
取引先なんてどうやって見つけるんだ?
やっぱり飛び込み営業かけたり、DM送ったりするだろうか・・・?
「今、依頼があるのはハイポーション、マジックポーション、魔物避けポーション、キャア系のポーションも需要が高いわね。でも一番納品して欲しいのはポーションね」
「ポーションですか?」
「そうなのよ、一番需要があけど騎士団の依頼を優先させてて、ポーションの依頼がすごく溜まってて、あまりお客さんを待たせると、メイソンのギルドに流れちゃうわよ」
確かに大口の依頼を優先して、普段からの常連を失ったんじゃ本末転倒だな。
確かにポーションはあんまり儲からないから、作りたく無いけど、マスターとしてやらなくちゃいけないな。
大手のギルドだと新人がいるから、簡単なポーションなんかは新人がひたすら作るけど、このギルドは錬金術師も四人しかいないからな。
「プランさん、溜まってるポーションの依頼て何個ですか?」
「五十個は欲しいかしら」
うげ!
この前あれだけ作って、お腹一杯なんだけど仕方ない・・・
自室に戻ってポーションを作る。
夕方まで作って二十個ほど作ってプランさんに納品する。
今日の収入
ハイマジックポーションが750G
パワーポーションが50G
ポーション二十個で100G
やっぱり、ポーションは割りが悪いなー。
ただ、作っても買って貰えないんじゃ意味無いし、当面は単価の高いの少しと、ポーションを大量に作っていこう。
錬金術を終わりにして、プランさんに今日の締め作業を習ってその日はギルドを後にした。
締め作業はやらなくて良いんだけど、マスターが知らないのは不味いよね。
転生して悠々自適な暮らしがーーー!!!
PS・・・猫耳メイドさんが欲しいな・・・。