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リーザ視点3

トールとラムさんの帰りを待っている時間は本当に長く感じた。

ポーションを作っている時は少しは気が紛れたので、私はとにかくポーションをひたすら作り続けて二人の帰りを待った。


「リーザ居るかー?」


ラムさん達が帰ってきた!?

私は慌てて錬金術室からギルドホールに向かう。


「よう!」

「ミッツさん!」

「ギルドで聞いたぜ、なんか大変みたいだな」

「うぅぅぅ・・・」

「おい、おい泣くなよ・・・」


ミッツさんの顔を見ただけなのに泣いてしまった。


「相当、やられてるみたいだな」

「ごめんなさい」

「謝らなくたっていいぜ。メイソンの野郎もちょっとやりすぎだな・・・。取りあえず俺の方でも依頼受けて薬草採ってきてやるから」

「ありがとうございます」


ミッツさんの優しさに、また泣きそうになりながら精一杯、頭を下げた。


「量はあんま期待すんなよ、俺は薬草採取師じゃねーからよ。採れた分はプランに納品しておくぜ。メイソンとゴロツキ冒険者には、この町で調子に乗ったらどうなるか教える必要がありそうだな。ま!元気だせや!」


また私は助けられた。

一人でギルドマスターが出来ると思っていたけど、自分では何にも出来なくて、皆に助けてもらってばかりで。

カランカラン

扉が開いてトールとラムさんが帰ってくる。


「ただいま帰りました!」

「おかえりなさい!」


二人が帰って来てくれた!

ラムさんは血だらけで、大ケガをしたと思ったら、キングウルフを倒して返り血で服が汚れたって言っていたけど、ウルフでさえ遇ったら生きて帰れないのに、キングウルフを倒しちゃうなんて本当にラムさんって何者なの!?

でも凄いな、ハイポーションも作れてさらに強いなんて。

更に私に優しいし、ラムさんの株が私の中で急上昇なんですけど!

安心したらもう起きてられない、自分の錬金術室の机の上で気付いたら寝てました。

どの位寝たのか分からないけど、MPが回復しているのである程度寝てたみたい。

薬草の目処がたったので、ノットさんの進捗を確認しに行く。


「ノットさんいますか?」


返事がないので部屋に入って、進捗を確認することにする。

あれ?ハイポーションもマジックポーションも置いてない?

ノットさんの机の上に紙が置いてあるだけ。


「リーザ宛

リーザすまない。謝って許されないのは分かっている。

俺はメイソンギルドに移籍する。

前々からメイソンから移籍の話は来ていたが、先代の恩がある俺は断り続けていた。

昨日、再度話があって、今移籍すればギルドマスターの座を用意すると言われた。

俺の長年の夢であるギルドマスターになれる。

今回をチャンスを逃したら、夢を叶えられないまま死んでしまうかもしれないと思うと、断る事ができなかった。

すまない。    ノット       」


私はノットさんの手紙を読み終えて、また頭が真っ白になってずっと泣いていた。


トールとラムさんが命がけで薬草を準備してくれたのに、結局無駄になっちゃた。

今から残った四人でハイポーションとマジックポーションを、手分けして作っても絶対間に合わない。

もう訳が分からなくて、泣くことしか出来なかったけど、ラムさんの声がスッと耳に入ってくる。


「リーザさん、たぶん大丈夫だと思いますよ。実はまだMPに余裕があるんで間に合うと思いますよ」


え!?今なんて言ったの、MPに余裕があってハイポーションが納品までに間に合うの?!


「ラズ君、本当なの?」

「ええ、大丈夫ですよ」


その時、ラムさんが絶望から救ってくれる、天使に見えて思わず抱きついて、わんわん泣いていしまった。

その後、ハイポーションとマジックポーションを作るのを見せてもらったけど、本当に何個も連続で作っていて凄かった。

ハイポーションを作る、ラムさんの姿が格好良すぎてずっと見つめちゃった。

後、さらっとマジックポーションも初見で完成させちゃうし、ヤバイ、ヤバイ!

ラムさんがどんどん格好良く見えてくる。

私もポーション作って、絶対期日までに納品して、あの豚野をギャフンと言わせてやるんだから!


その後は、にっくき豚の顔を思い出しながら、とにかくポーションを作り続けた。

ふらふらになりなが何とか、規定のポーション1000個が完成して、後はラムさんの担当分だけだ。

他の三人で残りの時間で数個は作れるだろう。

ラムさんの進捗を確認しに、錬金術室を訪ねるとラムさんも机に突っ伏して寝ている。

ラムさんの横顔が可愛いい。

ラムさんの髪の毛を優しく撫でる。


「ラムさん」


起きる気配がないので、そのまま少しの間、ラムさんの髪を撫で続ける。

凄くドキドキして、幸せな気持ちなる。

辺りをキョロキョロして、部屋に誰も居ないのを確認してそっと、ラムさんの頬と私の頬をくっ付けて、ラムさんにくっついて見る。


「カタ」


物音にビクッとして慌てて離れる。

あーーーもーーー!ダメダメ!!

何やってるのよ私!眠くて理性がちゃんと働かない!

我に却ってラムさんを揺り起こす。


「ラムさんラムさん」


あーもー眠そうに目を擦る姿も可愛い!


「おはようございます」

「起こしてごめんなさい。でも期日が迫ってるから、、、どうのくらい出来ましたか?」


ラムさんがVサインで返してくれる。


「全部出来ました!」



その瞬間、私の中でばーーーと!何かが溢れ出した。

苦しくて、苦しくて、何度もダメだと思って、何度、心が折れた事か、でもその度に周りの皆が支えてくれて、やっと終わった。


気付くとラムさんの胸でワンワン泣いていた。

ラムさんの匂いを嗅いでいるとなんか落ち着いて来て、そのまま寝ちゃいそうだった。

後で、思うとあんなに泣いちゃって恥ずかしい、もっと可愛く泣けば良かったな。


プランさん、トールに手伝って貰ってベルクド騎士団にポーションを納品して判子をもらう。

後日、商業ギルドを通じてお金が支払われる。

これで、今年のギルド更新費が払えるので何とか来年もやっていける。

でも、もうギルドマスター辞めたいよーー!!


「トール、プランさん本当にお疲れ様でした。これで来年もこのギルドを運営する事ができます。ありがとうございました」

「何、改まってるんだい、私はこのギルドが家族だと思ってやってんだよ、家族にそんな他人行儀は必要ないよ」


プランさんの優しい言葉にまた涙が出て、プランさんに抱きついて泣いてしまった。

最近泣いてばっかり。


「皆にお礼が言いたいので、今日打ち上げやりましょう」

「そうだね、僕も久々に飲んで騒ぎたい気分だよ」


トールはそう言うけど、トールが騒いだの見たことないけどな?

錬金術の話になると凄くテンションが上がって饒舌になるんだよね。

まずはお風呂!あーもーお風呂に入りたい!

お風呂に入ってちょっと寝た後、打ち上げの準備の為マーケットに買い出しにいく。

途中でラムさんを見つけて、自分の顔が自然にニヤけてしまうのが分かる。


「ラムさーん、お疲れ様です!」


その後、二人でマーケットで買い物したけど、なんか恋人みたいで凄く楽しかったなー。

飲み会も凄く楽しかった!

でも毎回、飲み会の記憶が朧気なんだけど、楽しいからいいよね!


次の日、あの豚がギルドに怒鳴り込んで来る。

私達が納品出来ないと思っていたのよね。

本人の前では、ちゃんとメイソンさんて呼んでるけど、今日ばかりは私もガツンと言ってやった。


「私達にどれだけ嫌がらせするんですか!!この豚野郎!」


あーもー凄くスッキリした!

あーいう人にはちゃんと言わないと分からないのよね!

その日は本当に気分良く仕事ができた。

仕事が終わって、足取りも軽く家に帰る。

お母さんがご飯を作って待って居てくれる。

今日のご飯は何かしら?

家が見えて来た時、後ろから口を塞がれいきなり馬車に押し込まれる。


「ん、ん、」

「静かにしろ、殺すぞ!」


サッと血の気が引いていく。

馬車の中で男達の顔を見ると、メイソンがいつも連れている冒険者達だ。

少しして、馬車から降ろされ家の中に連れて行かれる。

連れて行かれた部屋にはあの豚がいる。


「やあ、こんばんは、ヒヒヒ」

「メイソンさん!何するんですか!」

「ちょっと、お話がしたくて、家に招待させて頂きました。ヒヒヒ」

「お話があるなら、ギルドに来てください!」

「ヒヒヒ、気の強いお嬢さんだ」


メイソンがイヤラシイ視線を送ってくる。

周りの男達も私を舐め回す様に見てくる。

怖いけど、弱味は見せたくない。

怖いよ、助けてラムさん!


「時間はあります、先ずは食事でも一緒にどうですか?」

「結構です!」

「ヒヒヒ、まあ、そう言わずに」


強引に冒険者に椅子に座らせられて、メイソンが食事をしながらあれこれ聞いてくる。


「色々、調べましたが、どうしても薬草の手配や、ハイポーションの出何処が掴めないんですよね。一人の冒険者が薬草採取の依頼を受けたようですが、ノットさんの話から、それだけで足りるとは思えないですし、どんな手を使ったんですか?」


ラムさんの話はしたくなかったので答えない。

その後一方的にメイソンが話てきて、聞きたくもない自慢話をたっぷり聞かされた。


「ふー、お腹もいっぱいになりましたし、そろそろ本題に入りましょう。先代ギルドマスターのレシピを渡して下さい」

「何度も言ってますがそんな物は有りません」


本当にお爺ちゃんからは何も貰ってない。

確かにお爺ちゃんにしか作れないレシピは有ったし、ダンジョンから発見された、古代のレシピなんかの収集もしてたから、有ってもいいはずなんだけど、見つからなかった。


「ヒヒヒ、喋らないなら、喋りたくなるように仕付けないといけませんね」


ニヤニヤしてメイソンが近づいてきて、上着を取られる。

身を固くしてメイソンを睨みつける。


「さあ、言わないともう一枚取っちゃいますよ。ヒヒヒ」

「だから本当にないんです!」


メイソンがいきなり白いブラウスを引っ張り、ボタンが弾け飛ぶ。

下着が見えて慌てて胸を隠すと冒険者二人に腕を捕まれる。

メイソンがニヤニヤしながら、下着に手を伸ばす。

恥ずかしさと、恐怖からその場に座り込んでしまう。

怖いよ、助けてラムさん・・・

その時玄関の方から大きな音がする。


「なんだ!!!おい、ちょっと見てこい!」


冒険者の人が玄関まで走って行き、慌てて戻ってくる。


「外の見張りの二人の返事がない!何か遇ったのかしれない!」

「なんだと!この役立たずどもが!直ぐに見てこい!」


しばらくするとラムさんの声が聞こえて来る。


「リーザさん!!!」

「役立たずどもが!!!ふん!私、自ら殺してやるわ!」


メイソンが呪文を詠唱し始める!

!!!錬金術スキルの他にも呪文のスキルまで持っているなんって信じられない!


「ファイアボール!」


火の玉が扉にぶつかり扉が割れて吹き飛んでいく。

ラムさんが死んだと思って、血の気が引いていく。


「リーザさん!」

「ラムさん・・・」


生きてる!ラムさんが生きてる!

直ぐにメイソンを倒して駆け寄って来てくれ、抱き締めてくれる。

ラムさんが白馬に乗った王子様に見えるよ。

ラムさんに抱き締められて、ラムさんの匂いに包まれていると、あんなに怖かったのに凄く安心してくる。

ずっとこうして居たい。

ラムさんが私に服を着せてくれる為、一旦離れる。

胸を見られちゃって、恥ずかしかったけど、もっとラムさんにくっつく居ていたい。


「怖くて・・・もう少しだけ」


服を着直してもう一度、ラムさんの胸に顔をつける。

凄く安心する。

ギュッーーとくっついて、胸もラムさんに押し付ける。

ああ、もっともっとラムさんくっついて居たいよ・・・

ラムさんの顔を見上げて目で気持ちを訴える・・・

ラムさん。

もう私、気持ちが止められないよ!




ここまでお読み頂き誠にありがとうございます。

この回でリーザ編が終了します。

次回より、錬金術で金儲けが本格化していきます。

今後もリーザは出てきますが、新キャラも出てきてハーレム要素がちょい増えます。

今後ともお付き合い頂けたら幸いです。

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