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薬草採取3

日の出の前に準備してギルドに行く。

トールさん、リーザさんがギルド前で待っていてくれた。


「おはようございます」

「おはよう、今日はギルドの為にありがとう」

「気にしないでください!」

「ラムさんお弁当作ったので、食べてください」


え!リーザさんの手作り弁当!やっほい!


「ありがとうございます!大切に食べます!」


リーザさんに見送られてトールさんと二人で薬草採取に向かう。

前回と違い、街道沿いに進むのではなく、森の奥に奥にと進んで行く。

森に入ってしばらく進むと、森の雰囲気がガラッと変わり、危険探知スキルがピリピリ反応する。

この森のモンスターに遭遇したことが無いため、何のモンスターなのかまでは分からない。


空気が変わった辺りから薬草が、そこら辺にはえている。

トールさんが採取している間、辺りを警戒する。

見える範囲を採り終えて、さらに森の奥に進んで行く。

進むつれてピリピリ感が強くなる。


「トールさん、この先何かいます!」


小声でトールさんに伝える。


「安全な方角は分かるかい?」

「はい。こっちは大丈夫です」


危険探知スキルを使いながら、薬草採取を進めて行く。

森の中にはモンスターが多数生息しており、頻繁に方向を変えて行く。

陽も高くなり、そろそろお腹が空いて来た。


「トールさん昼飯どうしますか?」

「周りに危険が無いなら休憩しようか」


ここの辺りはピリピリ感が少ないので一旦、昼休憩にする。

リーザさんが作ってくれた、お弁当は蒸かしたジャガイモとおにぎりとピリッと辛い魚だった。

めっちゃシンプルだけど、さっと食べれるし、これだけ体を動かした後の食事は凄く美味しくて、すぐに食べ終えてしまた。


「それにしてもラム君の探知能力は凄いね。こんなにモンスターの位置を的確に把握して、一度も遭遇しないなんて信じられないよ」

「偶然もあると思いますけど、この前ミッツさんに洞窟に連れて行ってもらったのが大きいですね」

「森のもっと浅い辺りでさえ、これだけの時間薬草採取していば、一回はモンスターに遭遇するのに」


昼食を終え、採取を再開する。

その後も順調に採取が進んでいく。


「トールさん、後どれくらいですか?」

「ほとんど集まったから、後は戻りながら集めていけば目標の量になると思うよ。こんなに短時間で集められたのも、モンスターに遭わないお陰だよ」


目標に届きそうでホットした時、強目のぴりぴりが近づいてくるのを感じる。


「トールさん急いだ方が良さそうです。あっちからモンスターがこちらに来てます」


急いでピリピリとは逆に進んで行く。

しかし、モンスターと同じ方角に向かって進んでいるようで、距離は縮まっていないものの離す事も出来ない。

しょうがないので東から西に向かって進む方向を変更し、南に進む方角を変える。

南に進むと進行方向の先にも、モンスターが居るのを感じる。


「トールさん前方にもモンスターが居ます」

「しょうがない、もう一度、西に進もう」


少し西に歩いた所で気付く、さっき南にそれて距離をとったモンスターがこちらに近づいて来ている。

さらに西からもモンスターが近づいているのを感じる。


「トールさん、三方向から挟まれてます」


驚愕の表情で俺の目を見つめてくる。

その後、顔面蒼白になり、弱々しく口を開く。

「ウルフだ・・・」

「集団で狩りをするモンスターですね」

「一匹ならベアーやタイガーキャットの方が遥かに強いけど、集団になればベアーでさえ倒してしまう」


防具屋のお姉さんに聞いたウルフの話を思い出す。

トールさんが薬草の採取袋を渡してくる。


「ラム君・・・」


決意に満ちた表情だ。


「ラム君・・・僕が囮になる、この薬草をリーザに届けてくれ。そしてリーザのことを頼む!」


トールさんと数秒見つめ合う。


「トールさん!リーザさんの事は任せて下さい!」

「頼んだよ!」

「ふふ・・・なんて言うわけないでしょ!一緒に戻りましょう!」


この前、一人でブルースライム狩りをしてから、自分のスキルに自信が出来ていた。

ウルフの強さは分からないが、レンジャーのスキルを使えば負ける気がしない。


「駄目だ!本来は関係ないラム君を死なせる訳にはいかない!」

「俺に考えがあります!任せて下さい。それに関係ないなんて言わないで下さい。寂しいじゃないですか」

「・・・ごめん」

「時間がないですよ、すっかり囲まれてます。ウルフって木に登れないないですよね?」

「ウルフは木登りは得意じゃないはずだよ」

「じゃあまず木に登りましょう!」

「やめた方がいい!一回木に登ったらそれこそ一人も逃げれなくなる!」

「トールさん、俺に考えがあります、時間がない早くしてください!!」


ピリピリ感が強くなってきていて、時間がない。

トールさんを怒鳴って荷物は置いて、すぐに二人で木に上る。

木の上からトラップのスキルを三回発動させる。

すぐにウルフが姿を表す。

緑色の毛並みに、赤い目をしていて、動物とは違い禍々しい姿をしている。

数は五匹。

最初遠目にこちらを見ていたが、そのうち三匹が近づいて来る。

もうちょい、もうちょい、トラップのスキルを仕掛けた所にウルフが来るのを待つ。

ウルフがトラップに引っ掛かり地面が光る。

スキルが発動してウルフがへたりこむ。


「キャイ~ン」

「スリープアロー!」

「!!!」


スリープアローが当たったウルフは死んだように動かなくなる。

隣ではトールさんが目を見開いている。

残りの二匹は一匹がやられて、一旦離れたが、再度ゆっくり近づいてくる。

やはり、モンスターだな、あんまり学習しないな。

木の周りをぐるぐる回ってまたトラップに引っ掛かる。


「キャイ~ン」

「スリープアロー!」


二匹目を眠らせる。

遠目で見ていた二匹も近づいて来て三匹が木の下を回る。


「キャイ~ン」

「スリープアロー!」


三匹目も眠らせると残りの二匹が遠吠えを始める。


「ウォーーーーーーーン」

「ウォーーーーーーーン」

「ヤバイ!ラム君! 仲間を呼んでるんだ!」

「スリープアロー!」


木の上からスリープアローを放つがサッと避けられてしまう。

仲間を呼ばれてこれ以上増えたらさすがに手に負えなさそうだ。

短剣を抜いて地面に飛び降りると同時に、自分の周りにトラップを仕掛ける。

地面に降りたことに気付いて、二匹が同時に襲いかかってくる。

一匹はトラップに引っ掛かり、もう一匹が腕に噛みついてくる。

左腕に噛みつかせて、短剣で脇腹を突き刺す。


「キャイ~ン」


脇腹を刺した方は血を流しながら逃げて行く。

すぐにもう一匹のトラップに引っ掛かって倒れてウルフを、おもいっきり蹴飛ばす。

そいつもそのまま逃げて行く。

眠ってる三匹を短剣で刺して殺していく。

生き物を殺すのは抵抗があるが、自分は死にたくない。

トールさんも木から降りてこちらに来る。


「凄いよ!!! ラム君はそんなに強かったんだね! 本当にありがとう。手の傷大丈夫ですかい?」

「痛いです」


興奮が収まり痛みが出てくる。

ポーションを出して傷にかけると、温かくなり痛みが引いて、血が止まる。

ポーションの効果に改めて驚く。


「ラム君、本当にありがとう。この恩は必ず返すから」

「気にしないで下さい。それよりまたウルフが来る前に逃げましょう」


さっき遠吠えをして仲間を呼んでいたし、嫌な気配が続いている。

急いで街道に向かって進んで行く。

危険探知スキルを森の奥に向けると、後ろの嫌な気配がすごい勢いで近づいてくる。

ピリピリが今までにない強さで、近づいてくるモンスターが桁違いに強いことがわかる。


「トールさんヤバイです!なにかとんでもないモンスターが、すごい勢いで近づいて来ています!」

「!!!」

「走りましょう!」


二人でとにかく走る。

さっきのウルフは何となく勝てる気がしたが、今、後ろにいるモンスターはヤバイ!

だが向こうの方が移動速度が早く、追い付かれるのも時間の問題だ。


「トールさん駄目だ!追い付かれる!」

「僕のモンスター避けのポーションをぶつけよう!」


二人で覚悟を決めて迎え打つ準備をする。

トラップを三回発動する。

トールさんもポーションを両手に構える。


そこに現れたのは大型のウルフだった。

今までのウルフは大型犬程度の大きさだったが、そいつはライオン並みの大きさだ。


「がーーーー!!!!」


大型のウルフが吠える!

それだけで体が動かなくなる。

トールさんもポーションを投げることなく固まっている。

咆哮に何かしらのスキル効果が有るのかも知れない。

動けなくなった俺たちを見て、その巨体に似合わない早さで襲いかかってくる。

早すぎる!!!!


「キャイ~ン」

「「え!!!!」」


トラップを踏んで大きな巨体が潰れている。

恐怖で止まっていた頭を動かす。


「スリープアロー!」

「!!!」


スリープアローが当たり大型のウルフは動かなくなる。


「「・・・」」

「寝てる・・・か?」

「寝てるね・・・」


寝てるのを確認し短剣で頸動脈を切る。

所詮モンスターか。


「これはキングウルフかも知れない。もしキングウルフならB級冒険者が倒すモンスターだよ。ラム君とんでもない強さだね、、、」


トールさんは信じられないという顔でキングウルフを見ている。


「キングウルフを持って帰れたら、結構な金額で買い取って貰えるけど、大きすぎて二人じゃ無理だ。取りあえず、魔石だけでも取っておこう」


トールさんが魔石を取り出してくれる。


「勿体ないけど、毛皮と肉は捨てていこう」

「しょうがないですね」


この場に留まってさらにモンスターに襲われる危険もあるため、諦めて戻ることにした。

その後はモンスターに遇う事もなく無事に町にたどりついた。

それにしても、キングウルフを目の前にした時は、本気で死を覚悟した。

倒せたけど、当分キングウルフとは会いたくないな。



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