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だから俺で争うなって




「さて、皆集まったね」



それぞれの役割を終えた皆が集合した。



「あら、私が最後だったのねぇ」



「マリーナは1番時間がかかる作業だったし、仕方ないでしょ」



「お疲れ様です、マリーナ様っ」



「ふふっ、ありがとうねぇ」



「…さて、1番役に立っていない私が話を進めるのは申し訳ないが…」



「…エバンス殿。そういうなら、私の方が役には立っていない。治療行為も、聖女様にお任せしていたのだから」



「リメルダは護衛だからねっ、役に立っていないわけじゃ無いさ」



「…そういう意味ならば、代表者の挨拶も重要な」



「はいはいっ!2人ともっ!終わりが見えないやりとりはそこまでにしてねッ、ねッ?」



「…すっ……すまない…」



「…迷惑をかける…リーシャ殿…」



「いつもの事だからな。てか、2人とも気にしすぎだ。いるだけで華になるような存在が気にしてんなって」



「…あ…あははっ…」



「…ぃ…いるだけで華とはっ…///」



「とにかく〜、モンスターについて分かったこと話すから、皆んなも気づいたことや聞いたこと話してくれ」



「…でしたら、治療した側からの意見よろしいでしょうか?」



珍しくエリナが自分から手をあげて発言した。



「…怪我をした方々を見ていましたが、今回の毒レベルはかなり高いです……焼けるような痛みを感じるなどのレベルではなく…モロにかかった方はその部分が溶けてしまっていました」



「ッ……肉体がか…」



「…たしかに周りを見ても…家とか壊されたというより、溶かされたって部分が多いわねぇ……燃やしている時も、溶けてるって何度も思ったし……でも、不自然なことに、モノを溶かせるレベルの毒なのに、全部溶けていないのよねぇ…」



「……マグマタートス…」



「…えっ?」



「…いや、似たような話を思いだしてさ…確か、マグマタートスも溶かすけど全部を溶かしきるわけじゃなかったろ?」



マグマタートス。



その名の通り、マグマを内部に溜め込んだモンスターだ。



活発な火山帯で生息していて、内蔵しているマグマを噴出して攻撃してくる。



もちろん、マグマだからモロに触れれば溶けちまうけど、特徴としてマグマ温度の下がり具合がはやい。



これはマグマタートスが持つ分泌物がどうちゃらみたいな事らしいが、下手に下がりかけているマグマに足を取られれば身動きできなくなる。



…そうなればどうなるかわかるよな?



獲物がご飯に変わるってことだ。



「…つまり、マルチポイズンスライムが吐き出した毒は、最初は強力な威力があるけど、時間経過でどんどん毒性が薄れていくと?」



「可能性の話だけどね」



「…十分ありえると思うわぁ…それなら、あの不思議な溶けかたも説明がつくもの」



「…毒の性質を変化…なるほど、そういう進化もあるんだね…」



マリーナとエバンスも納得したらしい。



「…エバンス、どうする?もし、マルチポイズンスライムがマグマタートス並みだとしたら、いったんギルドに持ち帰るのはアリだと思うぞ?」



「…」



実際問題、マグマタートスは高ランクに該当するモンスターだ。



まぁ、このパーティーなら倒せない事はないだろうが…



今回の相手は進化した存在。



どんな特性があるか分かったもんじゃ無い。



…現にここまで毒性が高いなんて思ってなかったしな…



「スライム種だとしても、進化した存在が相手なら深追いは」



「おいおいっ、スライム相手にビビってんのかよぉ〜」



「ん?」




真面目な話をしている最中、チャチャを入れてくるバカが1人。



「やっぱりお荷物にはスライム相手でもびびるよなぁ〜」



「…グラム」



現れたのは同じ冒険者のグラム。



事あるごとに、俺に絡んでくる嫌味なやつだ。



「まったく、お前らもこんなお荷物抱えてんなよぉ〜」



「相変わらず、君は何を言っているかわからないね」



「だからよ〜エバンス、こんな雑魚道化師なんざ回顧して、もっと戦えるやつ入れろって話だよ」



「…訂正してもらおうか」



「…誰が雑魚かしら?」



グラムの言葉に反応することエバンスとマリーナ。



…とりあえず落ち着けって。



間違った事は言ってないんだし…



「戦えもしない奴を雑魚と呼んで何が悪いっていうんだよ」



「これだから脳筋は困るのよねぇ」



「事実だろ〜。現にスライム相手なんかに臆してるじゃねーか」



「臆することと慎重になる事は違う。今回の相手は予想以上、ならば慎重になるのは当然さ」



「はっ、所詮スライムはスライムだろ?心配するだけ損に決まってるわ」



「…話にならないわね。これだから筋肉バカは愚かなのよ」



「…んだとぉ?」



「おいおい、そこらへんにしとけって」



一触即発な雰囲気になりかけたため、とりあえず間に割って入った。



「シャール、邪魔しないで」



「雑魚道化師が割り込んでくんじゃねーよっ」



「まぁまぁ、とにかく両方落ち着けって。それにグラム、お前確かギルドから厳重注意受けたばっかだろ。こんな事で問題起こしていいのかよ」



「…ちっ…雑魚のくせに偉そーにすんじゃねえよっ」



「…このクソ脳筋がっ…」



「はいはい、マリーナ落ち着いてっ。汚い言葉使いだからねっ。エバンスもだぞっ」



…まったく、どうしてこう手がかかる子供しか周りにいないんだろうか



「…けっ、しらけたしらけた。臆病者なんざかこうパーティーなんざ相手してられるかってっ」



「いや、話しかけたのはそっち」



「うッうるせぇっ雑魚道化師ッ!生意気なこと言ってんじゃねぇッ!!お前らいくぞッ」



散々喚き散らした後、他パーティーメンバーを連れてどこかにさっていった。



…暇なんだろうか?



「……」



…こっちはこっちで黙ったまま睨みつけてるし…



「…お前らもあんまカリカリしなさんなって」



「…シャールは悔しく無いのかい…あんな事言われて…」



「…まぁ、悔しく無いかと言われたら悔しいけど…事実だしなぁ」



「…ッ…シャールッ!!」



「おわッ!?…そ…そう怒りなさんなって……全部が全部間違いってわけじゃ無いんだし」



「なッ…そんな事はないだろうッ、彼の方が間違っているにッ!」



「…はぁ…エバンス?…少し落ち着きなっ」



「んぐっ…あッあまッ!」



とりあえず、暴れ出しそうなエバンスの口に知り合いの店のクソ甘い小麦粉の菓子を突っ込んでやる。



それから目線をなげ、マリーナにもこれ以上続けるなら、同じことやるがいいかと問いかける。



…マリーナは大人しく首を縦に振っていた。



この前、マリーナにやったのがこたえてるみたいだな…期待通りだ。



また高カロリーな地獄を味わいたくはないだろ?



「いいから落ち着け、エバンス。気持ちは嬉しいが、その結果お前のマイナスにしかならないなら俺は嫌だぞ?」



「んんッ……だ…だがっ」



「現実はちゃんと見ろ。現に俺が弱いのは事実だろ…そこすら直視できなくなるのは問題だからな?…今更そこを突かれたって俺は気にしないからよ。俺だって、俺より強いやつに入ってもらった方が、パーティーとしていいんじゃないかって思うしな」



「……シャールさんっ…そんなことっ」



「…まぁ、今すぐって話じゃねぇよエリナ。その時が来たらの話だ」



「……でっ…でもっ…」



泣き出しそうな表情を浮かべるエリナ。



やめてくれエリナ…



君のなんとも言えない表情は凄い心に刺さるからッ、お願いだからッ…!



…だがまぁ…何というか…



こいつらは俺を切るって事を全く考えてないっていうか……まぁ俺としては必要とされてるつもりだから嬉しいんだけどな。



「まぁ…今すぐってわけじゃなくてだな。皆が必要としてくれてる間は、それなりに頑張るさ」



「シャールさんっ…」



「…うむ、それなら問題は無い」



「…えっ…リメルダ?」



「聖女様、シャール自身が頑張ると言っているのですから深く考える必要はありませんよ。彼ならば、問題なく結果を残すので」



「…いやちょっ…評価高すぎませんかっ、リメルダさん?」



「…ふふっ…確かに、シャールさんなら問題なかったですねっ」



「まぁ…シャールだしねぇ」



「いやいやっ、あのなぁ…」



どうしてこう、俺が活躍するとか思ってんのこの人ら?…



…まぁでも、しばらくはマジで追放とかされなさそうだわ…こりゃ…

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