家主の花壇
植えた苗は
蛞蝓に食べられてしまった
黄色い花が咲く予定だった
今はもう
ちょこんと茎が出ているだけだ
蛞蝓避けは置いたのだが
蛞蝓避けは蛞蝓避けとして
機能はしなかった
残念ながら
元気に育っている苗には
葉を食べられぬように
ネットを張り
太陽の光だけを通すように
環境を整えていく
地面の土いじりが難しいのは
自然を相手にしているからで
天気によって環境を変えられる
鉢植えとは違う
その場所で育つには
気を使うものなのだ
強い苗を植えればなんて
面白味の無いことを言うのは
ナンセンスである
強い選手だけを集めた
クラブチームに近いからだ
あの高揚感が
何年も続くかといえば
余程の形を作らなければならない
その時点で
既に何か違うのである
それを花壇に持ってくるのも
何か違うのだ
学校の花壇みたいに
役割があるのであれば
強さも必要なのだ
人間にも役割があるなら
それに添った強さが必要だ
だが
家庭の中にある花壇は
家主の自己満足である
趣味でありながら
何処か、型にはまらない形だ
褒められることが無くとも
その行動を取るという
先端を走る訳でも無く
一番後方を歩く訳では無い
文明人としての玩具箱なのだ