隣の夕陽
第1部前書き参照
「お姉さんはいつまでここにいるの?」
こいつ、毎回絶妙なタイミングで話しかけてくるな。頭の中を覗かれてるみたいで少し居心地が悪い。
「ううん...気の済むまでかな」
「そうなんだ」
自分から聞いといてそれだけかよ。
私にとってはうまく返したつもりだったけど軽く流されてしまった。
「さっきから何考えてるの?まだタバコ吸ってる理由?」
「え?」
「ちょっと話してくれたかと思うと急に黙って"シンミョウ"な顔し始めるから、何か考えてるのかと思ったけど、違う?」
私そんな顔してたんだ。無意識のうちに、というのは怖い。
「ちょっと昔のこと思い出してたの」
「ああ、わかった!お姉さん"ショウシンチュウ"なんだ」
「さっきからちょっと難しい言葉無理して使ってるのバレバレだよ」
変にカタコトなのがおかしくて、思ったことをそのまま言ってしまう。
「くそぉ、ばれてたか」
そんなにしょんぼりするなら初めから無理して使わなければいいのに。
「そうそう、"ショウシンチュウ"大人にはいろいろと事情ってもんがあるのよ」
何を話すでもなく、ただ隣にいる子供と肩を並べて座っていると、木と木の間から太陽が最後の力を振り絞ったような優しい光が漏れてきた。
もうこんな時間か。
実際、私は傷心中だ。こいつの鋭さには目を見張るものがあるなと、偉そうに心の中で思う。
次はなんて言ってくるんだろう。
そう考えながら私はまた、隣のこいつで言うところの"シンミョウ"な顔になる。
(これまでに比べたら)次ちょっと長いです。
もう少しで終わります。どうか最後まで読んでいただけるとありがたいです。