1 始まりは突然でした。
最初の異変を感じたのは……とか言うとなんだか重病患者のようですが、二年前、私が中学二年生の時でした。その頃私は小説を書いてばっかりだったと思います。まだこっちの世界には来ていなかった。
もともと月経の時の腹痛が結構ある方だったのですが、その日は立ち上がれないほど痛くて、トイレに行くのも一苦労ってレベルでした。痛みはもう覚えていないですが、痛かった。それが二日くらい続いたんですかね、夜にこども病院みたいなところに連れて行ってもらいました。中学生なのにこども病院。ちょうど一週間前ほどに幼稚園児の弟が、頭痛だったか吐き気だったかで診てもらった病院でした。
そこまで行くのがまず辛かった。道のちょっとした段差とかで車が揺れるとそれがお腹に響いて、でもそれを防ごうとすれば空気椅子くらいしか方法がないものですから、痛い痛いって言いながらなんとか病院に着きました。
そこでエコーとかされたときに、先生に「右の腎臓が見当たらないな」って言われたんですよね。先生がどこだろう~? これかな~? とか言いながらエコーの機械をぐりぐりしてくるのが痛かったです。痛かったですほんとに。
そのあと、入院覚悟で阪大病院に行くか市立病院に行くかを聞かれて、市立病院の方を選びました。すると私が住んでいる市の病院は受け入れられないとかいうことで隣の市の病院に行くことになりました。
夜の10時か、11時くらい。普段の私ならとっくに布団に入って小説のネタを考えたりしているはずなのですが、私はあまりにもお腹が痛すぎて歩けないので、大怪我をしたわけでもないのに初めて車いすに乗せられました。そこからは初めてのことだらけです。初めての入院、初めての……なんだっけ。とにかく初めてのことだらけでした。11月の末、私は腹痛で入院しました。
初めての入院は一週間ほどでした。点滴をぶっ刺されて、私一人じゃ危なっかしいので、と母と一緒に入院(?)しました。点滴は小学二年生くらいに風邪で一時間くらいのをしたっきりだったので、まあほとんど初めてみたいなものです。先に針を刺されて、そのあとにプラスチックの管に入れ替わるんですよね。看護師さんはどんなマジックを使っているのでしょうか……。まあ刺される瞬間を見ることができるほど度胸はないので、子供らしく目をつぶりながら痛い痛いと喚いていましたが。
妊婦さんでもなんでもないのに産婦人科に入院することになり、私の担当になった産婦人科の先生に挨拶したような、それどころじゃなかったような。優しそうな女の先生でした。痛い痛いってうるさくして、本当に申し訳ないです。
その先生も高校の時に何かの手術をしたそうでした。なるほど、そういう経験があって医者になったのか、と納得。私はなるつもりないですけどね、切ったりとか刺したりとか無理です、ほんとに。
その先生に今私に何が起こっているのかを説明してもらいました。私も未だによく分かっていないし、正直病名と言われても一言では答えられそうにないのですが。
もともと、子宮っていうのは二つあって、お母さんのおなかの中で赤ちゃんが成長するにつれて、くっついて一つになるそうです。それが私の場合、くっつききらなくてハート形の子宮ができてしまった、みたいな。まあ部屋が二つある子宮さんができてしまったわけなんですよね。それが上手くいかなかったせいか、腎臓ちゃんも片方いなくなってしまった、と。まあ正直このときは腎臓が一つだろうが二つだろうがどうでもよくて(全然良くないですが)それよりも腹痛が問題でした。腹痛の原因は簡単。二つできた子宮のうちの片方の出口が、ないんですよね。つまり血が出てこれなくて溜まっていく。このとき私は初経から一年ちょっとだったので、単純計算で12回分くらいの血の半分くらいが溜まっていたわけですね! 恐ろしい!
もう片方の子宮はちゃんと働いていたので、ちゃんと月経は起こっていました。だから気づかなかったんですけど。
子宮が二つある人って、腎臓が片方ないケースが多いらしいんです。腎臓と子宮って全然関係なさそうに見えるのに、本当に不思議ですよね。私は今でも不思議です。しかも私のケースはこう、なんかレアだったらしいんですよね! 子宮が二つあるだけの人ならそれなりにいるらしいんですけど、それが私の場合は塞がっているので、どうやらレアキャラだったようです。こんなことでレアキャラになってもって話ですが。
で、その出てこれなかった血が溜まって、卵管の方に逆流して、炎症起こしてお腹が痛くなった、と。たぶんこんな感じだったはずです。たぶん。
その話が終わった後、この出口を開けるために手術しよっか、みたいなことを言われて、まあ次の日かその次の日くらい。12月1日でしたかね、初めての手術をしました。お腹の近くの手術なので水を飲んだらダメだとかそういうのがあってちょっと辛かったです。まあこの時は本当に序の口だったんですけどね……。
4時間くらいだったでしょうか、いや2時間だったかもしれません……とりあえず、予定よりかなり早く手術が終わったんですよ。そしたら、その出口を開けるにはちょっと固くて開きませんでした、みたいな。だからとりあえず逆流してパンパンに膨れて炎症バチバチだった卵管だけ取られました。私の卵管……。
ちなみにこのときはお腹を切っていません。膣っていうんですかね、そこからいろいろ差し込んだみたいです。考えるだけで怖い。
無事にとは言えない初めての手術が終わり、こう、目が覚めますよね。で、しばらく動けないですよね。手術経験がある方ならわかるかと思うんですが、トイレに行けないので尿の管をぶっ刺されているらしいんですよね。どこに、って話ですよ。今でも謎ですし、正直知りたくないですが。とりあえずどこか、尿道なんでしょうけど、そこらへんに管が刺さってるんですよ。管が。考えられますか? 聞いただけでめちゃめちゃ怖かったですよ。それを抜く時が本当に痛くて……ヒッてなりました。ヒッて。
退院して学校に行き始めてからもちょくちょく病院に通い、いつからだったでしょうか、ルナベルという錠剤を毎日飲むようになりました。たしか、月経が来る日を調整する薬だったかと思います。これが私、本当にひどくて、飲み忘れが激しかったです。すぐ忘れる。途中で薬は変わるのですが、この毎日飲むタイプの薬とは、一年近く付き合ったと思います。飲み忘れ激しくて、本当にごめんね。




