知りたがり樹木ちゃん
昔か今かもわかりません。
あるところといっても、どこなんだかまでわかりません。
そんなところに樹木とお花がありました。
樹木といっても、どっしりとそこにいるような
おじいちゃんとかおばあちゃんではなくて
ちょこまかと歩き回る、小さな女の子です。
本当に小さな小さな女の子です。
2mくらいの小さな小さな幼い女の子なのです。
女の子は「樹木ちゃん」と呼ばれていました。
それもそのはず、彼女の頭には大きな樹木がありました。
どうしてか、頭よりも大きい幹があって
てんこもりのキラキラした葉っぱをつけていました。
その葉っぱたちは、みんなみんな違うキラキラで
まるで星空みたいな輝きをしています。
そんな樹木ちゃんは知りたがりさんでした。
知らないことができたら、誰かに何でもききました。
明日の天気のことから、難しいことまで。
お話をきくのは、樹木ちゃんのお隣のお花さんのお仕事です。
お花はあまりおしゃべりをしません。
樹木ちゃんみたいに動くこともできません。
けれど、お花さんは物知りでした。
私たちが普通に見るような、赤い赤いお花で
そこらへんの地面に咲いているようなお花でした。
だけど、お花さんは物知りだったのです。