表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

深層人格

作者: セロリア

2016年。



9月。



横浜。



21時。



club。



ダーツ。



蔡羽 (さいばね)「はあ・・だりい」



田中「おいおい大学もそろそろ卒業だってのにお前ってやつは」




蔡羽「っるせえなあ・・」




田中「ははは!そうだ!明日さ!皆で肝試し行くんだけどお前もどう?」




蔡羽「はあ?んなのに行くか馬~鹿」




田中「へえ~あっそ!可愛い子4人来るんだけどなあ・・んで男は3人なんだけどなあ?」




蔡羽「え・・」




田中「そうか、そうかあ・・行くか馬~鹿かあ・・」




蔡羽「あ~・・ごほん・・ま、まあ・・行ってやらん事もー」




田中「ん~?はいはい、行かないのね~」




蔡羽「おいおい!行く!行かせて頂きます!」




田中「はははは、素直になったじゃねえか」




蔡羽「ははは、んで?誰々行くんだ?」




田中「それはお楽しみ~」




蔡羽「っは~?・・ったく・・本当に可愛いんだろうな~?」




田中「任せとけって!」




蔡羽「・・分かった・・お前を信じるよ」




田中「ふふん!予言してやる!絶対お前は俺に感謝する事になるぜ」



肩を組む。




蔡羽「はあ?」




田中「まあまあ、お前バイトしてねえし、明日の19時に桂木公園な!車は俺の兄貴の借りてくっから」




蔡羽「ああ、分かった」




田中「んじゃな~」




別れた。




蔡羽「・・」




田中「でよ~・・はははは」




田中は他の友達と飲んでいる。




蔡羽「俺には・・真似出来ないコミュ力だな・・〈ヒュ、カ!〉」




?「んねえ?飲んでる~はねはね~」




蔡羽「それ止めろってんだろ、蒔絵 (まきえ)」




蒔絵「いいじゃん、一回寝た中じゃあん♡はねはね~♡」




蔡羽「あれは同じ部屋で、酔って朝一緒だっただけだろうが!人聞きの悪い!」




蒔絵「あのまま・・やってもよかったのよ♡、私あんたとだったらー」



顔を近づける。




蔡羽「やめろ・・」



肩を掴み、離す。




蒔絵「あんもう~釣れない~んでもそこがいいん~♡」




蔡羽「俺は・・」




蒔絵「解ってる、あんたは私みたいな女には興味ないもんね~」




蔡羽「・・帰る」




上着を取る。




蒔絵「・・ばいば~い〈ヘラヘラ〉」




蔡羽「・・」



玄関に向かい歩く。




田中「お?サイ?もう帰るんか?」




蔡羽「ああ」




田中「んじゃ明日な、忘れんなよ~」




蔡羽「ああ〈バタン〉」




蒔絵「〈ジュボ・・スウ〉・・スハア」



タバコ。




?「蒔絵さ~ん、この子達と話してたんですけど~彼~凄い格好良いじゃないですか~彼女とか居るんですか~?」



5人の女の子達が蒔絵に話して来た。




蒔絵「あ~駄目駄目、あいつすっごい堅いから!無理無理、そこら辺の適当に食った方が無駄な時間とらないよ」




?「え~?そうなんですか~?彼女は居るんですか~?」




蒔絵「・・ふう・・〈ガ!グイ!〉」




?「ひいい!?」




蒔絵「いいか?その空っぽの頭の中にこの言葉だけ突っ込んどけ」




?「は・・はい」




蒔絵「あいつにちょっかい出していいのは、あたしと死んだ沙織だけだ、メンツ集めてシメっぞ?」





?「す・・すいませんっした・・〈バッ!〉ひい・・」




蒔絵「分かったら行けよ・・今日はあたしもう帰っから」




?1~5『し、失礼しましたあ・・』




蒔絵「・・」〈バタン〉




?1「蒔絵さん怖・・」



?2「やべえ」



?3「だから言ったじゃん」



?4「いけっかなって思ったんだよ・・」



?5「でも・・何でハネさんの事になるとあんなに怒るんだろ?」



田中「それはね~・・」



?1~5『わ!?』




田中「蒔絵は・・あいつに借りがあんのさ・・」




?2「借り?」




田中「そ!だから・・蔡羽に相手にされなくても・・言い寄った時点でアウト~・・だからね?ふふ・・俺の紹介がなければ!」




?1~5『ざわあ』「ええ!?雅彦 (まさひこ)さんの紹介があればいいんですかあ?」』




田中「もちのロン!」




?1「ええ~じゃじゃあ、これLineです~」



?2「あたしのも~」



?3「あたしもあたしも!」




田中「はいは~い、承りましたとも~まあ・・これを受け取るかは本人次第って事でOK~?」




?1~5『はいOKで~す!』




田中「ははははは」




2時間後。




駅。



電車待ち。




田中「お前らみたいなの紹介する訳ねえじゃん・・俺が遊んでやるっての、全員登録完了~・・メモはポイっと」



ゴミ入れ。





深夜1時。




新築アパート1階。



酒。


蔡羽「〈グビ、タン!〉ふう・・何で出て来ねえんだよ・・くそ・・あの時・・何で・・沙織じゃなくて蒔絵を助けたんだ!?・・くうう・・くそ・・くそおお・・出てこいよおお・・答えろよおお・・お・・おおおお・・お”お”・・」




床に寝そべり、泣いている。





翌朝。



〈チュン、チュン〉



蔡羽「・・」




コンビニで朝食。




立ち読み。




パチンコ。




3万勝った。




あっという間に18時。



桂木公園。




蔡羽「・・」




公園には誰も居ない。




ベンチに座りながらスマホ。




〈ブロロロオ・・〉



田中「お~い、蔡羽来たぞお~」




蔡羽「ああ」




アルファード。



車に乗り込む。



大田 (男)「よう、お久!学科以来だな」




宮根 (女)「久ぶりい」




冴島 (男)「お前痩せた?」




空田 (女)「うん、少し痩せたっぽいよねえ」




花園 (女)「・・はいはい皆、騒がないの」




加護之咲 (女)「こんにちは、初めまして」




蔡羽「〈ドキン〉あ・・ああこんにちは」




余った席は加護之咲の隣り。



田中「〈にやにや〉さ!では~出発~」




町並み。




田んぼ並み。




山道。




トンネル。




怖い話しで盛り上がる。




加護之咲と蔡羽以外は付き合っている。




空田と鮫島。




花園と田中。




大田と宮根。




この企画は加護之咲と蔡羽とをくっつける事が目的。




加護之咲は美人だが、お人好し過ぎる部分が強すぎる為、良い不良グループから常に守られている立場。




蔡羽は過去の事件の英雄の為、コイツならという事になった。




進む怖い話し。




蔡羽も話す。




蔡羽「それで・・そいつは、おもむろにこう言ったんだ・・だって・・そいつら・・2日前に死んでるし」



加護之咲「ひゃあ!?」




全員『・・ひゅうう~~♪』




蔡羽「あ・・ごめん怖すぎた?」





加護之咲「・・蔡羽君、話し方上手いから・・余計に怖い・・」




蔡羽「そ・・そっか・・ごめん」




加護之咲「ん~ん、いいの、気にしてくれてありがとう〈ニコ〉」




蔡羽「〈ドッキン〉あ~・・ああ・・」




慌ててそっぽ向く。




全員『〈にやにや〉』




大田「さ・・次はー・・」




運転手田中「おい・・そろそろ着くぞ」




全員窓を見る。




花園「・・け・・結構不気味ね・・」




加護之咲「真っ暗・・」




大田「・・」




宮根「・・怖い」




冴島「何言ってんだよ、怖がる為に来たんだろ?だらしねえなあ皆」




空田「あらあ?そんな事言っていいの~?」




冴島「ああ?」




空田「だってあんたが一番ビビリじゃあん、この前だってー」




冴島「ば!馬鹿!」




空田「少しおしっこ漏らしてさー」




全員『ええええ?』




冴島「馬鹿!言うなよ!信じらんねえ!」




空田「あの時下着買ってやったのは誰かなあ?いつお金返すのでしょうかあ?」




冴島「分かった!分かったから!勘弁してくれ!」




全員『はっはっはっはっはっは』




田中「おい着いたぞお」








全員車から降りた。




廃病院。




結構大きい。




〈ヒュウウ・・〉





殆ど風は無い。





生温い風が漂っている。





新品の電池、懐中電灯で全員分。





田中「さ・・行くぞ・・」




全員でゆっくり進む。





玄関のガラスは全て割れ、隅に寄せてある。




誰かが掃いたあと。




蔡羽「・・?」




加護之咲は花園にくっついている。




蔡羽「・・」




暫く進む。





一階を堪能した一行。





今度は上か下かの別れ道。




田中「4人に別れよう〈パチ〉」




蔡羽にウインク。




蔡羽「・・」




田中、花園、大田、宮根。




空田、冴島、蔡羽、加護之咲。




田中「12時半に玄関に絶対集合な?」




蔡羽「・・ああ」





別れた。




階段を降りている。



当然、加護之咲は離れて一人で歩く。




加護之咲「・・」




空田「・・咲ちゃん蔡羽にくっついていいんだよ?」




加護之咲「い・・いえ・・私は・・大丈夫だよ」




蔡羽「・・」




空田「・・そ?」




冴島「・・うおお・・〈ガタガタガタ〉」




空田にしっかりくっつく。





蔡羽「・・」




観察。




違和感。





所々綺麗だ。




埃がない箇所が目立つ。




蔡羽「・・」





地下一階。





〈ガチャン、キイイイー・・〉




湿気がある。




独特な匂い。




結構長い通路だ、広い。




冴島「うおー・・・・やっべえ・・」




蔡羽「・・行くぞ」




空田「待ってよお」




〈バタン〉




途中色んな備品庫?がある。




扉には鍵がかかっていた痕があるが、壊されていた。



いちいち中を覗いていく。




一番奥まで来た。



遺体保管所、というプレート。




空田「うわあ・・あったよ、本当にあんだねえこういうの」




冴島「うおおお・・やっべえ・・〈ガタガタ〉」




蔡羽「・・」




加護之咲「・・ねえ止めようよ~・・〈ガタガタガタ〉」




蔡羽「・・〈チキ〉」




ドアノブに手をかけた。




〈ガチャン・・キ・・〉




開くようだ。




全員目を合わせる。




蔡羽「・・開けるぞ」




空田「う、うん」




冴島「やっべえ・・」



加護之咲「ええ~・・」




蔡羽「・・」



半分開けた途端。



冴島「うわああああああ!!」



空田「キャアアアアアア!!」



加護之咲「イヤアアアア!!」



冴島と空田が何かにビックリして駆け足で逃げた。



加護之咲は座り込んだ。




蔡羽「大丈夫だって!!おい!おお~~い!」




2人は行ってしまった。



階段の所の扉が開き、閉まった音が響く。




加護之咲「・・ひ・・ひ・・ひっく・・ひ・・」




蔡羽「・・はあ・・人形だよ」



加護之咲「・・え・・人形?」




蔡羽「ほら・・見て・・ただの人形だって、きっと誰かが悪戯で置いたんだよ」




加護之咲「・・」



上を向き、恐る恐る全開の扉の中を見る。



そこには白いドレス?を着た黒髪ロングのネキンの人形が一体ある。



蔡羽「ほら〈ドン〉」



〈カチャアアン〉



簡単に倒れてしまった。




加護之咲「ひ!?」




蔡羽「ね?・・だからほら・・早く立って・・あいつらの所へ戻ろう?」




手を伸ばす。




加護之咲「・・うん」




蔡羽の手を掴み、立ち上がろうとー・・。




加護之咲「・・?」




立ち上がろうとするがー・・。




蔡羽「・・?どうした?」




加護之咲「・・先に・・行ってて、直ぐに追いつくから」




蔡羽「はあ?んなの出来る訳ないだろ?」




加護之咲「いいから!」




蔡羽「・・腰が抜けて立てないのか?なら肩を貸すよ?」




加護之咲「いいから放っておいてよ!」



怒鳴る。




蔡羽「うお!?ビックリしたあ!」




加護之咲「・・うう・・ひっぐ・・ひっぐ・・」




蔡羽「・・はあ・・どうした?・・言ってくれないと・・分かんねえよ」




加護之咲「・・ひっぐ・・ひっぐ・・」




蔡羽「・・」




加護之咲「・・誰にも言わないで?」




蔡羽「・・ああ」




加護之咲「・・おしっこ・・漏らし・・」




蔡羽「・・そっか・・」




加護之咲「・・〈コクン〉」




蔡羽「換えは?・・ない・・よな・・」





加護之咲「・・〈コクン〉」





蔡羽「・・下着は山に捨ててさ・・ノーパンで帰るしかないよ・・持ってたら匂いがあるし」




加護之咲「・・〈コクン〉」




蔡羽「脱ぐ事出来る?足動く?」




加護之咲「・・〈コクン〉」




蔡羽「・・そっか・・んじゃあ・・少し離れるから捨てるの無理なら俺が捨てるよ」




加護之咲「・・有難う」




蔡羽「・・別に・・開けたの俺だし・・ごめんな」




加護之咲「・・サイ君・・優しいね」




蔡羽「・・誰でもこんな状況じゃそうするって」



加護之咲「・・ふふ」




蔡羽「・・じゃ・・離れるよ・・脱いだら言って」




加護之咲「うん」







1分後。







加護之咲「脱いだよ」





戻り、下着を持った加護之咲に肩を貸す。




加護之咲「ごめんなさい」




蔡羽「もういいって」




一階に戻った。





スポンジが飛び出したソファに加護之咲を座らせ、下着を受け取り、山に捨てた。




戻る。





加護之咲が居ない。




蔡羽「・・は?」




見渡すが・・居ない。




蔡羽「馬鹿な・・あいつは・・腰が・・・・お~い!」




〈シーーーン〉




蔡羽「おいおい・・お前らあ!いい加減にしろよお!」




〈シーーーーーン〉





蔡羽「・・」




玄関を出て・・車の元へ。




車はあった。





だが誰も居ない。





車の周辺も探すが・・誰も返事はない。




蔡羽「・・おいおい・・マジかよ・・マジか・・マジかマジか」




走った。




廃病院に戻る。




蔡羽「お~い!!お~い!!マジで止めろってえ!!お~い!!心配してんだぞ!!おおおいい!!」




駆け回る。




《シーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン》






蔡羽「・・」





静か過ぎる。





蔡羽「・・」





〈ヒュウウウウウ〉




蔡羽「・・落ち着け・・落ち着け・・ふう・・ふう・・スウゥゥ・・・ハアア・・」




蔡羽「・・とにかく警察に電話・・っとその前に・・警察電話するからなああ!!捜索して貰うぞお!?」




《シーーーーーーーーーーーーーーーン》





蔡羽「あと10秒!9ー、8ー」




《シーーーーーーーン》





蔡羽「2ー、いーち!・・ぜーろ!」




《シーーーーーーーーン》





蔡羽「まじかよおお・・〈ス〉」




スマホを取り出す。




圏外。




蔡羽「ちょ!?はあああ!?マジかよお?」




〈ヒュウウウウ〉




〈ブフォオオン〉



蔡羽「!?」




車の音だ。





蔡羽「~~~~あんの馬鹿共がああ!」




急いで車に駆ける。





蔡羽「はあ、はあ、はあ、はあ」




エンジン、ライトが点いている。




蔡羽「ったく~・・お前らなあ・・・・!?」




誰も・・乗っていない。




蔡羽「・・はあ?」




もう一回、しっかり見るが・・誰も乗っていない。




蔡羽「おいおい・・ま~だ足りないのか~?ったくいい加減に~・・・・・」





気づいた。




この辺りは山以外には隠れる場所はないという事に。




そして山に向かうには玄関前を通るしかないという事に。




玄関前は色んな物が散乱しており、物音一つ立てずに移動は困難だという事に。




そしてさっき自分は走ってきたのだ。




車から降りる時の音も・・百歩譲って、聞こえなかったとしても・・あのタイミングで10秒足らずで駆け抜け完璧に隠れる事などー・・。




蔡羽「・・(不可能だ)」




〈ひゅうううう〉





蔡羽「人間じゃねえな・・出てこい!姿を見せろ!」




〈ひゅううううううう〉




〈カチカチ〉




ウインカーが点滅。




〈ピーーーーガーーーー〉


ラジオがつく。




〈さあ次は新作の曲を引っさげてのご登場~ネックスのおおおおおおおガガピュギインイインイイイイ・・こ”ろ”し”て”え”え”え”キュインガガアあアアあアアア・・な”ん”え”え”ガガガ・・こ”ろ”し”た”の”おおおおおピギュガガアアアアア・・ガガガガガ・・〉




蔡羽「皆を返せえええ!!さっさと返せ馬鹿!!」





車に向かって叫ぶ。




蔡羽「お前はここに居ちゃいけないんだよ!さっさっとあの世に行けやひ!?」




車のライトの間に女が立っている。




蔡羽「〈ガタガタガタガタ〉・・み・・皆をー・・か・・かえ・・」




よく見ればー・・。




蔡羽「!?お・・お前・・あの時の人形!?」





地下室の死体保管所にあったあの人形のシルエット?




《お・・おおおお・・・あが・・あがが・・うえええええ・・痛い・・痛いよお・・》




車の周りに見える。




沢山の悲惨な怪我や、火傷、損傷した幽霊達。




逆光でよく見えないがー・・確かに車の脇に沢山蠢いている。




その真ん中に。




両ライトの間に居る女のシルエット。




蔡羽「〈ゴクリ〉・・はあ・・はあ・・お!お前えええ!!お前早く返せよお!!お前と俺達は何も関係ないだろおおがああ!!やつ当たってんじゃねえよおお!!殺されたんなら犯人を恨めよおおお!!俺達は何にも」



《パ》




蔡羽「!?」




ライトが消えた。




《パ》




また点いた。




女はさっきより近づいていた。




蔡羽「っひ!?」




《パ》


また消えた。




《パ》



女のマネキン顔が目の前に。




蔡羽「ひいあああああ!?〈ズシャア〉」



尻餅。





マネキンの開くはずのない口が・・〈ギギギ〉開きー・・。






マネキン「い”い”あ”・・あ”あ”・・あ”あ”あ”あ”あ”」




蔡羽「うき”ゃあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あああ・・あ・・」




下を向いて・・身動き一つしない。



気絶したようだ。





マネキン「あ”あ”あ”あ”〈ガ〉」




足を掴み、〈ずる、ずる〉




廃病院へ引きずって行く。





地下室。




埋められた壁。





〈ズズズズズ〉異界への扉が開いた。




マネキン「あ”あ”あ”どうし・・てえ・・どうしてえ・・こんな目にいい・・どうしてえ・・」




〈ずる、ずるう〉




蔡羽を引きずり中に入って行った。









手術室だった。




小さいライト。






看護婦1「準備出来ました先生」




医者「はいよ、さあさあ、大人しくしててねえ、直ぐに終わるからねえ・・麻酔はないからごめんなさいねえ」




冴島「うぐううう!!うぐふうううう!!」




台の上。




革のベルト?を口にされて、四肢もベルトで固定されている。






他の全員はビニールで縛られ、台の傍に膝を立て怯え座っている。





冴島「うごふううう!!ん”ふ”~~~~!!〈ガチャガチャ〉」




医者「ああ・・いいねえ、活きがいい!実にいい内蔵が手に入りそうだあっはっはっはっは」




看護婦1~5『うふふふあはははは』





医者「押さえろ」




《ガッシ》




看護婦達から抑えられる。





冴島「んぶうううううううううううう!?んぶんぶううううううううう!?」





空田「ん”ん”~~~~~」




全員ビニールで四肢と口を結ばれている。




《ずずずずず》



そこへマネキン、蔡羽登場。




医者「おや・・はははは、まだ居たのかい?はははは、おい」




看護婦2「・・はい」




看護婦2が蔡羽に紐を結ぼうと近づく。




マネキン「どうして・・どうしてえ・・」




医者「じゃあ・・早速切り開こう・・メス」




看護婦「はい」




メスを手渡す。




看護婦2「うぎゃああああああああ!?」




全員『!?』



振り向くとそこには立ち上がった蔡羽と・・喉を押さえ、苦しみながら立ち暴れる看護婦2。



看護婦2「あ・・ああ・・ああ〈ガチャン・・ガチャアアン〉」



看護婦2は器具を巻き添えに倒れた。




医者「な!?何だ?どうした?」




看護婦2「あ・・〈ビクンビクン〉」





黒い液を喉から流し、痙攣している。




医者「一体何がー?」




蔡羽「・・」




手には釘。




〈ポタ・・ポタタ〉




釘から黒い液が滴っている。




看護婦1、3~5『「何やってるんですか!?」「ほら患者さんはちゃんと待ってくださらないと」「困りますよ大人しくしてくださー」』




看護婦全員駆け寄る。




蔡羽「・・〈ヒュバババ!〉」




まるで軍隊の動きであっという間に4人の喉をブッ刺した。




看護婦達『「ああ!?」「うっご!?」「あぐ!?」「うぐえ!?」』




《ドシャアア・・ガチャアアアン・・ガララアン・・パリイン・・カララン・・カラン・・》




医者「ひ!?ひいいい!?」




田中「ひ、ひい」




蔡羽「・・〈ズチャ〉」




黒い液体の上を歩いて来る。




医者「ひはははは・・お注射だよおおお〈ババ!〉」




注射1本で襲いかかるがー。




蔡羽「・・」〈ヒュパアン!〉



みぞおちへ蹴り。



医者「ひゅごおおおおお!?〈ズシャ〉」




膝を着く。




蔡羽「・・〈ズチャ〉」




医者「何で・・ここで・・動け・・る?・・どう・・して・・人間の・・癖に・・俺達を・・殺せる?」




蔡羽「・・〈ジャリ〉」




医者の前に屈む。




真正面。




顔が見える。



別人。




顔は同じだがー・・。




雰囲気が別人。




優しさが微塵もない。




皮肉ったニヤついた表情。




口だけニヤつき、目は睨んでいる。




医者「お・・お前・・とり憑いてるのか?・・何故邪魔をするう!?何故だああ!?」




仲間『・・』




やり取りを見ている仲間達。





蔡羽「・・勘違いすんな、俺はコイツだ・・同じさ、ただ・・同じ体なだけだ」




医者「ひぇい!」〈ヒュバ!〉




注射を刺そうとー・・。




〈パシ、グルンブス〉




腕ごと動きを制し、医者の胸に刺した。




医者「はっへああ!?」




蔡羽「どうだ?注射の味は?・・ただ・・その注射はお前の 部 分 だからな・・本当は効かないだろう・・だから・・〈ヒュブスブスブスブス〉」



釘を喉2発、前頭葉に2発ぶち込んだ。




蔡羽「これで大丈夫」




医者「・・〈ドサアア〉」




禍々しい空間がー・・《シュオオオオオオオオ》ただの暗い手術室になった。




蔡羽「マネキン・・後は・・頼んだぞ〈ッフ〉〈ドサアア〉」



倒れてしまった。




仲間『んぶうううううう!?・・んぶぶううう!?』




冴島「・・〈ボーーーーーー〉」




マネキン「・・」《ずずずずずず》




壁から現れた。




仲間『んぶうううううううううううううううううううう!?』








蔡羽「・・ん・・・」




走るアルファードの中。




まだ真っ暗。




加護之咲「あ・・起きたあ!」




空田「ホウ・・良かったあ」




花園「・・ひっぐっひっぐ・・良かったあ」




田中「・・」




冴島「〈ボーーーーーー〉」




宮根「〈ボーーーーーー〉」





蔡羽「・・ここは・・あれ?・・俺どうして?・・ハ!?そうだ!アイツは?あの女は?」




全員『・・』





蔡羽「お前ら!?あれ?・・あれ?・・あれ?・・どうして?あれ?・・病院は?あれ?」




大田「落ち着けよ・・もう・・大丈夫だからさ」




加護之咲「・・何にも覚えてないの?」




蔡羽「いやいや!お前らがどっかに消えたから俺必死に探したんだぞ!?んでマネキン女が俺に近寄って・・ハ!?・・そうだ、そっから覚えてないんだ!・・どうなったんだ?一体どうなってんだ?」




加護之咲「えっと・・」





田中「止めろ!その話はしたくないし、今は聞きたくないんだ」



運転しながら怒鳴る。




全員『・・』





蔡羽「いやいや・・おいおい・・俺だけ仲間外れかよ!?つうかお前らやっぱり隠れて俺を脅かそうとしてたんだろ!」




冴島「んな訳ねえだろおおおがあああああああああああああ!!」





蔡羽「!?」




全員『・・』




冴島「う・・ううう・・うあああああ」




蔡羽「・・な・・何だよ・・そんなに大声出す事ないだろ・・」




冴島「う・・うう・・お前何なんだよおおおううう」




蔡羽「はあ?何が?」




田中「冴島!」




冴島「何だよ!コイツがおかしいんだろお!?」




田中「そのお陰だろうが!感謝しろよ!」




冴島「うう・・うううう・・何なんだよ・・何なんだよおお・・ちっくしょう・・ふざけんなよお」




田中「とにかく全員落ち着け、サイは後日詳しく話すから!今は大人しく座ってろ!運転出来ないだろ?・・な?」





蔡羽「・・ああ・・分かった・・でも後できっちり説明しろよな」




田中「ああ」





全員『・・』





朝日。




桂木公園・・別れた。




最後まで・・怯えた目で見られた。







翌日。




ファミレス。





田中「・・という訳だ・・信じられないだろうが・・俺だって・・絶対この目でみてなきゃ・・」





蔡羽「・・そうか・・出たのか・・」





田中「あの2年前のキャンプの・・事件は・・やっぱりお前なのか?・・犯人達を・・殺したのは」





蔡羽「・・分かんねえよ・・でも・・5時間かかる山降りを・・3時間で降りたんだぞ?犯人達を殺して、その後に山を降りてたら3時間は無理ってなったじゃねえか」




田中「・・ああ・・でも・・あの身のこなしなら・・もしかしてって・・そう思ったんだ」





蔡羽「・・プロでも無理なんだ・・俺には無理だよ」





田中「ああ・・そうだな・・もう止めよう・・済んだ事だ・・何か食おうぜ?」




蔡羽「ああ」





田中「(まあ・・蒔絵だけは・・知ってんだろうけどな)」





















2年前。




夏。




山の上腹。




岩場と、林?が目立つ場所。



少し奥はもう森。





岩場でキャンプ。








沙織「ねえ、マキ~・・トイレ」




蒔絵「はいはい」




森へ向かう2人。




蔡羽「ん?お前ら何処に行くんだあ?」




蒔絵「お花摘みよ!馬~鹿!」




沙織「馬~鹿!」




蔡羽「・・トイレって言えよ馬~鹿!」




沙織、蒔絵『馬~鹿!んべえ!』




蔡羽「・・ったく・・〈ぶるる〉っと・・俺もか・・」





2人の方向と少し離れ蔡羽も森へ。






蔡羽「ふんふ~ん〈ジョボボボボ〉わっと・・やっべ・・靴にかかった・・ああもう・・後で洗おう・・」










その間に軍マニア連中が大学生を遊びで殺しまくる。






何も知らず戻る蔡羽。





〈きゃあああああ!〉




蔡羽「!?」




走る。





ボーガンを構える犯人1が見えた。






犯人の前には沙織、蒔絵。



少し離れている。



2人どちらかが撃たれる。




走る蔡羽。




極限の状況。




蔡羽「(沙織!沙織いいい!!)」




走る。




犯人1「ふひひ〈チキキ〉」




構え、引き金をー・・。




蔡羽「(間に合う!沙織に間に合う!上に覆いかぶさる!沙織だけでもお!!)」






その時ー。




チラっと見えた。




沙織側にもう一人の犯人の姿ー・・。




蔡羽「〈プツン〉」




蒔絵の方へ方向転換。




沙織「!?・・」



ショックの表情。





蒔絵「!?」




蒔絵、蔡羽が一緒に倒れる。




《ボボジュ》




沙織は2本の矢で後ろから頭、横から胸を打ち抜かれた。




蔡羽「・・」




蒔絵「 さ お り い い」




犯人達第2射を準備中。




また別の犯人が蔡羽達の後ろから斧で振りかぶって迫ってー。




蔡羽「・・」《ビュオン!》避け、金的へパンチ。




崩れる犯人。




斧を奪い、首に押し込み切った後に、〈バ!〉振り返り、大きい斧で遠くのボーガンの矢を〈ギン!〉ガード。




犯人達『!?』




走り、もう一射を避け、斧で、一人の足を〈ザン!〉切り、3M隣りのもう一人の装填済み、構えようとする犯人へ〈ヒュ!〉投げ〈シュガ!〉胸に当たった。



そのまま胸に当たった犯人の元へ走り、寝転び後ろに回って、足が切れた奴の矢を犯人の体で〈ヒュガン!〉ガード。



片足は装填は間に合わないと、ナイフを〈ヒュン〉投げて来た。



蔡羽はそれを屈んで躱し、斧を抜き、また投げた。




当たったが、刃物部分は当たらなかった。




すかさず走り寄り、また斧を取り、〈ジュガン!〉腰に振り下ろした。




3人殺した。




蔡羽「・・そこにいろ」




蒔絵「え・・あの・・」




蔡羽「いいな、そこにいろ〈ダ!〉」




斧を持って何処かへ。
















その後。





テント内で震えている所を発見された。




他の登山客、キャンプしていた一般人達28人全員ボーガンで死亡。




周りからゆっくり確実に一人一人殺されていた。





生き残りは蒔絵と、救助を求めて山を降りた蔡羽のみ。




警察の特殊部隊がヘリで到着した頃の40分前ー。





息を切らし走る犯人最期の1人。



沢側を駆ける。



犯人11「っはっはっはっは・・何だあ!?っはっはっはっはっはんだあいつっはっはっはっはっは・・〈ガササ〉〈バサササ〉」




〈シュカ!〉




足に命中。




犯人11「あう!?〈ゴロンゴロン・・バシャアアン〉」




犯人11「あっぷ〈バシャバシャ〉」




〈カチ・・カシャン・・〉




高い位置から狙うボーガン。






犯人11「んだお前えええええ!!!!」





蔡羽「しー・・黙って・・狙いがずれそうだ」




犯人11「た、助けて!遊びだったんですうう!すいませんっしたあ!!」




蔡羽「ん?遊び?」




犯人11「!!そうっす!!負けましたあ!!負けですうう!!俺の・・俺達の負けでいいっすからあ!!このサバイバル大会はあんたの優勝っすうう!」




蔡羽「・・ふうん・・〈チャカ〉」



止めた。





犯人11「は・・は・・は・・ははは」





蔡羽「はは」




犯人11「はははは」




蔡羽「はははは」




犯人11「はははははは」




蔡羽、犯人11『はははははははは』






















〈パシャ、パシャシャ〉





鑑識が写真を撮る。




刑事1「何でコイツだけ溺死なんだ?」




刑事2「さあ・・何ででしょう?」




刑事1「・・にしても・・なんつう顔で死んでやがる・・相当苦しんで死んだらしいな」




刑事2「ええ・・考えたくないっすね」




顔は小石で殴られまくり、所々陥没。




歯は全て折られ、目玉はなかなか大きい石を押し込まれていた。




だが最終的な死因は溺死だった。





犯人12人全員死亡。




斧、矢、ナイフ、で殺されていた。























田中「(蒔絵は何も知らないっていうし・・でも・・)」





蔡羽「うん、中々旨いな〈モグモグ〉」





田中「まあ・・いいっか」





蔡羽「ん?〈モグモグ〉」




田中「何でもねえよ」

























崖上。




〈ヒュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ〉





蔡羽「アリバイまで・・残り2時間10分・・楽勝だな」





ロープを使わずー・・。



〈ヒュオオ〉




飛び降りた。




〈トン、ヒューーートン、ヒュウウ・・トトン・・ヒュううう・・トン、トーーン〉




蔡羽「っはっははああ!!」







Fine。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ