丸壱ノ壱。「はぁ、全国大会ですか。……えっ!?全国!?」
私自身が箏曲部なんですけれど、そこでおもいついたネタです。
ギャグを目指すつもりなので、頑張っていきたいと思います。
楽しんで読んでいただけたら幸いです!
「ここに、入りたいからです。」
バカ正直と言えば、バカ正直だ。
良い所でもあるし、悪い所でもある。
まぁ、実際の所はどっちかなんて分からないし、別に良いだろう、公立高校の受験の二次試験でこんなことを言ったって。
元々、音楽は好きなのだ。
小さい頃からはピアノを、中学では吹奏楽部でサックスを。
受験勉強中にだって、サックスは毎日欠かさず吹いていた。
でも、高校で入りたかった部活。
部活の為だけにわざわざ高校を選ぶほどの部活。
私にとっては、ここがそうだったのだ。
それは、絶対に、事実だ。
( 'ロ')/'ロ')/'ロ')/'ロ')/( 'ロ')/'ロ')/'ロ')/'ロ')/( 'ロ')/'ロ')/'ロ')/
部屋の前に掲げられた看板に目を向けることもしなかった。
「お久しぶりです。」
「あれ?わぁっ!照野ちゃんじゃん。久しぶり!夏以来かな?」
「そうですね。本当にご無沙汰していました。香坂先輩。」
カラリと和室の襖を開けた照野錬は、真っ先に目に入った知り合いの先輩である、香坂咲に挨拶をしつつ頭を下げた。
中学でお世話になった先輩は、上がって上がって!と気さくに中へと手招きをした。
他の先輩達は、練習か、照野より先に来ていた照野と同じ新一年生の面倒を見ていた。
「照野ちゃん。本当に去年言った通りだね。まさか、本当に来てくれるとは思っても見なかったよ。」
「早いかもなんですけど、部活の仮登録はもう済ませてきました。」
「本当に早いねっ!?」
畳の縁を避けつつ、照野と香坂は向かい合って正座をした。
「じゃあ、今日からもうここで練習する?照野ちゃん用に、一面出そうか?」
「あ、はい。そのつもりなんですけど…いいんですか?」
「いいよいいよ。照野ちゃんなら去年の発言で皆知ってるから、居ても誰も変には思わないよ。」
「はぁ。そうですか。」
内心で、そんなにおかしな事でも言ったかと考える。
「でも本当に凄いよ。」
音を立てないように、持ってきた物を全て丁寧に畳に置くと、香坂は照野にそう言った。
「?何がですか?」
「嫌だなぁ。夏に言ったじゃん。『私、来年必ずこの部活に入ります。』って。皆半信半疑で待ってたら、本当に来るんだもん。」
嬉しいような、吃驚したような…。と零す香坂に首を傾げつつ、照野は、爪をはめた。
「…猪突猛進。自分が決めた以上はやりきりますよ。」
そう言って、構えを取る。
目の前には、さくらさくらの譜面。
サックスを吹く時に使う楽譜とはまた違う漢字ばかりの縦書きのそれに沿って、難無く弾いていく。
香坂は、黙ってそれを見ていた。
「……どうですか?」
「うん。相変わらず上手いねぇ。でも、ここはこうして、…」
「…はい。…はい。…」
照野は香坂と場所を変わったりしつつ、筝を弾く。
和室の入り口に掲げられていたプレートには、
『箏曲部』と書かれていた。