中『原』式日语:「いいえ、『知って』いません」?
さて、久しぶりに中国人の日本語によく見られる日本語の間違いについて語っていきたい。今回は中国語以外の言語を母語とする人にも見られる文法的誤りを取り扱う。
●今日は寒い『だ』から
「だから」が因为 yin1wei4の意味で覚えているせいか、『楽しいだから』『小さいだから』のような言い間違いをする中国人が非常に多い。他にも『行くだよ』、「とても恥ずかしいなんですが」みたいな感じで用言の後ろに直接「だ」、「なんだ」をつけてしまったり、或いは「大丈夫の?」という感じでは「な」を落としてしまう現象は外国人によく見られる。
この原因として考えられるのは、
・「形容詞+です」が正しいから → 暑いです。○ しかし 行くです。×
・単純に「だから」を一つのセットとして考えている
・「寒いんだから」「行くんだ」のような「のだ・んだ」と混同している
ということだろう。
これを読んでいる中国人の読者の皆さん、もし日本語を本気で上達させたいなら、「用言の後ろには『だ』を直接つけられない」という鉄則を頭に叩き込もう。
★まとめ
・今日は寒いだから × → 今日は寒いから ○
・行くだよ × → 行くよ ○
●パソコン『が』買った。
「パソコンが買った」、「晩御飯が食べた」のような文頭に来る目的語に助詞の「が」をつけてしまう現象はなぜかよく見られる。おそらく「は」と混同しているのだろう。日本語の動詞、特に目的語をとる他動詞の目的語は基本的に「を」で受ける。
★まとめ
パソコンが買った × → パソコンを買った ○
晩御飯が食べた × → 晩御飯を食べた ○
●どこに隠していたの?
「ゴミが燃やして」、「コップが落として」というような自動詞と他動詞の混同は外国人学習者に広く見られる(どちらかというとさっきのパターンと同じで他動詞の目的語に「を」ではなく「が」をつけてしまう間違いが多い感じがあるが)。
日本語には自動詞と他動詞のペアになっている動詞というのがある。
・が燃える(自動詞) VS を燃やす(他動詞)
・が落ちる(自動詞) VS を落とす(他動詞)
要するに目的語がとれる(=他動詞)か取れない(=自動詞)かという話で、自動詞は「が」のつくものがその動作の影響を受ける対象になり、他動詞は「が」のつくものが「を」のつくものに対してその動作を行うというニュアンスが出る。つまり「ゴミが燃える」に対し「ゴミを燃やす」と言えば、「誰が燃やすのか?」というのが焦点になる。
こういう問題はかなり日本語が流暢な上級者にも付きまとう。例えば、私は以前、あるテレビ番組のインタビューで中国人留学生が「そんな優秀な人材、どこに隠していたの?」と言っているのを耳にした。彼女の日本語は発音的にも文法的にもかなり流暢で、これも間違いとは言えないもののやはり「隠れていたの?」の方が自然に感じられる。
★まとめ
自動詞・他動詞は助詞とセットで覚えよう。
ゴミが燃える・ゴミを燃やす
ペンが落ちる・ペンを落とす
●風邪が治れる?
ひょっとしたら、こういう日本語が正しい方言もあるのかもしれない。しかし標準語ではおそらく言わないだろう。「治る」という動詞は「話す → 話せる(話すことができる)」というような-eruという可能形がないので「治れる」という動詞はない。
「すぐに治れるよ」というような言い方を耳にしたことがあるが、「治る」という言葉自体が「治すことができる」というニュアンスを含んでいるので「すぐに治るよ」でOKである。
★まとめ
風邪が治れる → 風邪が治る
●知っていないです。
「Xを知っていますか?」と聞かれて、日本人は当たり前のように「知りません・知らないです」と答えるが、ちょっと待ってほしい。なぜ「知っていません・知っていないです」とは言えないのだろう?
日本語の諸方言のアクセントの研究で知られる金田一春彦氏もかつて中国人に同じことを尋ねられたらしいが、なぜそうなるのかという理由については私も説明できない。いずれにせよ中国人を含め日本語学習者の皆さんにこうした言い方がよく見られる。
「知っていない」というのは文法的に間違っているわけではないが少しおかしく聞こえる。「知っていますか?」と聞かれて相手に釣られそうになるかもしれないが、知らないときは「知らないです・知りません」でいいのである。
★まとめ
知っていないです → 知らないです・知りません
●私の日本語は『悪い』です
この文には文法的な間違いはない。しかし「悪い」というのは通常語学力などの能力のよしあしについて使われず、「下手だ」と言った方がもっと自然になる。
英語でも中国語でもMy Japanese is bad/我的日语不好と言って全く問題ないのに不思議である。
★まとめ
私の日本語は悪いです → 私の日本語は下手です。




