中『原』式日语:同志者大学=ホモ大学!?
今回は日本語と中国語で全く同じ見た目なのに意味が違う単語について取り扱っていく。そしてその中で文化的な側面が絡んでいるものもいくつか紹介しよう。
●醤油 ≠ 酱油 jiang4you2
以前日式中华料理(日本の中華料理)について取り上げた。ついでに、今回は少し日中の食べ物比較をしようと思う。
まず有名なのは餃子の違いだろう。中国語で「饺子 jiao3zi0」と言うと通常「水饺 shui3jiao3」を指し、日本のような「焼き餃子 煎饺 jian1jiao3」は水餃子を作った次の日あまりもので作る出来合いの料理だった。中国人は日本人が焼き餃子をさもごちそうといわんばかりに嬉しそうに白米と一緒に頬張るのを不思議な気持ちで見ているに違いない。餃子と白米で主食がダブってしまった。
そして表題の醤油だが、日本では醤油というと普通大豆と小麦、塩を混ぜ麹菌を繁殖させて作るものだろう。しかし中国語で『酱油 jiang4you2』というと主に「生抽 sheng1chou1」と「老抽 lao3chou1」の二種類がある。前者の生抽は大豆などから作られる色の薄い醤油で日本人のイメージする醤油と近いが、後者の老抽は砂糖が入っていて色がかなり濃く料理に色をつけるために使われることが多い。
●野菜 ≠ 野菜 ye3cai4
中国語では日本語の「野菜」のことは「蔬菜 shu1cai4」と言い、「野菜 ye3cai4」と言うと山菜の意味になってしまう。「果物」も中国語では普通「水果 shui3guo3」と言う。
野菜の名前は基本的に漢字で書くと同じになるものも多く、「白菜 bai2cai4」とか「南瓜 nan2gua1」、「茄子 qie2zi0」とかはそのまま通じるし、「洋葱 yang2cong1 タマネギ」とかもある程度はイメージしやすいかと思う。
しかし見た目で分からないものも結構あって、例えばジャガイモは「土豆 tu3dou4」だし、「大豆」も普通「黄豆 huang2dou4」と言う。「卷心菜 juan3xin1cai4 キャベツ」、「黄瓜 huang2gua1 きゅうり(胡瓜)」とかも微妙に分かりづらい。
他にも、日本語ではニンジンというとごく一般的な野菜だろうが中国語でこのニンジンのことは「胡萝卜 hu2luo2bo0」と言い、「人参 ren2shen1」と言うと高麗人参の意味になる。萝卜 luo3bo0とは「大根」のことだ。「大根」という言葉の語源について調べてみたのだが、日本語の「大根」は古語の「つちおほね」をなぜか音読みしたのが始まりのようで中国語由来ではないらしい。
●意見 ≠ 意见 yi4jian4
北京に住む日本人の知人が以前、お客様に「你有什么意见吗? Ni3you3shen2me0yi4jian4ma0?」と言って怒らせてしまったことがあると聞いた。フィードバックを打診したかったらしいが、何しろ中国語で「意见」というのは「文句」という意味なのでこれだと「文句あっかコラァ」という意味になってしまう。
もしお客様に「ご意見・ご感想」を聞きたいときは、「反馈 fan3kui4」とか「建议 jian4yi4」と言った方が適切かと思う。
●老婆 ≠ 老婆 lao3po0
これも有名な話だが、中国語では奥さんのことを「老婆」と言います。ローバじゃないよ。ちなみに夫のことは「老公 lao3gong1」と言うし、先生は「老师 lao3shi1」、店主とかマスター、親父という意味で「老板 lao3ban3」なんて言葉もある。中国語の「老」という字は日本語と違ってヨボヨボの年寄りという悪いイメージが少ないようだ。
●同志 ≠ 同志 tong2zhi4
腐女(fu3nv3 腐女子)の皆さん、お待たせしました。この「同志」、なんと「ゲイ」とか「ホモ」の意味です。おかげで一部の中国人は同志社大学という名前を見るだけで吹き出すそうだ。文化大革命の頃は普通に日本語の「同志」の意味で使われていたのに、なぜこうなったのか。
ちなみに、中国語では同性愛は「同性恋 tong2xing4lian4」、ゲイは「基佬 ji1lao3 広東語で『基』という漢字がgei1という発音でそれに由来する」、百合はそのまま「百合 bai3he2」で通じます。




