中原『式』日语:私が『解释』してあげよう
さて、あんまりふざけた内容ばかりやるとよくないのでそろそろ本題へ戻ろう。
今回も中国人学習者が日本語を話すときについ使ってしまう日中同形異義語について取り上げる。
●私が『解释』してあげよう
ほとんどの場合日本語の「解釈」という言葉は「理解する」、英語でいうconstrueという意味で使われるだろう。
しかし中国語の「解释 jie3shi4」は「誰かに何かを説明する」という意味で使われており、中国人は日本語を話しているときもついそういう意味で使ってしまう。
以前、とある中国人の知人と中国語の方言談義になったとき、彼が「私が解釈してあげよう」と言ってきたのだが、日本人には「カイシャク」という言葉は「介錯」に聞こえ、これではまるで中原が今から切腹自殺でもするように思える。
ちなみに中国語の「说明 shuo1ming2」は日本語の「説明」と同じ意味で使うことができる。
●そのことはあまり『了解』していません
日本語では普通、「了解」というのは「承知する」というような意味で使われる。しかし中国語では「了解しました」は「知道了(分かりました)」と表現され、中国語の「了解 liao3jie3」は「理解する、よく知り見聞きする」という意味で使われることが多い。
例えば「了解自己」、「了解情况」と言えば「自分のことについて理解する」、「状況をよく理解する※注1」という意味になる。
そんなわけで、上の文が本当に言いたかったのは「そのことについてはあまり知りません」ということである。
※注1 中国語では「状況」のことを「情况 qing2kuang4」と書くことが多い。
●先生、『问题』があります
こういう間違いは結構ヤッカイである。というのも「問題があります」という文には一見何の間違いもないように見えるからである。
しかし、中国語の「问题 wen4ti0/wen4ti2」には日本語でいうトラブルや英語のproblemの意味だけではなく、質問(question)という意味があるのだ。中国語で「我有个问题 wo3you4ge0wen4ti0」と言えば、「質問があります」という意味になる。
今度中国人と日本語で話しているときに「問題があります」と言われたら、「何かトラブルが発生したのか?」とは思わずに、「何か聞きたいことでもあるんだろうか?」とも考えてみよう。
※補足 混乱させるようで申し訳ないが「个」をとって「有问题」とすると日本語と同じ「問題がある、ダメである」という意味になる。
●『専門』は何ですか?
中国の日本語専攻の大学生と交流していた頃、よくこの言葉を耳にした。「センモンは何ですか?」と聞かれるたび、「『専攻』じゃないのか?」と聞き返したりしていたが、なぜこういう表現が広く見受けられるのかは私にも分からない。
実際、中国語で大学の専攻のことは「专业 zhuan1ye4 専業」と言い、専門ではない。日本語の教科書にそう書いてあるのだろうか?
●彼の英語は『标准』です。
日本人が聞いたらこの日本語は意味不明だろう。そもそも日本語では「標準」という言葉は主に名詞として使われ、形容詞的に使われることはない。
しかし中国語では标准 biao1zhun3と言えば、「アナウンサーのように発音がきれいで正確だ」という意味になり、「他日语说得很标准 ta1ri4yu3shuo1de0hen3biao1zhun3 彼は日本語の発音がきれいだ」という使い方ができる。
中国人の皆さん、日本語ではそういう時は単に「発音がきれいです」と言えばOKですよ。
★おまけ 今回の試験は『变态』でした
以前、とある中国人にこう言われたことがある。
スラングではあるが中国語の「变态 bian4tai4」には「とても難しい」というような意味があり、「試験が変態だった」という言い方ができる。しかし日本語では試験が変態だったなどとは言えず、「エロい試験だったのか??」とか変な誤解をされてしまうかもしれない……。