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閑話休題2

今回はあんまり中国語と関係ないです。

 中原は幼い頃から漢字が好きで、ノートに漢字を書くだけで楽しいというよく分からない趣味を持っていた。

 高校に入ってからその趣味がさらに悪化し、簡体字や繁体字を覚えるに飽き足らず西夏文字やナシ族のトンパ文字やロロ文字を意味も分からないままひたすらノートに書き写して、一人で悦にいっていた。未だに外で漢字の書いてある看板を見ると、日本語の漢字の横に繁体字と簡体字の同じ感じが目に浮かぶ。我ながら変態である。

 漢字の字源を調べるのも好きで、例えば「流」という字が実は子供を流している様子を表しているとかそういうトリビアをいちいち調べては感激していた。漢字は現代に生きる古代文字で、おそらく日本人や中国人以外にとってはおそらく習得がかなり難しい文字と言えるだろう。

 

 ところで私が好きな文字は漢字以外にもいくつかある。ちょっと紹介してみよう。


●タイ文字 ~日本語以上の言文不一致~


 タイ文字は私が勉強したことのある言語の中でも、おそらくもっとも習得の難しい表音文字と言える。システムがあまりに複雑な上に発音の例外も多いので、外国人にとっては悪夢のような言語だ。

 タイ文字が難しい理由を簡単にまとめてみよう。


①高子音・中子音・低子音


 タイ語は中国語と同じく声調言語だが、三個しか声調がないというわけではない。タイ語の声調は五個である。じゃあどうして三種類に分かれているのかというと、タイ語は昔声調がなくかつてはそれで問題なかったようだ。

 とにかくこの高・中・低子音字は厄介である。例えば「ข kh 高子音」「ก k 中子音」「ค kh 低子音」という三つの字に同じ母音をつけてขา khaa กา kaa คา khaaとした時、最初のขาは5声になるが、後ろの二つは1声になるという感じで声調に影響を与えるのだ。 おまけに促音節かどうか、低子音の時だけは母音の長短なども気にするので、ขอบとกอบは2声だがคอบは3声になるなど、声調のルールが複雑すぎて慣れるまでは面倒くさいことこの上ない。


②同じ発音の字がいくつもある。


ท ฐ ธ ฒ ถ ฑ


 上に書いた六文字は全部発音としてはthである。日本語でいう変体仮名みたいなもので、同じ発音なのにいくつもいくつも別の字がある。原因としてはタイ語に存在する大量のパーリ語由来の借用語を正確に表記するため、パーリ語では区別されていた発音をタイ語に落とし込んでしまった結果区別が失われたからである。


③不規則すぎる

 

 英語の綴りもひどいが、タイ語も同じぐらいひどい。たとえばชาติはどう読んでもchaatiなのにchaat3だし、ธรรมもthrrmなのにtham1と読む。ちなみに二つともよく使う単語である(「国」と「正義」である)。


●カナダ先住民文字 ~宇宙人文字~


 どう見てもナメック星人の文字にしか見えないこの文字は、カナダの一部でイヌイットに使われている。といってもイヌイットが発明したわけではなく、宣教師が原住民の言語を書きとるために開発した文字だそうだ。

 日本語のかなと似たような音節文字であるが、最大の特徴はぐるぐる回転することによって母音を変えるというかなり珍しい母音交替システムを持っている。

 例えばLのような字は「ma」と読むが、『「』のように回転させると「mi」になり、『」』にすればmoになるという代物である。

 この文字はクリー語の他、イヌクティトゥット語など様々なカナダ先住民たちによって使われている。


●ロロ文字 ~宇宙人文字2~


 これもどう見ても宇宙人文字である。実在するのか疑いたくなるような見た目だが、一応中国の凉山彝族自治区などで使われている。全部で893文字もあるのに音節文字で、声調のついたかなのような文字というのが正しい。

 かつては表意文字で何千という数だったそうだが、1970年代に入ってから整理されて現在の規範彝文ができた。

 しかしなぜかその時、角度を九十度傾けるという謎の改革を行ったので現代のロロ文字はじゃっかん縦長である。

 女書は男たちに読まれないようにするために45度傾けたのは分かるが、なぜロロ文字も傾けたのであろうか。


●マヤ文字 ~独自の発展を遂げた表語文字~


 マヤ文字は独自に発展した表語文字の中で私が一番好きな文字である。見た目がデザインとして美しい(まあそう思わない人もいると思うが)と思っている。

 マヤ文字は音節文字と表語文字を両用する日本語のようなシステムで、例えば「balamジャガー」を表すのにba la maという音節文字を三つ組み合わせることもあれば、ジャガーの頭の象形文字一字でbalamと読むこともあるという自由な文字だ。マヤの書記は一つの言葉でも何通りもの書き方を使って書くことに何かしらの意味を感じていたようである。


●アラビア文字 ~実は簡単~


 アラビア文字は見た目的にかなり難しいと勘違いされる文字だが、実際は英語の筆記体のようなもので別にそんなに難しくない。全部合わせても28文字しかない。アラビア文字には大文字や小文字はないが、頭・中・語尾・単独という四つの形があり、それさえマスターしてしまえば文字の学習は終わりである。

 問題は母音を表記しないことで、アラビア文字は母音をシャクルという記号で振り仮名のように文字の周りにベベベと書くだけなので、慣れないと母音がなんなのか分からないことも多い。

 たとえばأهلا و سهلاとか書いてあったとして、アルファベットに無理やり変換すると母音+H+L+母音+W+S+L+母音とかいう感じになっているわけで、そもそもこの言葉を知らない段階でここから「Ahlan wa sahlan アフラン・ワ・サフラン」という発音を導き出すのは難しい。

 しかしどうせアラビア語は母音がa i uしかないので、母音がなかったとしてもそんなに問題ないのかもしれない。アラビア語の子音は日本語と似てもにつかないものが多いが、全体的な音節の構造としてはアラビア語は日本語と似ている部分もある。(母音の長短がある、促音があるなど)


 ちなみによくイスラム教建築で見るような点々の多い書体はディワーン書体と呼ばれているアラビア書道の書体なので、一般人が普通に文字を書くときには使わない。普段はルクア体、ナスフ体あたりが使われている。

 いつかアラビア語話せるようになりたいなぁ。

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