中国語の受動&使役構文
以前も紹介した通り、中国語は語順が大切である。つまり前に来たものが後ろに来たものを支配するという鉄則がある。
中国語で受動態を作る場合は「被」を、「~させる」という文を作るときは、主に「要」「叫」「让」「请」、文語では「使」が用いられる。
・被 bei4
A+被+(B)+動詞 = AがBによって~される
例
他被公司派到北京去了 彼は会社によって北京に派遣された。
中国語の受動態は基本的に「被」を使うだけなので楽なのだが、実は中国語はそもそも受動態をあまり使わない傾向がある。例えば「习惯改变了」といえば「習慣が改められた」という意味で受け取ることもできる。中国語は日本語と違い動詞の変化が一切ない言語なので、あまり受動態を使うのが好まれないのかもしれない。
書き言葉では「被~所(为)」という形が用いられる。
例
火车被冰雪所阻,延迟到站 汽車は氷雪に阻まれて、遅れて駅についた
・要 yao4
通常、「~したい」とか「~がほしい」という意味で使われるが、誰かに~させるという意味でも使える。
例 他要老师给他开个介绍信 彼は先生に紹介状を書いてくれと頼んだ。
・叫 jiao4
「叫」は通常「~という名前である」という動詞として使うが、介詞として使えば受け身や使役の文を作ることもできる。
例
我的自行车被他借走了 私は彼に自転車を借りていかれた 受動
科长叫我去广州一趟 課長が私に広州に行ってこいと言った 使役
・让 rang4
「让」は「譲」の簡体字である。「让」もまた使役・受動両方の意味を持ちうる。让+A+動詞で「Aに~させる」という意味になる。
例
风筝让风刮跑了 凧が風で飛ばされた
来晚了,让您久等了 遅くなってお待たせしました。
英語のlet'sのような感じで、「让我们一起学习汉语吧!」と言えば「一緒に中国語を勉強しましょう!」と言うこともできる。
・请 qing3
招待する、ごちそうするという意味の他に、人を招いて~してもらうという意味もある。この場合、请+A+動詞という形をとる。
例
请他担任顾问 彼に顧問になってもらう。
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このように、これらは動詞の前について英語でいう助動詞のような役割を果たすわけだが、以前紹介したものとも似てそれぞれ違う意味でも使うので注意が必要である。
◎単独で使った場合
・被
→単独ではあまり用いないが、「布団」という意味があるので「被子」といえば掛布団の意味になる。
・要
→英語のwantである。他要一支钢笔 彼は万年筆を欲しがっている。
・叫
→A叫Bで「AはBという名前だ、AはBと呼ばれる」という意味になる。日本語的に考えるとよく分からない意味になってしまうが、中国語では多用される動詞である。
例
你叫什么名字? お名前は何ですか?
また、日本語と同じく「叫ぶ」という意味もある。例 大喊大叫 大声で叫ぶ
・让
→让茶 rang4cha2で「茶を出す」という意味になる。
・请
→请+動詞で「~してください」という意味になる。
例
请坐 座ってください。
请问,您贵姓? お伺いしますが、あなたの苗字は何ですか?
またさきほど紹介した通り、「他请过我」と言えば「彼は私にごちそうしてくれたことがある」という意味にもなる。