中国語の外来語は読めない
日本語は外来語だらけの言語である。中国語から漢字を借用し、明治時代以降は英語やフランス語、ドイツ語といった様々なヨーロッパの言語から語彙を借用して発展してきた。
では中国語はどうなのかというと、やはり中国語にも外来語はある。しかし見た目原型をとどめないようなものも多いので、初見で何なのか分からないものが多い。原因としては、中国語は漢字しかないのでただの当て字だともとの漢字の意味が関係なくなってしまうこと、意訳している物が多いことがあげられる。
訳し方別に三種類に分けてみた。
①意訳
中国語の外来語は基本的に意訳のものが多い。漢字の分かる日本人にとっては分かりやすい場合もあるが、まったく違うものもあるのでパッと見分からないこともある。
电脑 パソコン
中心 センター
火箭 ロケット
香蕉 バナナ
番茄 トマト
橙汁 オレンジジュース
网(網) ネット
机器人 ロボット
蛋糕 ケーキ
出租汽车/出租车 タクシー
病毒 ウイルス
スポーツの名前も大体意訳だが、日本語と違う訳語を使っている。例えば「棒球 野球」「篮球 バスケットボール「 羽毛球 バドミントン」「足球 サッカー」などである。
しかしゲームの名前の訳語でDead Spaceを「死亡空间」、Portalを「传送门(伝送門)」とかに変えてしまうのは我々日本人から見ると非常に奇異に見える。みんな大好きアンパンマンも「面包超人 mian4bao1chao1ren2 パン超人」である。
②当て字(音译)
この手のものは暗記するしかない。しかし中国語風に訛っているのでもとが何なのか分かりづらいことが多い。
沙发 sha1fa1 ソファ
沙拉 sha1la1 サラダ
三明治 san1ming2zhi4 サンドイッチ
引擎 yin3qing2 エンジン 发动机(発動機)とも
逻辑 luo2ji0 logicから、論理
拷贝 kao3bei4 copyから、映画フィルムのプリント
アルファベットを混合したものもあり、たとえば「T恤 ti1xu4 Tシャツ」 「卡拉ok ka3la1ou1kei1 カラオケ」といったものもある。
地名はもっぱら当て字である。
巴基斯坦 ba1ji1si1tan3 パキスタン
好莱坞 hao3lai2wu1 ハリウッド
他にもたとえば映画の名前ではこんな感じになる。
阿凡达(A1 fan2 da2) アバター
泰坦尼克(Tai4 tan3 ni2 ke4) タイタニック
ちなみにタイタニックやウルトラマン(奥特曼ao4 te4 man4)といった単語は、声調は無視される場合がある。つまり軽声のように最初の字の声調以外があまり厳密に発音されない。もしくはそもそも声調がない。
戴维·卡梅伦(Ka3 mei2 lun2) デイヴィッド・キャメロン
贝拉克·奥巴马(Bei4 la1 ke4 Ao4 ba1 ma3) バラク・オバマ
こう書かれてしまうと分からないときもある。日本語の外来語と同じで、原音とかなり発音が異なる場合があるからだ。
③混合型
啤酒 pi2jiu3 ビール ビールの発音 pi2+酒
奥运会 ao4yun4hui4 オリンピック オリンピックの当て字+运(運動?)+会
艾滋病 ai4zi1bing4 エイズ エイズの当て字+病
摩托车 mo2tuo1che1 オートバイ モーターの当て字+車
汉堡包 han4bao3bao1 ハンバーガー ハンバーガー、ハンバーグの当て字+包(この字は面包 mian4bao1 パンなどにつく)
このように、中国語にはこうした音訳+意訳混合型の単語が多く見られる。後ろに意味を限定するものをつけることで分かりやすくするためであろう。