中国語の方言は方言というレベルではない 2
先日中国語の方言について紹介したが、北方の方言についても触れようと思う。北京や大連など、北方は北方でまた訛りや方言がたくさんあるので分かりにくいことも多々ある。
・北方方言(北京話、東北話など)
北京話というのは普通話と同一視されることも多いが、実際は基本的な発音が同じなだけで違う部分もたくさんある。
東北話に関しては声調や語彙がかなり違う。
①儿化音
北京話は他の多くの方言と似て儿化音を多用する。
今儿 今日
昨儿 昨日
名儿 名前
这儿 ここ
聊天儿 おしゃべりする
半天儿 長い時間
……
この辺は大体東北話とも同じである。「玩儿 遊ぶ」「完 終わる」は儿をつけないと意味が変わってしまうので、絶対に儿をつける。他にも「打盹儿 うたた寝する 北京話」「唠嗑儿 おしゃべりする 東北話」とか地域独特の言い方にも儿化音は用いられる。
しかし北方人はこの儿をつけすぎである。なんでもかんでもつけるので全部儿儿儿に聞こえる。电影儿とか疫苗儿とか一点儿点儿とかはやりすぎな気がする。
②発音上の違い
北京語では 一部の発音があいまいになる。
名字 ming2zi0 → ming2ze
西红柿 xi1hong2shi4 → xiong1shi4
また「不知道 buzhidao → burdao」「就是说 jiushishuo → jiurshuo」といった発音が北方の方言ではさらに強調された形になり、そり舌音が軒並み全部rに化けるという現象が起きる(極端な例だと「或者 huo4zhe3 → huo4re3」のように発音する人もいる)
東北話では第一声を第三声のように発音することも多く、「三」「吃」などがsan3 chi3と発音される。
他にも「还 hai2」がhai4になったり、大連だと「人 ren2」がyin2のようになったりする。また、吉林省や遼寧省の一部ではそり舌音がないのでzh ch shがz c sのように発音されることもある。
③語彙の違い
北京話だと「撮 cuo1」を食べるという意味で使ったりするが、東北話でも普段よく使う語彙にも色々な違いがある。
啥 sha2 何
咋 za3 どんな
瞅 chou3 見る
例えば「你叫什么名字?(お名前は何ですか)」が「你叫啥名儿?」になるのだが、この「啥」は関西弁のような感じでかなり市民権を得ているので東北人以外にも通じる。
他にも北方的な言い方としては「甭 beng2 ~するな 不用から」「咱们」「我们俩」などがある。
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まあこんな感じで同じ北方方言でも北京話と東北話でかなり違うし(関西弁と標準語ぐらい違うのかもしれない)、他にも名もない方言がたくさんある。
中国語を勉強する時、私は北方訛りを習得することが望ましいと考えているが、実際の所中国はこれだけ広く言語を取り巻く環境もかなり多様なので、行った先の現地の言葉を覚えるのが一番いいのではないかとも思う。
方言を織り交ぜた南方訛りか、儿儿儿だらけの北方訛りか、さあどちらかを選べ!(泣)