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プロローグ

 ――息を呑むしかない。


 広がるのは、非現実的な光景。


 これ以上ないくらい破壊された街並み。


 まるで嵐が通り過ぎたあとのようだ。


 紫の液体の中に沈む化け物。


 全てが異常としか思えない、おかしな景色。


 しかし透は、それ以上に気になることがある。


 それは、透の目の前にいた。




 綺麗な少女だった。


 この場に似合わない、学生服の少女が立っていた。


 透はこの少女を知っている。


 だが、何故ここにいるのかは分からない。


「どうして……」


 そんなセリフが洩れる。


 他のどんなことも目に入らないくらいに、少女の存在感は強かった。


 少し短めのスカート、シワ一つないリボンとブレザー。なんとも場違いな服装だ。


 ただ、右手に収まっている不思議な剣はこの場によく似合う異様さを秘めていた。


 しかし、彼女の容姿はそれすらも凌駕する。


 肩にかかる髪は青空を連想させる青。


 全てを見透かしたかのような不思議な瞳。


 見た者を惑わすであろう顔を不快そうに歪め、透を見つめている。


 そんな姿さえ、人々の視線を奪うほど美しい。


「君は……」


 続く言葉が出ない。


 何を言えばいいのか分からないのだ。


「…………」


 返事がない。答える気がないのだろうか。


「……どうしてここに……」


 少女が唐突に口を開いた。


 声には、軽い驚きが混じっている。


「俺は――」


 透が顔を上げる。


 その時、二人の目が向き合い――物語の歯車が回り始めた。

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