#7『DESPAIR 』絶望
少し遅れてすみません、最近忙しくて。
応援よろしくお願いします(>_<)
雨、雨は全てを洗い流してくれる。
哀しみさえも。
東京第一理学制大学、自分の通うその場所では雨の中にも拘わらずたくさんの生徒が出席していた。
正直今日は一時限も授業には出たくなかった。
カフェで一人お茶でもしていたい。
だが、だ。
………ふいと、左斜め前の席に座る篠原を葛城は見つめた。向こうは気付く様子も無くただひたすらノートを取っている。
彼女はいつもあんな顔をしていたんだろうか。
楽しそうに、学校にだけは来ていたというのに。
少なくとも自分が学校に来ている時は。
窓の外には鳥の群れが逃げるように空を飛んでいる
逃げるように。
自分はどうすればいいのだろうか。
どうすれば良かったのだろうか。
今の今まで一人バカみたいに笑って、彼女が心の奥底で何を想っていたのか何て分かろうともしていなかった。何にもだ。
あいつに相談してみるかな?
〇〇〇〇〇
「どした?急に話があるだなんてよ」
悟はいつもの作業着姿でカフェに来ていた。
「おい、カフェでそれはないだろ」
「仕方ないだろ、仕事中だったんだから。あ、お姉さんオレロイヤルミルクティーね」
パッパと注文を済ませる悟。
恥ずかしい、気品が感じられない。
お前は中学生とミ〇ドにでも行ってろ。
全く。
「それはそうと話って、なんだよ」
「ん…」
いきなり話すとなるとやはり言葉に詰まる。
「篠原って子のことか?」
「なぜそれを…」
「顔に出てるつぅの。ケンカでもしたのかよ」
ニヤニヤとする悟。
「そんなんじゃねぇよ、ただあんな作り笑いをしてほしくないだけだ」
悟に全てを伝えた。
「……なるほど、あと一週間か。厳しいな」
「だからお前にどうすればいいのか聞きに来たんだよ。得意だろ、モテるから」
しばらく目を閉じる悟。
やがて目を開けるとキッと睨み付けて来た。
「甘ったれてんな、お前の人生だろうが他人に決めてもらうような事じゃねぇだろ。なあ、葛城お前はどうしたいんだよ、彼女とこのまま別れちまっていいのかよ、彼女のこと好きなんだろ?」
「オレは幸せになってほしいんだ、バカみたいにだっていい、その笑顔を守りてぇんだよ」
ロイヤルミルクティーを飲む悟。
「オレに言ってどうするよ、彼女の目の前で
思いっきりキザってやりな。バカやろう」
「悟…」
ヒラヒラと手を振り、帰っていった。
悟…金は?
〇〇〇〇〇
無駄骨だったっていい、失敗したっていい。
もしダメだったんなら、オレの彼女に対する想いがそれまでだったってことだ。
後悔なんてしてたまるかよ。
「水篶さん!!」
大声で彼女の名を呼ぶ。
「葛城さん、どうかしたんですか?雨なのに傘も
ささないで風邪引きますよ?」
「構いませんよ、どうせ大学から家近いですし」
「用でもあるんですか?私これから夕飯の材料買いに行くんですけど」
「大事な話です!!」
「……」
やっと聞く気になってくれた。
「単刀直入に聞きます、いいですか?」
「はい」
少し真剣になる水篶さん。
「もし、もし僕があなたのことを忘れてもまた思い出すことが出来たら僕と…」
葛城の手には記憶を消す医学療法と書かれた本が握られていた。
「意味が…わかりません」
「僕と…僕と、
結婚してくれますか?」
「………!!」
#7『DESPAIR 』 絶望END.
#8 へ続く。
人は人と出会い別れを繰り返していく。
それでも、絶対に別れたくない人がいる。
なぜそのようなことを想うのか、
それはその人を愛しているからだ。
次回、葛城永斗の人物語クライマックス直前
絶望の先に広がる未来は一体何を形作るのか
ひとつ分かることはいつだってその未来を作って
きたのは、自分自身だということだ。