ペイント弾で●●まみれ!
「尻は揉んでも大きくならないのかな?」
道場の床でごろ寝している二人を呆れたように見遣りながら、桐継がそう言った。いつの間にか来ていたらしい。
「あれ? キリ先輩」
「桐継。どうしたんだ? 大学は?」
二人は寝転がったまま言う。
「今日は午前中で講義終わり。ほら、差し入れだ」
桐継はテイクアウトしてきたファーストフードの袋を二人にそれぞれ渡してやった。
「あ、ありがとう! ちょうどお腹空いてたの」
「だな。ナイスタイミングだ」
二人は遠慮なく紙袋を空けてから食べ始めた。
空きっ腹にジャンクフード。
素晴らしきかな。
「ふい~。おなかいっぱい」
食べ終わった火錬は再び床に寝転がる。
「食べてすぐに寝るとホルスタインになるぞ」
「ウシって言おうよ!」
「豚だったか?」
「どっちも嫌!」
カップジュースをすすりながら容赦のない突っ込みを入れる恵。もちろんすかさず反論する火錬。
意外と楽しそうなやりとりを眺めながら、桐継も口元がほころんだ。
こうやっていると、まるで本当に『仲間』のようではないか。
「落ち着いたら選手交代だな。午後からはしばらく俺が相手をしてやろう」
「キリ先輩が?」
「そうだ。飛び道具にも対応できるようになっておいた方がいいだろう」
「……うん。そうだね」
桐継が相手ならまあ、恵ほどセクハラ三昧になることはないだろうと思いながらも、飛び道具に対する準備なんてまるで出来ていない火錬はちょっとだけ不安になった。
使用する道具はいつものゴム弾だろうか。
当たるとすごく痛そうだなあ。
……などなど。
「心配しなくてもいい。塔宮さんに頼んで特殊弾を用意して貰った」
「特殊弾?」
桐継は懐から白い弾丸を取り出した。
「特殊ペイント弾。これなら身体に当たっても大したダメージにはならない」
「そっか。それなら安心だね」
ゴム弾でも当たれば相当に痛いと知っている火錬としてはホッとした。
そして桐継は弾丸を一つ手に取って、そのまま下向きにして先を潰して見せる。
「?」
すると、潰れた弾丸の先から白くて粘ついた液体が出てきた。
「なに? これ……」
「ペイント弾の中身だな。俺の好みと嗜虐趣味により、これを選んだ」
「………………」
「つまり、これに当たると白くて粘ついた液体まみれになるということだな」
「……それって、見た目かなりアレなんじゃ……」
「●●まみれ女になりたくなければ、必死で避けるんだな」
「いやああああああ! なりたくないぃぃ!」
●●まみれな自分の姿を想像して、火錬は悲鳴を上げた。
「これが嫌ならゴム弾になるが?」
「そんなもん一発でも喰らったらまともに動けないよ!」
「じゃあ決まりだな」
「うわああああん! 師匠もキリ先輩もど鬼畜だよぉぉぉぉ!」
「ナイスだ桐継! デジカメ持ってくるからちょっと待っててくれ!」
「持ってきた瞬間に壊してやるそんなもん!」
そうして、恐怖のセクハラ修行第二部が始まるのだった……。
次回!●●まみれな火錬ちゃん登場!?
なーんてね。
いじられまくる火錬ちゃん。
いつか報復できるといいね!