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その音を聴くまでは……

「火錬ちゃん! 満月ちゃん! 起きろ! 死ぬぞ!」

 進み始めた車に恵が叫ぶが、閉め切られた車内まで声が届くことはない。そしてちょっとはそっとでは意識が戻らないような薬を使用されているのか、車が動き出しても二人が起きる気配がない。

 ドライブギアで進んでいるのでまだゆっくりだが、それでも一分もすれば海へと落ちてしまうだろう。

「くそっ!」

 そして自分たちも銃を向けられている以上、迂闊に動けない。

「落ち着け、俺達が着ている服を思い出せ。頭を撃たれない限りは問題ない」

「桐継。だが火錬ちゃんたちが……」

「そっちは何とか起こすしかないな。二人とも拘束されているわけではないから意識さえ取り戻させれば問題ない」

桐継はリュックサックから短機関銃サブマシンガン音響閃光弾スタングレネードを取り出す。

「げっ……お前そんなものまで持ってきてたのかよ……」

 閃光弾はともかく短機関銃を目にした恵がぎょっとしたように桐継を見る。

「制圧射撃で援護する。恵はこいつを二人に渡してやれ。この状況で守ってやれるほど余裕はない。助かったら自分たちの身くらいは自分で守って貰う」

 桐継は閃光弾を車に向かって投げつけると同時に恵に手袋と糸、そして伸縮ロッドを渡す。火錬と満月の装備品だ。これがあれば二人は自分の身を守ることが出来る。

 恵は受け取ってから車に向かって走り出す。

 敵が恵を狙い撃つべく銃口を向けてきたが、短機関銃で桐継が攪乱させる。

 次の瞬間、閃光弾が炸裂した。

 恵は素早く両耳を押さえ、目を閉じる。数秒後に目を開けてから、

「火錬ちゃん! 満月ちゃん! 目を醒ませ!」

 走行する車に叫ぶ。

「ん……」

「なに……?」

 さすがに目を醒ましたのか、二人はぼうっとした表情で身じろぎする。

「今すぐ降りろ! そのままだと死ぬぞ!」

 恵は再び叫ぶ!

 今まで聞いたことのない、切迫した声で状況を悟った火錬はすぐに満月を抱きかかえて車から飛び降りた。

 ごろごろと転がってから体勢を立て直した火錬に恵が桐継から預かった装備を渡す。

「今すぐこいつを装備しろ!」

「わ、わかった!」

「すぐにやる!」

 事情は分からないままだが、銃を持った男達が次々と自分たちに襲いかかってくるのを見て、とにかく不味い状況だという事だけは理解した。

「恵! ひとまず退くぞ!」

「分かった!」

 恵は投擲用ナイフを一気に五本放つ。

 五本のナイフは三人の胴体に刺さり、残り二本は地面へと落ちた。

「ああくそっ!」

 素手格闘は得意なのだが、飛び道具は苦手な恵だった。それでも三本は当たったのだからとりあえずは御の字だろう。

「ほら行くぞ! ぼけっとするな!」

 恵は二人に荒っぽい言葉をかけながら何とかその場から逃げようとする。

「桐継! 何か威力の大きなヤツは持ってないか!?」

「持ってはいるが威力が大きすぎる! まずはこっちに合流しろ!」

「分かった!」

 火錬と満月を連れたまま短機関銃で敵の動きを牽制している桐継へと合流しようとする。その途中でナイフを持った男達が四人襲いかかってきたが、恵はそれらを五秒もかけずに倒してしまう。

「邪魔だっ!」

 一撃ずつ、確実に急所を狙って倒している。拳や足を繰り出しているだけなのに二人は胴体から血を噴き出してしまっている。

 一体どうやったらあんな攻撃が可能なのだろうと火錬は不思議に思うが今はそれどころではない。

 三人は桐継のところへと合流する。

「じゃあ逃げるぞ!」

 桐継はリュックサックから手榴弾を二つ取り出す。

 ピンを抜いてギリギリまで待ってから敵へと投げつける。

 激しい爆発音がして、敵の悲鳴が伝わってくる。

 もう一つのピンを抜いてから今度は近くに転がす。

「おい、そこだとオレ達も巻き込まれるんじゃ……」

「心配するな。こっちは発煙弾だ」

「そっか」

「煙が出たら逃げるぞ」

「おう!」

 すぐに煙が出て、同時に恵達四人はその場から逃げ出す。


 これで何とかなると思っていた。

 少なくとも、悊人が援軍を連れてくるまでどこかに身を隠すくらいのことは出来ると信じていた。


 パンッ!


 ドサッ……


 その二つの音を聴くまでは……


なんだか嫌な感じに終わってます。

さて、撃たれたのは誰で倒れたのは誰なのでしょう?

ふふふふふ…………………………

あとアルファポリス青春小説大賞にエントリーしました。

清き一票プリーズ(^o^)

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