手遅れ
火錬と満月の護衛の為にマンションへと戻った恵と桐継だが、全てが後手に回ったことを悟らされるのにそれほどの時間はかからなかった。
「なっ!?」
マンションのエントランスホールに警備員である桜井が倒れている。
もう一人の名前は知らないが、彼も一緒に倒れている。
「桜井さん!」
恵が桜井に駆け寄る。
「……直純……さん……」
恵に呼びかけられて意識を取り戻した桜井が無念そうに言う。
「すみません……黒鋼さんと夜乃さんが……攫われました……」
「……遅かったか!」
恵が舌打ちしながら桜井の傷を確認する。
幸い、命に別状はなさそうだ。出血も骨折もない。電撃装備で無力化されたか、体術のみで意識を奪われたかのどちらかだろう。もう一人の方も同様だ。桐継が確認して頷いた。
「相手の人相は分かりますか? どこに連れて行かれたかの心当たりは? 何か言い残されたことは?」
「………………」
桜井は首を横に振る。
「車で拉致されていきましたので、どこに連れて行かれたかまでは分かりません。素性がバレないように覆面装備でしたので、人相も……」
「……そうですか。分かりました。救急車を呼びますから少し待っていてください」
「……いえ。それには及びません。病院の世話になるほどの怪我ではないようです。向こうも大事にしたくはなかったのでしょう。少し休めば回復しますので、出来れば会長への連絡だけお願いできますか?」
「分かりました」
桜井達を警備員室へ運んでから、悊人へと連絡を取る。
『……遅かったか。朔さんの方は無事だという連絡もさっき入った。二人を誘拐した以上、何らかのコンタクトが今後あるはずだ。悪いが二人にはこっちへ戻って来てほしい。今後の対策を考える』
「分かりました」
恵は手短に答えてから桐継と共に再び塔宮グループ本社へと戻ることになった。
いよいよクライマックス展開。
火錬ちゃんと満月ちゃんを無事取り戻せるのか!?
という感じでもう少しだけ続きます。




