表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法なき世界の異端魔導士 ~冤罪で捕まりかけた大魔導士は異世界で自由気ままに旅をします~  作者: 出雲大吉
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/105

第080話 あ、中止ですね


 イレーネと受付で待っていると、女将さんがダリアと共に戻ってくる。


「お疲れ様です」


 ダリアも苦笑いだ。


「すごい雨になったな」

「ええ。幸い、買い付けは午前中で済んだのですが、商業ギルドにいたので大変でしたよ」


 砂糖は買ったらしい。


「俺達は森だったからひどい目に遭った」

「お疲れ様です」


 ホントにな。

 主にリーエだけど。


「それで明日なんだが……」

「行ける?」


 俺達は外を見る。

 勢いはまったく落ちていない。


「明日になってみないとわかりませんね。通り雨なら良いんですけど」


 気象には詳しくないが、停滞前線だったらヤバいな。


「じゃあ、明日の朝、状況を見て、話し合う?」

「そうですね……まずキャラバンが出るかどうかです。その辺は商業ギルドに相談してみます。多少の雨なら行くんですけど、最悪は道がぬかるみ、馬車の足を取られて、立ち往生してしまうことです」


 それは確かに嫌だな。


「じゃあ、明日な」

「あ、夕食を一緒に食べませんか? その時までに雨が弱まっているかもしれませんし」


 それもそうだな。


「じゃあ、16時半か?」

「はい。それでまた相談しましょう」

「わかった」


 俺達は2階に上がり、部屋に入ると、暖炉に当たりながらソファーに腰かける。

 すると、寝巻き姿のリーエが風呂場から出てきた。


「お先です。イレーネさんとヴェルナー様もどうぞ。あ、服と外套は暖炉の前で乾かしますので置いておいてください」


 いつもの無表情リーエだ。

 さっきまでのあわわリーエの姿はない。


「イレーネ、先に入ってくれ」

「うん。ありがと」


 イレーネがリーエの代わりに風呂場に向かった。

 リーエは外套と自分の服を暖炉の前に干していく。


「すっきりしたか?」

「ええ。雨の日は外に出るもんじゃないですね。あ、ダリアさんは?」

「とりあえず、雨の状況を見ようってことになった。16時半に一緒に夕食だ」

「今は15時半ですか……1時間もあれば乾きますね」


 寝巻きで1階に下りるわけにはいかないからな。

 主にイレーネだけど。


 そのまま暖炉に当たりながら待っていると、イレーネが上がってきたので俺もシャワーを浴びる。

 外套を羽織っていたとはいえ、冷たい雨に当たっていたので温かいシャワーが心地良かった。

 そして、風呂から上がると、服を暖炉の前に置き、イレーネの隣に腰かける。


「全然、止む気配がないわね」


 雨は衰えておらず、今も窓に雨が当たり、かなりの音がしていた。


「これ、雨が止んでも無理じゃないか?」

「そんな気がするわね……道がダメそう」


 うーん……


 焚火の前で温まりながら待っていると、時間になったので乾いた服に着替え、1階に下りる。

 すると、ダリアが待っていたので一緒に夕食を食べることにした。


「止みませんね……」


 ダリアが外を見て、つぶやいたので俺達も見るが、雨は止むどころかまったく勢いが落ちていない。


「これ、マズくないか?」

「災害が起きそうよね……」

「女将さん、この町の近くに川はありますか?」


 リーエが受付で頬杖をついている女将さんに聞く。


「あるけど、この町はちょっと高いところにあるから水害は大丈夫だよ。ただ、道は難しいかもね。あんたらは南部のグラードに行くんだろ? そこに行くには山越えだからねぇ……」


 山……


「ちょっと厳しい気がしますね……」

「うーん……何もなければ良いんだけど」


 どうだろ……


「ダリア、どうする?」

「明日の出発予定は6時です。明日の朝、ギルドに確認してきます。それで行けるなら行きましょう。ダメなら翌日ですね」


 仕方がないか。

 天災はどうしようもない。


「わかった。俺達も早起きして、準備をしておく」

「お願いします」


 ダリアが微妙な顔で頷く。

 すると、入口の扉が開く音がした。


「ひどい目に遭ったよー。うえーん」


 知ってる声だなと思って、振り向くと濡れた2人の男女が入ってきた。

 ベッキーと教授である。


「よう」

「あ、ヴェルナーさん一家だ」

「ん? あー、君達もいたのか」


 教授がそう言って、眼鏡を拭く。


「いつ来たんだよ?」

「さっきです。昨日の朝にラティルナを出たんですけど、この雨のせいでひどい目に遭っちゃいましたよ」


 俺達と一日遅れで出たのか。


「お疲れさん」

「大変だったわね」

「早くシャワーを浴びた方が良いですよ」


 こいつら、外套も持ってないようでびしょ濡れだ。


「そうするー、女将さん、個室を2部屋おねがーい」

「わかったからちょっと待ってな。タオルを持ってくる」


 女将さんが奥に引っ込んでいった。


「教授、この雨をどう思う? 明日、ここを出て、グラードに行こうと思っているんだが」


 詳しそうな人に聞いてみる。


「気象の専門というわけではないんだがね……でもまあ、明日は無理だろう。たとえ今すぐに雨が止んでもこれだけ降った後の山越えは危険すぎる。君らが勝手に行く分は知らないが、キャラバンを組織している商業ギルドはまず行かないな」


 そうじゃないかなーと思っていた。


「やっぱりダメか」

「土砂崩れが怖い。土砂崩れというのは簡単に言うと、土砂に水が含まれることにより重くなったことで起きる現象だ。雨が止もうと水がすぐになくなるわけじゃないから非常に危険なのだ。あの道は整備されているし、そんなに険しくないが、まあ、無理だな。もう商業ギルドでもそういう結論が出ていてもおかしくない。もし、私のところに相談に来たら『死にたいなら行け』と答える。そのレベルだ」


 ダメだ。


「ダリア、無理そうだわ。どこぞの教授さんがこう言っている」

「すみません。ちょっとこれから商業ギルドに行ってみます。商業ギルドがどういう結論出すのかはまだわかりませんが、どちらにせよ、私達はキャンセルです。明日は様子を見ましょう」


 それが良さそうだ。


「頼むわ」

「はい。先生、ありがとうございます」


 ダリアが教授に礼を言う。


「見解を言ったに過ぎん。商業ギルドが悩んでいるようならさっきの言葉を伝えろ。責任問題になるし、上層部の何人かは首が飛ぶ」


 これでキャラバンの中止も決定だ。

 商業ギルドもこれで出すバカじゃないだろう。


「わかりました」


 ダリアは夕食を食べると、一度、部屋に戻り、宿屋から出ていった。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
スマホ転移で始める異世界ゆるゆる生活 ~日本の商品が高値で売れたのでスローライフを目指すことにしました~

魔法なき世界の異端魔導士 ~冤罪で捕まりかけた大魔導士は異世界で自由気ままに人生をやり直すことにしました~

【予約受付中】
~漫画~
~6/8発売予定~
その子供、伝説の剣聖につき(1)
web版(カクヨムネクスト)はこちら

~7/9発売予定~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(2)

~書籍~
~7/10発売予定~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(4)

【新刊】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)

~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(3)

覇王令嬢の野望 ~絶対平和主義の少女に転生した最強女帝の帝国再建譚~(1)
web版はこちら

宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~(1)

【現在連載中の作品】
元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~

宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

【漫画連載中】
その子供、伝説の剣聖につき
コミックグロウル

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜
カドコミ
ニコニコ漫画

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
今後のにわか雨や血飛沫対策にマントに撥水のエンチャント的なヤツも必要なんじゃね
早く立ち去りたいこんな町で足止めとは、何かが起きるフラグかな?
ただこういう時に期限がギリギリの人がいて、強行軍でトラブルを引き起こすのが世の常だったり_(┐「ε:)_
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ