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魔法なき世界の異端魔導士 ~冤罪で捕まりかけた大魔導士は異世界で自由気ままに人生をやり直すことにしました~  作者: 出雲大吉
第1章

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第029話 本当にお姫様になっちゃいました


 登録を終えたのでギルドを出ると、宿屋に向かう。


「無事に登録ができましたね」

「Fランクだそうだ。第一級魔導士がだぞ」

「すぐにAランクになれますよ。それに今は目先の10万ソルです」


 10万ソルとは言わずに20万くらい儲けられると今後が楽なんだがな。


「イレーネに聞きながら稼ぐか」

「ええ。宿屋に戻りましょう」


 歩いていくと、10分ぐらいで宿屋に到着したので中に入る。

 すると、今朝もいたおばちゃんが受付で書き物をしていた。


「いらっしゃい。ん? お客さん、どうしたんだい? 忘れ物?」


 ん?


「いや、船が出てなくてな。今日明日と泊まりたいんだ。連れが先に来てないか?」

「連れ? あー、そういえば、女の人と一緒だったね」


 これがミスディレクションだ。

 まるで意識に残っていない。


「ああ。俺はギルドに用事があったから先にここに来ているはずなんだが」

「いや? 皆、出ていったけど、以降は誰も来てないよ」


 ん? ミスディレクションか?

 いや、そんなことはない。

 おばさんはイレーネを思い出している。


「本当か?」

「ああ。寄り道でもしているんじゃないかい?」


 この状況で?


「そうか……ちょっと探してみる」


 そう言って、宿屋を出る。


「ヴェルナー様……」

「まだそうと決まったわけじゃない。もう一度、ギルドに行くぞ。それとミスディレクションをかける」

「わかりました」


 俺達は自分達にミスディレクションをかけると、来た道を引き返していく。

 注意深く周囲を観察したり、イレーネの魔力を探ったりしながら歩いていったのだが、何も見つからずにギルドまで戻ってきた。


「いなかったな」

「ええ。イレーネさんの魔力を見逃すということは考えにくいのですが……」


 あれだけの魔力量と質だからな……


「どこかに行ったか?」

「何も言わずに行くような方ではありません。やはり……」


 捕まったか……


「兵士を見ないな……」

「ええ。見ませんでした」


 チッ!


「ミスディレクションが破られるとは思えんのだが……」

「何かあったのかもしれません。それよりもどうしましょうか?」

「探すしかないが……どこだ?」

「手がかりを探すしかないですね。それと探す前に一応の確認があります」


 一応ね。

 想像はつく。


「言ってみろ」

「リスクを負ってまで探しますか? もしくは、助けますか?」

「お前を除いて、一番親しい人間だぞ」

「好きになっちゃいましたもんね」


 はいはい。


「リーエ、兵士を探せ。多少、強引にいくぞ」

「わかりました」


 俺達は町中を歩いていく。

 多くの人がいるが、兵士の姿は見えない。


「仕事が終わって撤退か?」

「そうかもしれませんね。微弱ですが、魔力を感じました。向こうの通りです」


 リーエが左の方を指差したので俺も探ってみると、確かにわずかだが、魔力を感じた。


「行ってみよう。魔力があるのは強い奴だから冒険者か兵士の可能性が高い」


 俺達は左に曲がり、隣の通りに出る。

 そこは娼館などが立ち並ぶ歓楽街のようでまだ朝早いということもあり、閑散としていた。

 そんな中、見回りをしている兵士の後ろ姿が見えた。


「いかがします?」

「話を聞いてみようじゃないか」

「そうしますか」


 俺達は歩いていき、兵士を追いかける。


「すみません」

「ん?」


 声をかけると、兵士が振り向いた。

 兵士はまだ若く、20代前半くらいだ。


「ちょっといいですか?」

「ああ。どうした? 何かあったのか?」

「ええ。実はギルドの近くで不審な女性を見たんですよ」

「女性? 若い女性か?」


 心当たりがある感じだな。


「ええ。ちょっと挙動が怪しい女性でした。ちょっと前から兵士の方が多いですし、町の門では検問をしていましたのでもしかしてって思ったんです。ウチには娘がいますし、心配で……」


 そう言うと、リーエが俺の服を掴み、後ろに隠れた。


「ふむ……もしかして、銀髪の女性じゃないか?」

「ええ。剣と弓を持っていました」

「それなら安心してくれ。すでに捕まえた後だ」


 チッ!


「ほっ……それは良かったです。物々しかったですけど、犯罪者か何かですか?」

「安心してくれ。どこぞの貴族令嬢の家出だ。すぐに親が迎えに来るし、たいした話じゃない。心配をかけてすまなかったな。事が事だから町の人にも言えなかったんだよ。明日、改めて発表があると思う」


 イレーネが捕まったことは確定だな。


「わかりました。安心しましたよ」

「ああ。でも、あまり娘をこんなところで歩かせるんじゃないぞ。では」


 兵士はそう言って、歩いていった。


「確定ですね」

「そのようだな」


 ハァ……


「ミスディレクションを過信しすぎたか……ちゃんと宿屋まで送るべきだったな」

「それはそれで過保護すぎるような気もしますが……どちらにせよ、過ぎたことは仕方がありません。それに悔やむ時間もなさそうです」


 親が来るって話だからな。


「逆に言えば、親が来るまでは無事か」

「はい。さすがに娘を殺してくれとは他の貴族に頼めないでしょう。やるなら迎えにきた後かと」


 その場で理由をつけて殺すか、馬車の中で殺すか。

 どっちみち、親が来るまでがタイムリミットだな。


「時間は?」

「ここから王都までです。どんなに馬を飛ばしても数日はかかります」

「楽観視はできないな。アルベンまで来ている可能性もある」

「そうですね。念には念を入れましょう。期限は2日」


 船が出航できるようになるまでだな。


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
魔導具で目標追跡のものとかあるのではと予想
さて、どんな理由で捕まったのかな、、、
貴族の上の方では密かに魔法を伝えてそうですよね。その対策も含めて。
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