表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法なき世界の異端魔導士 ~冤罪で捕まりかけた大魔導士は異世界で自由気ままに人生をやり直すことにしました~  作者: 出雲大吉
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/43

第021話 負けられないのです!


「そういや宿屋のおっさんに何かあったって聞いたな」

「俺も聞いたよ。その関係だろうな。すまないが、ちょっと待ってくれ。検問自体はすぐなんだが、この数の馬車だとね……ぱぱっと動けないんだよ」


 動かしているのは馬だからな。


「わかった」


 頷くと、荷台に戻った。


「何だった?」


 イレーネが聞いてくる。


「検問だとよ」

「そこまでするのね……大丈夫よね?」

「ミスディレクションがあるから問題ない。見られても男と女と子供がいるって思うだけだ」

「変に隠れようとしないでくださいね。意識されると効果が落ちますので」


 堂々とするのが大事だ。


「わかったわ」


 イレーネが頷くと、馬車が動き出した。

 そして、ゆっくりと進んでいくと、馬車が止まる。


「来ますね」


 リーエがそう言うと、商人と共に2人の兵士が荷台を覗いてきた。


「何か用か?」

「検問だ。3人か……」

「客だよ」


 商人が答える。


「家族で海を見に行くんだよ。ウチの子は海を見たことがなくてな」


 実際、リーエは海を見たことがない。


「そうか……荷は?」


 兵士が商人に確認する。


「果物だよ。それを向こうで売って、魚を買って帰るんだ」

「ふむ……人が隠れられそうなところはなさそうだな……」

「大丈夫だろ。協力に感謝する。行ってくれ」

「どうも」


 商人と兵士達が離れていく。


「本当にバレないのね……がっつり目が合ったのに」

「魔力のかけらも持ってない奴に俺やリーエの魔法を破れるわけがない」

「その通りです」


 すごいんだぞ。


「あなた達、その気になれば世紀の大犯罪者にでもなれそうよね」

「英雄、英雄」

「勲章持ちですよ」

「そうね。あ、動き出した」


 馬車が動き出し、門を抜けた。

 そして、ゆっくりと街道を進んでいき、町から離れていく。

 俺達の馬車の後ろに馬車がおり、列を成して進んでいた。


「キャラバンか……これだけ集まれば襲われにくいと考えるか、逆に襲われやすいと考えるか」

「平時なら問題ないのでは? これだけの数ですと、大盗賊団じゃないと無理ですよ」


 戦時だったら良い獲物だな。


「怖いことを言わない。それよりも明日の夕方まで暇ね。ヴェルナー、自慢話でもしてよ」

「聞きたいなら聞かせてやろうと思うが、その前に魔力操作だ」


 まずはそっち。


「大丈夫? 目立たない?」

「魔法を使うわけじゃないから大丈夫だ。それに馬車での旅だから身体を動かせないし、また魔力障害で苦しくなるぞ」


 イレーネの魔力だと、定期的にやらないとすぐにきつくなるだろう。


「それは嫌ね。魔力操作ってどうやるの?」

「リーエ、教えてやれ」


 リーエに投げる。


「お任せを。イレーネさん、魔力というのは体内にあるものです。魔法はこれを動かしたり、外に放出したりして発動します」

「なんとなくわかる」


 ホントかね?


「ええ。イレーネさんは無意識とはいえ、強化魔法を使っておられます。大事なのは集中することです。森の中での歩き方を思い出してください」

「足を意識して歩いたら楽になったわね」

「同じ要領です。御自分の手を見てください」


 リーエがそう言うと、イレーネが自分の右手を見る。


「意識してグーパーしてください」


 イレーネが手を閉じたり、開いたりする。


「意識っていうのがよくわかんないんだけど……手をにぎにぎしてるだけだし」

「ご安心ください。ちゃんと動いております」

「わずかだが、動いているな」


 微弱だが、確かに動いている。


「え? 本当?」

「ああ。リーエ、やはりイレーネは身体を動かす方向が良いと思う。それで魔力というものを認識させよう」

「それが良さそうですね。魔力は目に見えませんから慣れている方向でいきましょう。イレーネさん、トランプをしましょう」


 リーエが俺が作ったトランプを取り出した。

 なお、若い頃に前世の知識を思い出して作ったものだが、やる相手がおらず、作ってから10年後にホムンクルスと2人でやっているといういわくつきのものだ。


「トランプって?」

「カードゲームです。スピードをやりましょう」


 なるほど。

 手の速さと動体視力がものを言うゲームだから良いかもしれない。


「スピード?」

「ルールを説明しましょう」


 リーエがゆっくりだが、実際にやって見せながら説明した。


「ふーん……楽しそう。暇つぶしには持って来いね」


 なんとなくだが、イレーネが好きそうだと思う。


「では、やってみましょう。最初はゆっくりでいいですから意識してやってください」


 2人がスピードを始めたのでそれを眺める。

 言っていたように最初はゆっくりだが、徐々にスピードが上がっていくし、イレーネの魔力は手をにぎにぎしていた時よりも遥かに動いていた。


「イレーネ、良いぞ」

「え? そう? 負けちゃったけど?」


 目的を忘れてる……


「魔力操作の方だ」

「あ、そっちか。動いてた?」

「ああ。集中するのが良いんだろうな。引き続き、頑張ってくれ」

「よし。もう一戦」


 まあ、楽しみながらやるのが一番だろうな。


『リーエ、たまには負けてやれ』

『ホムンクルスに敗北はありません』


 こいつも熱中している……


「ほどほどになー」


 その後も2人はひたすらスピードをしていった。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
魔法なき世界の異端魔導士 ~冤罪で捕まりかけた大魔導士は異世界で自由気ままに人生をやり直すことにしました~

【予約受付中】
~書籍~
~4/30発売予定~
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~(1)

~漫画~
~5/12発売予定~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)

【新刊】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(3)

覇王令嬢の野望 ~絶対平和主義の少女に転生した最強女帝の帝国再建譚~(1)
web版はこちら

【現在連載中の作品】
元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~

宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

【漫画連載中】
その子供、伝説の剣聖につき
コミックグロウル

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜
カドコミ
ニコニコ漫画

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
こらこら!自称戦闘用〜! そこでムキになるな〜www
スピードは机を壊す前提でやらねばね。
スピードは短時間で確実に勝敗が決まる良いゲーム。 カードが傷つきやすいからカウンティングの練習にもおすすめ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ