第59話 二日酔いになってから飲んでも意味はないらしい
「さてと、音羽。私に秘密にしてることがあるでしょう?」
「そりゃあ私と鈴ねえの仲だとしても秘密の一つや二つはあるよ」
お風呂を済ませたあと、食事を食べて片付けを終えたところでテレビのある部屋に集まっている。テーブルの上にはビール、焼酎、日本酒が色々揃っている。いつの間に用意したのか、ストーブの上には水の入ったお鍋があり、その中に徳利が入れられている。
人が洗い物をしている間に何をしているのだろうか。もう顔がほんのり赤いので若干酔っているのかもしれない。食事中も飲んでいたので、すでにできあがっていてもおかしくない。
「リズさんは大丈夫?」
「だいじょうぶです。おいしいです」
リズの見た目は私と同じくらいなのだけどちゃんと成人しているらしい。お前がいうなはそうなのだけどね。
「何でそんなに飲んでるのか知らないけどほどほどにね。えっとリズさんの部屋にお布団敷いておくから、寝るときはそっちで寝てね」
「わかりました」
「鈴ねえはストーブ消してね」
「わかったけど、なにかつまみはないかな?」
「んー、少し待ってて」
急につまみといわれても買い置きがない。仕方がないのでキャンプ用に用意していた食材を使って何かを作ろうと思う。お酒にいいのって何があるかな?
冷蔵庫の中を見てみる。豆腐がある。日本酒には冷奴がいいと聞いた覚えがあるので一つはそれでいいかな。あとは正月に食べるために買った数の子もあるのでこれはそのままでいいかな?
豆腐を取り出して、葱と生姜を刻んで乗せる。その上からめんつゆをかけて出来上がり。数の子は味が元からついているのでお皿にだすだけにする。他になにかないかな? 異世界に持って行くための物を入れている棚を開けるとスルメが出てきた。ストーブもあるので勝手に炙って食べてもらおうかな。
「鈴ねえこれでいい?」
「おいしそうね。いただくわ」
「リズさんもよかったら食べてね」
「はじめてみるたべものです」
箸じゃ食べにくいだろうからリズにはスプーンをおいておく。
「それじゃあ私は先に休ませてもらうね」
「はぁ、話は明日でいいか」
「話? まあいいけど」
何の話だろうか? リズのいる前でわざわざいうことは彼女に関係するなにかかもしれない。
「それじゃあ鈴ねえ、リズさんおやすみなさい」
「おやすみー」
鈴ねえがストーブの上にスルメを置きながら手をふってくる。
「おとはさんおやすみなさい」
「おやすみー」
さてと、歯を磨いて今日は寝ますかね。おっとその前にあれを仕込んでおこうかな。きっと明日の朝には役に立つだろうから。
◆
「頭痛い気持ち悪い」
「はぁ、なんとなくわかっていたけどね。しじみ汁作っておいたから鈴ねえはそれでいいよね」
「音羽ーありがとう」
予想通り鈴ねえは二日酔いになっていた。いっぽうリズはそんなことはなく普通にしている。食器や空き缶などは片付けられていたので、きっとリズが片付けてくれたのだろう。酔っぱらいの鈴ねえがやるわけ無いからね。
「片付けはリズさんがやってくれたの?」
「あれでよかったですか?」
「十分よありがとうね」
鈴ねえはしばらく使い物にならないだろう。しじみ汁でも飲んで大人しくしておいてもらおう。
「リズさんは昨日の残りのシチューでいいかな? それともリズさんもしじみ汁飲む?」
「しじみじるですか?」
「二日酔いのときにはいいみたいでね、昨日のうちに作っておいたのよ」
「そうなのですか。よければすこしもらってもいいですか?」
二日酔いにはしじみ汁がいいといわれているけど、実際のところ二日酔いになってから飲んでもあまり意味はないらしい。本来ならお酒を飲む前か飲んでいる途中に飲むのがいいらしい。
「あれ? もしかしてリズさんも二日酔いだったりする?」
「ワタシおさけはつよいのでだいじょうぶですけど、しじみじるをのんできたくて」
「わかったわ、少し待っててすぐ持ってくるから」
リズにとっては珍しいものなのかもしれない。台所に戻りリズの分のしじみ汁と、私が食べるシチューを持って戻る。
「はい、これがしじみ汁ね。シチューを食べるならいってね用意するから」
「ありがとうございます」
「鈴ねえはおかわりいる?」
「んーちょっと休憩」
「何か食べられそうならおかゆでも作るから言ってね」
「わかったー」
朝から話があると言っていたのに、この様子じゃあ昼くらいまでこんな感じかな。お客さんのリズをほったらかしにするわけにはいかないし、どうしたものかな。それに鈴ねえとリズがしばらくここに滞在することを考えると食材の買い出しにもいかないといけない。
それにしても余ったシチューはどうしようかな。流石に私一人でたべるには残っている量が多い。昨日は面倒でつくらなかったけど、グラタンでも作ろうかな。





