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未開異世界ソロキャンプ ~旅とキャンプとのんびりスローライフ~  作者: 三毛猫みゃー


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第5話 ここが私の今の住処

 お風呂にお湯を張りながらテレビをつけている。先程まではシルフィーナがテレビの映像を見て「これは何? 中に人が入っているの?」などなど、異世界人あるあるを披露してくれていた。今は大人しくサブスクでアニメに釘付けとなって見ている。


 五年ほど前に亡くなった祖父母から譲り受けた家は昔ながらのいわゆる屋敷になる。一応トイレ、バス、キッチンは数年前にリフォーム済みなので、トイレがぼっとんだったりお風呂が五右衛門風呂ということはない。


 屋敷なだけあって家は結構大きい。塀で囲まれているし大門まである。そんな庭には今テントが張られている。先程までいた草原にあったものとまったく同じテントだ。ちゃらららという電子音が聞こえてきた。どうやらお風呂がわいたようだ。


「シルフィーナ、お風呂一緒にはいる?」

「お風呂? なにそれ?」

「えっとシルフィーナって水浴びとかで体を洗ったりするよね?」

「水浴びなんてしないよ。汚れたら魔法できれいにするから」


 そう言ってシルフィーナは座っていたテーブルから浮き上がるとキラキラ光り輝いた。


「こんな感じよ」

「いまのが魔法? やっぱり異世界って魔法があるんだ」


 こころなしか先程よりもシルフィーナの体と服がきれいになっているように見える……気がする。正直なところシルフィーナの体が小さくて違いがわからない。それよりも魔法のほうが気になる。


「魔法って私にも使えるのかな?」

「わからないわ。わたしは生まれたときから使えたから」

「そっか」


 魔法も気になるけど今はお風呂を先にすませることにする。


「私はお風呂に入るけどシルフィーナも一緒にはいる?」


 チラチラとテレビのほうに視線を向けている事から、アニメを見ようかお風呂に行こうか迷っているように見える。


「アニメは止めておくからお風呂にいきましょう」


 リモコンでアニメを停止させると、シルフィーナは「わかったわ」と言って浮かび上がり私に付いてくる。私の着替え一式は準備済み。シルフィーナに服を脱ぐように言うと、服はシルフィーナ自身の魔力で出来ているということで一瞬で裸になっていた。体は小さいけど私よりいい体型をしていて少し悲しくなった。


 洗面器にお風呂のお湯をすくい、水を適当に足して温度を確かめてシスティーナに入ってもらう。最初は恐る恐るといった感じで洗面器に入っていたけど、今では鼻歌を歌いながら入っている。その様子を見ながら私はさっと体と頭を洗い頭にタオルを巻いて湯船に浸かる。


「オトハ、お風呂って気持ちいいわね」

「そうねー」


 あまり長湯をするとそのまま寝てしまいそうだったので、適度に体が温まったところでいつもより早めに上がる。お風呂の残り湯を給水して洗濯機を回す。私が色々と片付けをしている間、シルフィーナはずっとアニメを見ていた。


 そこで今更ながら私とシルフィーナは普通に言葉が通じる上に、アニメを見ているシルフィーナは日本語が通じているようだった。


「シルフィーナ、あなた日本語を話しているのよね?」

「違うわよ。わたしはわたしの言葉を話しているわ。それにオトハはオトハの言葉を話しているし、アニメはオトハと同じ言葉を話しているようね」


 どうやら妖精というものはそういう存在ということだった。あちらの世界でも他の種族の言語が勝手に翻訳されて伝わるようになっているのだとか。


「それってシルフィーナみたいな妖精だけが使える能力ってこと?」

「そうよ。妖精っていうのはあの世界の調停者だからね。そういうふうにアレクシアさまがお創りになった種族よ」

「もしかして、あちらの世界で他の種族に出会った場合、私ってこのままだと会話が通じないってことになるんじゃ」

「そうなるわね。うん、わかったわ。オトハとはこれからも一緒にいるつもりだからわたしが祝福をあげる」


 そういうとシルフィーナは私の額にちゅっと口づけをした。ぽわんと一瞬だけ額を中心になにか温かい物が広がった気がした。


「これでオトハは他の種族に出会っても言葉が通じるわ」

「そうなんだ、ありがとうシルフィーナ」


 他種族の言葉がわかるということだけど、もしかしてこの世界でも通じるのだろうか? もしそうなら多国語も理解できたり話すことができるのだろうか。そう思い早速スマホを使い動画サイトから英語の動画を再生してみた所……理解できてしまった。耳から入ってきているのは英語のはずなのに、なぜか日本語として理解できるというなんとも不思議な感覚だった。


「さてと、私は寝るけどシルフィーナはアニメをこのまま見ている?」

「アニメも気になるけど、わたしも寝ようかな」


 布団をどうしようかと思ったけど、どうやらシルフィーナは勝手に座布団の上で寝ることにしたようだ。掛け布団みたいなものが必要かと聞いたけど必要ないということだった。


「シルフィーナおやすみなさい」

「おやすみなさいオトハ」


 私は押し入れから布団を取り出して畳の上に広げる。紐を引っ張るタイプの照明を消して布団に潜り込む。夏が近づいてきているので、そろそろ掛け布団は必要なくなるかなと思いながら目を閉じた。

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