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未開異世界ソロキャンプ ~旅とキャンプとのんびりスローライフ~  作者: 三毛猫みゃー


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第46話 黒歴史とは恥ずかしいものである

「それで、あの動画で日本だというのはわかったけど、それ以外の情報とかってあるの?」

「無いわ」

「無いかー……え? それなのに日本に帰ってきたの? このえっと妖精を探しに?」

「まあねー」


 鈴ねえはすこし酔っているのか、顔を赤らめてだらしない格好で新しいビールを開けている。


「音羽のことも気になってたというのもある」

「私のこと? なんで?」

「入院して仕事を首になったって聞いたからよ」

「誰から? 誰にも言っていないんだけど」

「晋也おじさんからよ」

「あー、そっか。晋也さんなら部長経由ってことになるね」


 峰崎晋也おじさんは祖父の弟になる。祖父とは年が離れていてまだ五十代の人だ。私が働いていた会社の部長とは親友だということは聞いていた。そういうことで、今はもう定年退職している部長経由で晋也おじさんに伝わったのだろう。


「わざわざ鈴ねえが来なくても良かったと思うんだけどね。おじさんも気になるなら本人が来ればいいのに」

「まあおじさんも色々と忙しい人だからね」

「鈴ねえ一家もそうだけど、うちの家系って日本にいつかないよね」


 鈴ねえの両親や晋也おじさんもそうだけど、我が峰崎家の人間はその殆どが日本にいない。私や祖父母のように日本に居着いている人のほうが珍しい。かくいう私の両親もあまり日本に帰ってこない。


 両親と最後に会ったのは祖父母の葬式の時だった。別に不仲というわけではないけど、就職してからはほとんど会っていないのでそれ相応の関係だと思ってもらいたい。


(それを考えると、私もある意味異世界への移住を考えている辺り血筋なのかな?)


「思っていたよりも音羽が元気そうで良かったよ」

「それはご心配をおかけしました」

「あとおじさんからの伝言だけど、音羽も好きにしていいと言っていたわよ」

「好きに、ね」

「無理をしてこの家を守る必要もないとも言っていたかな」

「はぁ、それこそおじさん本人が言えばいいのに」

「おじさんもあんな事があったから音羽と顔をあわせづらいんじゃないかな」

「もうそれは言わないで。若気の至りってやつよ。子供の頃の話で今は何とも思っていないんだから」


 当時のことを思い出すと頬が熱を帯びてくる。何のことかと言うと、よくある子供の頃特有のあれだ。あの頃の晋也おじさんは年齢の割に若く見えて、かっこいいお兄さんだったわけだ。


 ただ普通の子どもとは違ってその期間が結構長かったために色々とあったのだ。それに私の見た目が見た目なので本当に色々とあった(遠い目)。


「鈴ねえがここに来た理由はわかったけど、今後どうするの? 結局あの動画だけじゃあ何もわからないのと一緒だよね」

「半分は休暇も兼ねているから見つからなくても構わないのよ。何かそれらしいものがわかればいいとは思っているけど」

「それじゃあ暫くはここにいるってことでいいのかな?」

「見た所のんびりしている音羽にとっては迷惑かもしれないけどね。宿泊代と食事代はちゃんと払うから」

「別に宿泊代はいらないよ。ホテルとかもったいないし。食事代はありがたくもらうことにするけど」


 三ヶ月ここに滞在するのなら流石に食事代はほしいと思う。いや別にシルフィーナの分も請求するつもりはないから。どちらにしろ暫くの間はシルフィーナたちのご飯は作れそうにないとは思うのだけど。



「鈴ねえおはよう」

「うぅ、おはよう」


 顔色の悪い鈴ねえがフラフラしながらテレビの部屋に入ってきた。この様子だと二日酔いだろう。あのあと私はすぐに寝たのだけど、鈴ねえは焼酎を見つけたようで飲んでいたようだった。今朝起きてきたら中身の減った焼酎の瓶が転がっているのを見つけた。


「朝ご飯どうする? お味噌汁だけでも飲む?」

「お願い」

「少し待ってて」


 台所から味噌汁とたくあんを持って戻る。私は二日酔いになったことはないのだけど、梅干しやたくあんが二日酔いにいいと聞いたことがあるので一緒にもってきた。


「ありがとう」


 鈴ねえが味噌汁を少し飲んでたくあんを食べている。


「あーこのお味噌汁の味なつかしいわ」

「一応おばあちゃんに作り方を教えてもらったやつだからね」

「このお味噌汁を飲むと日本に帰ってきたって思えるわ」

「それは何より」


 お味噌汁とたくあんを食べたおかげか鈴ねえの表情はましになったようだ。食器を片付けてお茶を持って戻るとテレビを見ているようだった。


「お茶飲む?」

「いただくわ」


 急須から茶碗に緑茶をそそいで鈴ねえの前に置く。


「熱いから気をつけてね」


 鈴ねえはふうふうと息を吹きかけてお茶を飲み始める。私も自分の分をいれて同じように息を吹きかけてから口をつける。


「鈴ねえ今日はどうするの?」

「今日は持ってきた資料の整理をするつもりよ。それと明日から二日ほど出かけるからご飯はいいわ」

「わかった」


 鈴ねえが家を開けるのならその間にシルフィーナたちと色々と相談する事ができる。お互いに鈴ねえがいる間の三ヶ月の間我慢するだけなのだけど。ただ今は何も考えが浮かばないので暫くの間はこちらでの生活を優先することになりそうだ。

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