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未開異世界ソロキャンプ ~旅とキャンプとのんびりスローライフ~  作者: 三毛猫みゃー


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第45話 お鍋をつつきながらビールを飲む

 その後も話を聞いた限りでは、あの動画の投稿主が私たちだということはバレてない……と思いたい。


 結局鈴ねえがこの家に暫く滞在するということは断れなかった。鈴ねえは外国暮らしが長く、両親も他に頼れる親族も私以外に日本にはいない。それがわかっているので断ることが出来なかった。


「ここに住むのはいいけど期限とかはあるの?」

「何事もなければ三ヶ月ほどはいたいかな。まあ休暇も兼ねているからね」

「そうなんだ」


 三ヶ月だけ我慢したらいいみたいだ。ただ隙を見て一度異世界に行ってシルフィーナやノム爺と話をしたほうがいいだろう。その時に種なんかもわたしてミケさんとのやり取りも任せてしまおうと思う。


「鈴ねえは片付けでもしておいて、私はご飯の準備するから。なんでもいいよね?」

「ごめんね。ご飯は何でもいいよ」

「オーケー」


 もともとお鍋をしようと思っていたので、お鍋の準備を始める。


(あー、シルフィーナたちのご飯どうしよう)


 何も言ってないので晩ごはんを待っているのかもしれない。仮に作ってテントまで持っていくのを鈴ねえに見られたらややこしいことになる。お鍋をぐつぐつさせながらもう一つ鍋を用意する。


 ひとつ思いついた。台所の入口をすべて閉じて、異世界の拠点をイメージして扉を開ける。そこが拠点であることを確認して鍋を持って扉をくぐった。履物がないので靴下のままだけど仕方がない。


「シルフィーナいる?」

「オトハもういいの?」

「ごめん、ちょっとしばらくここに来れそうにないのよ。なんとか一度はこっちに来るから今日はこれを食べて」


 土鍋をノム爺たちが休憩をするために使っているテーブルの上に置く。


「あとまだ出来てないから、もう少し温めてから食べてね」

「わかった。オトハ気をつけてね」

「?」


 何に気をつければいいのかわからないまま、入ってきた勝手口へ向かう。振り返ったところで目に入ったのは、台所だと思われる長方形の建物だった。きっと勝手口を支点に台所だけを異世界渡りの効果でこの世界に着たのだろう。


 急いで勝手口から中にはいり扉を閉め、日本に戻るイメージをしながら扉を開ける。それと同時に台所の部屋側に通じる扉が開くのがわかった。


「あれ? 急に軽くなった。さっきまでどうやっても開かなかったのにって、音羽なにしているの?」

「えっと、誰かが勝手口の外にいるような気がして。それよりもう片付け終わったの?」

「うん終わったわ。当面必要と思えるものをだから手伝おうか思ってね」

「手伝いはいいからお風呂に入ったらって、そういえばまだ沸かしてなかったかも。ごめんだけど鈴ねえ、お風呂見てもらえる? 沸いたら入っていいから」

「お風呂ってあの五右衛門風呂だったよね」


 鈴ねえは嫌そうな表情を浮かべている。


「何年も前にリフォーム済みだよ」

「そうなんだ。わかった見てくるわ」

「休んでいていいから、お風呂が沸いたら先に入ってて」

「お言葉に甘えさせてもらうわね」


 鈴ねえが以前ここに来たのは祖父母がまだこの家に住んでいたときだった。祖父母の葬式の時はこの家は使わずに葬儀場で全て済ませた。その時にはすでにこの家は私の名義になっていたので誰も寄ることはなかった。


 まあ祖父母の入院していた病院や葬儀場はこの家から高速を使って一時間ほどの場所だったのでこの家に寄るほうが面倒だったのだと思う。鈴ねえがお風呂場へ向かったところで靴下を脱いでスリッパを履く。


 流石に汚れた靴下で家の中を歩くと掃除が大変だ。鈴ねえが戻ってくる前にもう一つ先程よりも小さな土鍋を取り出して、それで鍋を作っていく。ほとんどの具材はシルフィーナに渡した方に使ってしまったので残り物になる。


 お鍋の出汁は、鍋の素を使うので後は具材を入れるだけなので問題ない。余り物の具材なので今回は寄せ鍋にした。鶏肉、豆腐、長ネギ、白菜、きのこ、椎茸、しめじ、えのきをいれた。


 量は少ないけど、余裕があればうどんをいれるつもりでいる。そして明日の朝はおじやを作るのもいいかな。どうせならシルフィーナたちにもご飯を届けたかったけど、すっかり失念していたのであちらは汁すら残ってないと思う。


「こんなものでいいかな」


 まずはテレビのある部屋に鍋敷きを敷いて、取り皿を二つ用意する。鍋を持っていき鍋敷きの上に乗せる。


「お風呂ありがとう」

「お風呂早かったね。ちゃんと温まった?」

「音羽は私があまり長風呂じゃないのは知っているでしょ」

「そうだったかな? 鈴ねえと最後に入ったのなんてもう二十年以上前だし覚えてないよ」

「それもそうか」


 思っていたよりも早く上がってきた。頭にタオルを巻いていて、パジャマはこの時期に着るには少し薄い気がした。


「寒くない?」

「お風呂上がりだしちょうどいいかな」

「ならいいけど。ご飯丁度出来たから食べちゃおうか」

「お鍋ね。久しぶりだわ」

「余り物で作ったから、足りなければうどんを後で入れるね」

「その時はお願いするわ」

「飲み物はビールでいい?」

「ええ、何から何までありがとう」


 私は台所に戻り冷蔵庫からビールを二つ持って戻る。


「それじゃあいただきます」

「いただきます」


 まずは具材をよそおい置いておいてビールをあける。


「日本のビールなんて久しぶりだわ」

「そうなの? あっちにはビールってないの?」

「あるけどあっちはビールと言ってもエールって呼ばれるものになるからね」

「へー。どっちがおいしい?」

「私はやっぱり日本のビールが好きかな。エールはエールで悪くはないけど」


 そんな話をしながらお鍋をつついていると、意外と二人で食べきることができた。いつもシルフィーナたちと食べるよりも少ないと思っていたけど、基準があの大食い妖精三人と考えると丁度良い分量だったかもしれない。

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