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未開異世界ソロキャンプ ~旅とキャンプとのんびりスローライフ~  作者: 三毛猫みゃー


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第35話 海の魔物の戦い

「おぉーこういうのを入れ食いっていうのね」


 さっそく釣り竿一式を用意して釣りをしている。日本では見たことのない魚ばかりが釣れているけど、どれも毒の類はないようだ。その辺りはウィンティーヌが確認してくれている。どうみてもフグの見た目をしていても毒はないらしい。


 私が釣りをしている近くでは、グランディーネが砂浜の下から貝を見つけては運んできている。そんな私の釣り風景と、グランディーネの貝掘りをシルフィーナがスマホで撮影している。


 あとでツブヤイッタークロスとヨウツーブで公開するらしい。シルフィーナは最近、バーチャルヨウツーブというのを始めたと言っていた。バーチャルと言いつつも、アバターを使わずに妖精の姿をそのまま映し出しているのだとか。


 だからといって妖精の姿が本物とは誰にも思われていないようだ。今の時代AIやバーチャル三Dの加工技術が発達しているので、なおのこと本物とは思われないのだろう。


 動画の内容も異世界のことが中心なので、新手のゲームの宣伝と思われているフシがあるようだ。シルフィーナもあえて肯定も否定もしないうえに、DMも完全にスルーしていて取り合っていない。


 突然海から爆発したような音が聞こえてきた。そちらに目を向けると巨大なクラーケンとその大きさに匹敵するほど大きな蟹がかなり沖のほうにいるのが見えた。


「あれって魔物? 海岸から結構近くない?」

「クラーケンは魔物ではないですわね。ザラタンは魔物ですわ」

「あ、あの蟹ってそういう名前なんだ」


 散々今まで聞いていた魔物の名前がモーモーやブヒブヒとかだったために、海の魔物や生き物の名前を聞くと違和感を感じる。いや、普通は逆なんだろうけど。まあクジラやイルカの鳴き声というのはテレビや動画で聞いたことはあるけど、蟹やらタコの鳴き声と言われても思いつかないので名前がある方がわかりやすい。


「逃げなくても大丈夫かな?」

「こちらにまでは来ませんわ」

「そう? まああれだけ暴れられたら魚も逃げるだろうし一旦やめようか」


 釣り竿を片付けて、海岸から離れて沖で戦っているクラーケンとザラタンの戦いを見ることにする。クラーケンは魔物ではなくて、ザラタンのほうが魔物のようだ。ここからじゃあ魔物なのかどうかはわからない。きっとザラタンのどこかに魔核があるのだろう。


 クラーケンの見た目はでかいタコで、ザラタンの方はカニに見える。正確な大きさは距離が離れていてわからないけど、巨大クルーズ船くらいの大きさはありそうに思える。


 私たちは急いで砂浜を抜けてマウンテンバイクを回収する。そのままテントを張っている松林まで移動して急いで荷物を回収する。


「念の為、丘の上まで行くよ」


 巨大な魔物が沖で二体暴れるとなると起きるのが波だ。今はそれほど高い波はまだきていないけど、いつ高波が起きても不思議じゃない。急いでマウンテンバイクを漕いで丘の上に駆け上がる。


「はぁ疲れたー」


 水筒に入れている水を一気に飲んでその場に寝転び息を整える。落ち着いたところで体を起こして海に視線を向ける。


「怪獣大決戦かな?」


  すごく離れているはずなのに、すごく大きく見える。そんなクラーケンとザラタンが攻防を繰り広げている。


「おーっとザラタンがバブルブレスを口から吐いたー。クラーケンは二本の触手をクロスさせて防ごうとするが──泡が破裂した勢いで触手が打ち上げられた! おっとクラーケンの頭ががら空きだ!」


 なぜかプロレスかポ◯モンバトル風の解説をシルフィーナが始めている。


「ザラタン、がら空きになったクラーケンの頭に向けてハサミで攻撃をしようとしたが届かない! 自らの間合いを見誤ったか? いやこれは、クラーケンが残りの触手を利用して後ろに下がっていたようです」


 そこまで詳細な動きが見えない私にとってはシルフィーナの解説はたすかるけど、どうして実況風なのだろうか。


「今度はクラーケンの反撃だー。複数の触手でザラタンの二つのハサミを抑え込んでいる! だがここからどうする。おーっとクラーケン、ザラタンを無理やり持ち上げて海面へ叩きつけた!」


 ザラタンがクラーケンに持ち上げられたかと思うと、勢いよく海面に叩きつけられた。そのために大きな水柱が立ち上がる。あの波がこっちに来たりしないか心配ではあるけど、流石に丘の上までは来ないかな。


「これは、クラーケンの触手が切られている? そしてザラタンの姿を見失ったようです」


 よく見えないけど、確かにクラーケンの触手が短くなっているように見える。ザラタンのハサミで切られたのかもしれない。


「なんとクラーケンが空に舞い上がった! いや違うこれはザラタンに打ち上げられたのか!? ゲストのウィンティーヌさん、これは今どういった状況でしょうか」

「え、は、え? えーっと、クラーケンを振りほどいたザラタンが海中へ潜りクラーケンの下に潜り込み、そのまま打ち上げたのではないかしら」


 唐突にシルフィーナから声をかけられたウィンティーヌは最初戸惑っていたが、落ち着きを取り戻してシルフィーナの質問に答えている。


「ここでザラタン、左右のハサミを重ねて上空で身動きが取れないクラーケンへ向けた! これは出るか、必殺のザラタンビームが!」


 ザラタンビームってなんだろう? そう思いながら見ていると、ザラタンの重なり開かれているハサミの中央からビームのような物が放たれているのが見えた。確かに見た目はビームに見える。


「クラーケンに直撃ー! ついにザラタンの勝利で決着がついたようです」

「まだですわ」

「へ?」


 ウィンティーヌの言葉にシルフィーナが戸惑いの声を上げたところで、ザラタンの全身が突然海中から現れた複数の触手に包まれた。そしてザラタンはそのまま海中へと引きずり込まれ、海面へとでてくることはなかった。


 あとに残されたのは、ビームにより切り裂かれたために半死半生となったクラーケンだけだった。クラーケンは暫くの間波まで揺れていたが、いつしか海中へと沈み姿が見えなくなった。


「ねえウィンティーヌ、いま何がったの?」

「魔物のクラーケンがいましたわ。そのクラーケンがザラタンを触手で締め上げて海の底へ消えていきましたわ」

「つまり結局勝ったのは魔物のクラーケンだけってことね」

「ええそうですわね」


 何とも言えない結果に私は暫くの間、クラーケンとザラタンが戦っていた辺りを見ていることしか出来なかった。というか、あんなのがいる海を船で渡れるわけないよね。どおせえちゅうねん。

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