第31話 昼寝がはかどりそうなアイテムを手に入れた。
結局、シルフィーナはヨウツーブの収益化をしていなかったので、私は無職を続行することになった。ただし失業保険がもらえなくなるタイミングで、開業届を出す準備はしているようだ。それに今収益化をしても、入ってくる金額が失業保険を上回ることはないといっていた。
そんなシルフィーナの作っているヨウツーブのチャンネルのコンテンツとしては、異世界の景色や魔物の映像が公開されている。AIを疑っているコメントなどもあるが、純粋に不思議な場所や魔物を受け入れて楽しんでいる人もいるみたいだった。
「ねえ、オトハに頼みたいことがあるんだけどいい?」
「何を頼みたいのかはわからないけど、変なことでないなら」
「あのね、オトハの作ったキャンプメシの映像を撮りたいと思っているの。何なら作っているところも撮りたいかな」
「んー、顔を出さないことと身バレさえしないなら」
「いいってこと?」
「私の適当な料理でいいならね」
身バレして住所とかが広まりさえしなければいいと思う。
「映像を取るのはそのスマホで大丈夫?」
「問題ないわ。それじゃあさっそく次のキャンプから撮るわね」
「それなら、かき氷をもう一度作ってそれも撮ってみる?」
「いいね。今度はイチゴのシロップに練乳ミルクとあずきを書けたものが食べたい」
「用意しておくよ」
前回さっそくかき氷のシロップを買って異世界の雪でかき氷を作ってみた。用意したシロップは定番のイチゴだけだったけど、いまシルフィーナが言ったように、練乳ミルクとあずきをつけて食べてみた。うん、おいしかったです。
この時シルフィーナとグランディーネの二人はイチゴシロップのものだけ食べて、食べ終わったあとに私の豪華版を見て食べたくなったというわけだ。
未だに北の大地近くにいる理由は、日本の夏が暑いから涼むのにちょうどよかった。なんなら毎回夜には家に帰って来ていたけど、異世界で寝泊まりしようと思うくらい蒸し暑い。
御存知の通り、私の家は昔ながらの屋敷なのでエアコンがない。扇風機はあるのだけど、そんなものじゃあどうにもならないくらいに今年は暑いのだ。そういうわけで、夏の間はできるだけ異世界に滞在するつもりで計画している。
移動日は今まで通り移動して、休養日はあちらでのんびり過ごすつもりでいる。異世界にいれば少しでも先へ進みたい気になるけど、そこはあえてのんびりと過ごしたい。ただそうなると、もう少しゆったり休めるチェアーがほしいと思った。
ネット通販サイトを色々と見ていた所、ハンモックスタンドというものを見つけたのでハンモックと一緒に購入した。ハンモックスタンドとハンモックさえあればいつでもどこでも寝ることが出来そうだ。
それに異世界に滞在することにもずいぶんと慣れたので、先程も言ったようにそろそろ異世界で寝泊まりするのにいい機会かも。
◆
「今日はお休みの日だけど、一日あちらで過ごそうと思う」
「向こうで何をするの?」
「特に何も考えていないけど、こっちにいても暑いでしょ? あっちは北の大地が近いから涼しいからね」
ハンモックも届いたので使い心地も試したい。荷物をテントの中に入れて異世界渡りを使う。すでに川からは離れているので辺りには相変わらずの草原が広がっている。この場所から北へ一時間ほどマウンテンバイクで進めば北の大地との境界にたどり着ける。
「ハンモックの準備が終わったら、かき氷を作るための雪を取りに行こうか」
「たのしみですわ~」
「はやくいこう」
「まって、ハンモックを準備してからって言ってるでしょ」
ハンモックスタンドを組み立てて、それにハンモックを取り付けた。そしてハンモックが影になるように、用意しておいたパラソルを立てる。
「よし、これでいいかな」
「これがハンモックね。これの上で寝ても大丈夫なの?」
「ゆらゆらですわ~」
「ハンモックはあとの楽しみにしておいて、さっそく雪を取りに行くよ」
マウンテンバイクにまたがりシルフィーナとグランディーネを伴って北へ走る。一時間ほど走ると北の大地との境界へたどり着いた。氷を保冷バッグに詰め込んで来た道を戻る。
「流石に境界まで来るとめちゃ寒いね」
「ほんとにね」
「さむいですわ~」
再び一時間ほど走りテントのところまで戻ってこれた。
「ちょうどお昼だから、かき氷はご飯を食べたあとにしましょうか」
「えー」
「しかたがないですわ~」
シルフィーナとグランディーネは文句を言いながらも、お昼ご飯として用意していたサンドイッチをぺろりと食べた。相変わらずの食べっぷりだ。
「ごちそうさまでした」
「おいしかったよ。ごちそうさま」
「ごちそうさまですわ~」
片付けを済ませてからかき氷を作る準備をする。とはいえ雪を盛り付けてシロップと練乳ミルクをかけて、あずきをのせるだけなのですぐに出来上がる。氷を削らなくていいのはらくだね。流石に三人分を削るとなると結構な手間になる。
「オトハはこんなにおいしいのを一人で食べていたのね」
「あはは」
笑ってごまかしておく。
「つめたいですわ~」
グランディーネはかぶりつくようにパクパク食べている。妖精は冷たいものを一気に食べても頭痛などは起きないらしい。私は急いで食べると頭が痛くなるのはわかっているのでゆっくり食べる。
私がかき氷を一つ食べきる間に、シルフィーナは二杯目に入りグランディーネは三杯目を食べきっていた。お昼ご飯をあれだけ食べた上にかき氷を三杯ってすごいね。





