第29話 もふもふゲットの道は険しいようです
「はい、今日はヘルシーキムチ鍋にします」
流石に炭火で土鍋をかけるわけにはいかないので、普通の鍋を持ってきている。カエルはどうしたって? そんなのは見てないので知りませんよ。
まずはごま油とにんにくにしょうがを入れて少し火を通す。続いて豚ロース肉を入れてちゃん火を通す。豚肉はちゃんと火を通さないとね。
豚肉に火が通ったのを確認してからキムチと豆板醤を加えて炒めます。お次は事前に作って水筒に入れて持ってきているだし汁を入れて、しょうゆとみりんを加えかき混ぜて、追加で味噌をいれる。
一度フタを閉めて沸騰させたあとに、フタを取り白菜、長ネギ、えのきを入れて煮る。白菜が柔らかくなったところで、豆腐とニラを入れて再びフタをする。二、三分経ったら蓋を取り完成。
今回のキムチ鍋、キャンプメシかと言われると微妙だけど、今日は正解だったと思う。北の境界で冷えた体も暖まる。
「それじゃあ食べましょうか」
「あ、ちょっと待って」
シルフィーナからストップがかかった。どうやらご飯の写真を撮るようだ。最近はツブヤイッタークロスの方にキャンプメシの写真を投稿しているのだとか。相変わらずコメントやダイレクトメッセージは完全にスルーしているようだけど、それでもフォロワーはそこそこいるみたい。
「おっけーよ」
「それでは、いただきます」
「いただきまーす」
「いただきますわ~」
はふはふ言いながら三人で食べる。キムチの辛さで体が温まる気がする。お野菜たっぷりなのでヘルシーなのもいい。そして具材を食べきったところで真打ち登場。残しておいた汁にご飯と卵を入れて雑炊を作る。
「お腹いっぱい」
「少し辛かったけどおいしかったよ」
「おいしかったですわ~」
「それなら良かったよ」
片付けを済ませて後は食後ののんびりタイム。鍋や食器なんかはグランディーネがきれいにしてくれる。どうやっているのかはわからないけど、土や鉱物に関するものなら色々とできるらしい。
「それにしても魔物の言葉がわかるなんてね。もしかして今まで魔物と遭遇しなかったのはシルフィーナとグランディーネが、魔物に近寄らないように言ってくれてたからなの?」
「そうだよ。前にも言った気がするけど? あれ、言ってなかったかな?」
「どうだろ、聞いたような聞いていないような」
まともに魔物を見たのは、遠くに飛んでいると教えてもらった鳥と、ジャイアントパイソンっぽいモーモーとイノシシっぽいブヒブヒ、そしてさっきのカエルっぽいゲロゲロとゲコゲコ。そのどれもが大きかった。
「ねえ、魔物って全部が全部あの大きさってことはないよね?」
「んー大きいのはこの大陸にいるのだけね」
「それって人類種の住んでいるこの大陸の反対側の魔物は大きくないってこと?」
「そうよ」
どうやらこの大陸にいる魔物は、本来の大きさとは違って巨大になっているのだとか。どうもこちらの大陸と裏側の大陸の魔物は、起源は同じでも進化の方向性が変わって今となっては別種のようになっているのだとか。
こちらの大陸の魔物は主に巨大化する傾向が続いて今のようになったらしい。なので裏側の大陸にいる魔物はもっと常識的な大きさをしているようだ。なんだろう話だけ聞いていると、ゲームとかでたまにある巨大ステージに迷い込んだ気分になる。
そこでふと思った。少し前にシルフィーナにもふもふな魔物を仲間にしたいといったのだけど、それってやっぱりでかいんじゃないかと……。「オレサマオマエマルカジリ」みたいなのが来られても困る。
「私のもふもふ計画が潰えた?」
「そうでもないとおもうけど、比較的小さめのもいるよ」
「そうなの? 例えば?」
「にゃーにゃーなんかは小さめかな。オトハの身長くらいの大きさだよ」
「どう考えてもその大きさならトラかライオンレベルの大きさでしょうね」
あ、でも背中に乗せてもらえるという意味ではありなのかな。よくあるもふもふ系ラノベじゃあ、背中に乗って移動というのは基本中の基本だからね。
「そのにゃーにゃーっていうのはこの近くにいるの?」
「んーもうちょっと海に近い所にしかいないよ。にゃーにゃーは魚が大好きだから」
「うん、名前を聞いてわかっていたけど猫だよね」
「そうね、見た目はオトハの世界にいる猫に似ているね」
「あと、わうわうやひゃんひゃん、それとキャンキャンも同じくらいの大きさかな」
わうわう、犬かな? ひゃんひゃんはこの流れからして小型犬だろうか。大体が私の知っている動物がベースになっているようなのでわかるけど、中には全く想像出来ない名前のものもいたりするよね。
「それから鳥は小さめのが多いよ」
「鳥はなんとなく納得かな。大きいと自重で飛べなくなりそうだし」
「それでもオトハよりは大きいよ」
「あ、そうですか」
どうやら鳥もでかいらしい。こうなったら一通り姿だけでも見てみたいと思う。せっかく魔物の言葉がわかるのだから、なんとかしてもふもふを仲間にしてみたいな。
そこで少し嫌な予感が頭をよぎった。動物といえばあれがつきものだ。あれも巨大だったらどうしようか? いや仮に小さかったとしても大量にくっついていたら嫌だなー。
何のことを言っているのかというと、あれですよあれ。ノミですよ。
「昆虫系の魔物っているの?」
「いるよー。だけど昆虫の魔物は話が通じないのよね」
「えっ、それってやばいんじゃ」
昆虫といえば、ハチやクモなんかは定番だしそれが大きいとなると……。
「でも安心していいよ。虫の魔物の殆どはどれも小さいから。それこそオトハの世界の昆虫と変わらないわよ」
「そうなの?」
「全部じゃないけどね」
それなら安心ができるかというと微妙に思える。虫って小さくても脅威だと思うんだよね。





