第26話 北へ行こう 試されるかもしれない地
「さて、ここからどうしようか」
今私たちは東へ進めなくなっている。なぜかというと目の前に大河が流れているからだ。本来はこの大河はここまで大きくもなく深くもないらしい。ではなぜ普通の川が大河になっているのかというと、以前シルフィーナが私たちの周りで雨が降らないようにしているという話とつながる。
この時点でわかったかもしれないけど、私たちの周囲で降らない雨がどこへいったかという話になる。答えは私たちがいる場所の外側で降っているというだけだ。つまりこの川の上流で大雨が降ったために、大河となり私たちの進行を妨げている。
「川が落ち着くまで待つ?」
「もしくは北か南に行って渡れそうなところを探すかかな」
「でしたら南がいいですわ~」
グランディーネは南がおすすめのようだ。だけどこのまま川に沿って南に行ったとしても水量が減るとは思えない。でも、川沿いに進めばそのまま海にたどり着けるのではないだろうか。ただし南は火山地帯という話なので危ない気がする。
それでは北はどうか。北つまり上流に進めばいつかは雨の降っていない場所にたどり着けるかもしれない。雨さえ降らなければ水量も少ないわけで、そうなると川幅も狭まり浅くなっているかもしれない。
ただし北に私たちが移動することで、雨が更に北で降り余計ひどくなる可能性もある。そうなるといたちごっこになり、最終的に雪と氷の地域にたどり着くことだろう。そういうわけで困っている。
異世界渡りを利用して川の向こう側に出られないかとおもたけど、それをするにはもう一つテントを用意しないといけない。こちらで張ったテントを使い家へ戻った場合、向こうから同じテントを使うとこのテントのある場所にでてしまう。
そのために異界渡りで川の向こう側にでるなら、あちらの世界でテントかもしくはそれに変わる入口を使わないと駄目ということだ。どんな扉を使ってもいいけど、その使った扉を使って戻らない限りその場にあり続けることになる。
そういうわけで、その手は本当に最後の最後まで使いたくない。もし異世界渡りで使った入口がこちらの世界で壊された場合、向こうの世界の入口に使った場所にどういう影響があるかわからない。
それにギリギリ対岸が見えるだけなので、うまく異世界渡りで飛べるかもわからない。最悪川の中へドボンもあり得るのではないだろうか。
最初この世界に来た場所の近くの森に一つテントを置いているけど、あの辺りは魔物がいないということなので壊される心配はないと聞いている。とりあえず今はその話は置いておこう。今考えないといけないのは川が落ち着くまでのんびり過ごすか、南ヘ向かうか北へ向かうかを決めることだ。
よし決めた。北へ向かおう。川をさかのぼって行けばそのうち水源にたどり着けるかもしれない。そこまで行けばさすがに川を渡れるでしょう。問題はどれくらいの距離を北へ走らないといけないかかな?
「このままここにいてもどうにもならないし、とりあえず北へ向かおう」
「北ね。わかったよ」
「北は冷たいわ~」
シルフィーナはどちらでもいいような返答だった。そしてグランディーネは、寒さに弱いのかもしれない。
「方針も決まったことだし、少し早いけどお昼にしようか」
ローチェアとローテーブルを出して、お弁当を取り出す。作った数は三人分。キャラ弁の悲劇を繰り返さないために、シルフィーナとグランディーネのお弁当を分けた。この頃、シルフィーナから作ってほしいキャラ弁のリクエストがある。それに比べてグランディーネは食べられればどれもおいしいとしか言わない。
それに二人の味の好みがわかってきたので、分けたほうが嬉しいようだ。シルフィーナは甘い系のものが好みで、砂糖入りの卵焼きや果物が好みのようだ。そしてグランディーネは何でも食べるけど、肉系よりも穀物や野菜が好きなようだ。ちなみに二人とも魚介はあまり好きじゃないようだった。
「オトハ、今日のキャラ弁もかわいいよ」
「お米がおいしいわ~」
こちらの世界なのか、この大陸だけなのかはわからないけど、グランディーネはお米の存在を知らなかった。最初に食べたときに種籾がほしいと言われたので渡したのだけど、どこかで栽培をしていたりするのだろうか?
お弁当を食べて、食後に緑茶を入れる。お弁当にはやっぱり緑茶だよね。シルフィーナとグランディーネの二人は緑茶よりも紅茶が、それもミルクティーが好きなので緑茶と別に用意している。
昼食を食べた後は文庫本片手にまったり過ごす。シルフィーナとグランディーネはどこかへ出かけていった。また何かの動画でも撮りにいっているのだろう。
ツブヤイッタークロスはたまに覗いているけど、あちらもあちらでフォロワーが増えているようだった。
ヨウツーブの方も少しずつフォロワーが増えているとか言っていたので順調? のようだ。そう言えばバーチャルヨウツーブがどうとか言っていた気がするけど、よくわからないので身バレだけはしないようにと念だけはおしておいた。
いやほんとシルフィーナは何を目指しているのだろうか? 妖精は妖精でも実は昔見たアニメに出てくる電子の妖精みたいなことができたりしないよね?





