第20話 ソロキャンプは騒がしい
私は今、車で一時間ほどかかる駅近くのショッピングモールに来ている。シルフィーナとグランディーネは消えた状態で近くにいる。
「意外と高い……」
ショッピングモールに併設されている自転車屋さん。そこにおいてあるマウンテンバイクを見ているのだけど、思いの外高い。
「お客様はどういったところを走るよていでしょうか?」
うんうん唸っていると、女性の店員さんに話しかけられた。
「草原、いえ山道とかかな? あとキャンピング用具を乗せて走りたいですね」
「キャンプをされるのですね。そのための移動手段でしょうか」
「そんな感じです。なのでリアキャリアもほしいですね」
「普段から自転車には?」
「最近乗ってないですね」
仕事をしていたときは大体電車を使っていた。こっちに引っ越して来てからは車を使っているので、自転車は学生の時いらいかもしれない。
「でしたら、最初から電動アシスト付きなどはどうでしょうか?」
「電動付き? マウンテンバイクに電動付きとかあるのですね」
「ええ、普通のものよりはお値段がかかりますけど、キャンプギアを乗せてということでしたらおすすめです」
ここに置いてある普通のマウンテンバイクは安いのもので三万くらいで高いのは十万ほどしている。聞いた所に寄ると高いのは三十万くらいするのもあるみたい。どういった違いがあるのかはわからない。頑丈だとかタイヤがいいとかそういった違いがあるのだろう。流石に三十万のものは手が出ない。
そして店員さんが言っている電動アシスト付き。残念ながら実物は置いていなく取り寄せになるようだけど、お値段は十万ほどになるようだった。すぐには決められそうにないので店員さんには「少し考えます」と言ってその場を離れる。
私自身体力があるわけではないので電動アシスト付きというのは魅力を感じる。電動アシスタントがあるのなら、値段も悪くないように思える。念のためにスマホで調べてみたけど値段も大体そんなもののようだ。
通販サイトで買ったほうが安くはあるようだけど、何かあった時のために実店舗で買ったほうがいい。さっそく自転車屋に戻り電動アシスト付きマウンテンバイクを注文した。他にもヘルメットやプロテクターも購入。受け取りはマウンテンバイクが届いた時に一緒になるようにしてもらう。
他にも店員さんのアドバイスをもらいながらリアキャリアも注文して取り付けもお願いしておく。全部合わせて十数万円。無職の身には痛い出費になった。
大きい買い物を済ませた後は、せっかくショッピングモールまで来たのでいろいろなお店を周る。シルフィーナとグランディーネは見えないことをいいことに、あっちへふらふらこっちへふらふらしていたようだ。たまに耳元で気になるものを聞いてくるので、それに答えたりしながらぶらぶら。
「お昼どうしようかな」
シルフィーナとグランディーネがいるのでお店で食べるわけにはいかない。そうなるとファーストフードをお持ち帰りにして車の中で食べるのがいいかもしれない。
今いるショッピングモールは三階建てになっていて、一階は食料品売場と個別店舗が入っている。二階には、こちらも個別店舗が多数入っていて、他にはフードコートがある。そして三階は屋内駐車場になっていて、私はそこに車をとめている。
フードコートには、ファーストフードのチェーン店が入っているのでそこで買うことにする。シルフィーナとグランディーネの二人には食べたいものを相談して選んでもらった。
「えっと別にいいけど食べ切れるの?」
「大丈夫よ」
「よゆうですわ~」
二人が選んだのは、倍やビッグと名のつく物だった。食べ切れるのかなとは思ったけど、今までの二人を見ていると余裕で食べ切れそうだ。私は無難にセットの物を選んでおいた。
◆
「マウンテンバイクが届くまではのんびり過ごしましょうか」
そもそも急ぐ必要はないので暫くはのんびり過ごそうと思う。
「二人はあっちの世界にいなくてもいいの?」
なんとなく気になって聞いてみた。あえて気にしないようにしていたけど、シルフィーナとグランディーネみたいな妖精って数が少ないように思える。まだ異世界歴は長くないけど、二人のような妖精って他に見たことがない。
そもそも神であるアレクシア様と直接やり取りできるシルフィーナは特別な存在だと思われる。そしてそんなシルフィーナと同僚と言っていたグランディーネも特別な存在なのだろう。そんな二人がこちらの世界に長い間滞在していていいのだろうか?
「わたしがいなくても風は吹き世界を巡るのよ」
「大地はすべてをうけいれますわ~」
「わかるようなわからないような。まあ大丈夫ってことね」
二人とも頷いている事から、問題はないのだろう。仮に何かがあればあちらの世界に行った時にアレクシア様からシルフィーナが怒られるだけかな。
のんびりするためにはじめたキャンプだったけど、神様のアレクシア様やシルフィーナと出会ったことで思いがけない生活になっている。魔法が使えるようになったりグランディーナとの出会いもあった。
どうやら私のソロキャンプ生活は、当初の思惑と違いずいぶんと騒がしくなりそうに思えた。だけどこれはこれで悪くないかな。





