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未開異世界ソロキャンプ ~旅とキャンプとのんびりスローライフ~  作者: 三毛猫みゃー


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第17話 魔法の威力を上げてみよう

「わたしを置いていくなんてひどい!」

「ほんとーにごめんなさい」


 翌朝家の中をいくら探してもシルフィーナが見つからず、もしかして誘拐でもされたのかと思い焦った。だけどよくよく前日の事を思い出してみると、片付けをしなかったために寝ているシルフィーナの事が目に入らず忘れてしまっていたことに気がついた。


 今更焦っても仕方がないと思いなおして朝風呂に入る。そこからは手早く朝食という名の謝罪の品を用意して異世界へ向かった。テントから外に出ると、ぷりぷりとほほを膨らませて怒っているシルフィーナが待っていた。その傍らにはのほほんとしたグランディーネもいた。


「まあお怒りはごもっともだけど、まずは朝食を食べましょう」


 どうやらグランディーネがある程度片付けを済ませてくれていたようで、燃えていた薪などはなくなっている。驚いたのは食器や焼き肉に使った網がきれいになっていたことだろうか。


「これってどうやったの?」

「姿形が変わったとしても鉄や土でできたものは大地の恵みの一つですわ~」


 そう答えたグランディーネ。なんとなく言いたいことはわかるのだけど、どうしたらこうなるのかなどの原理は全くわからなかった。まあ、きれいになっているのならなんでもいいか。


「グランディーネも片付け助かったわ。ありがとう」

「ビールというものをいただいたお礼ですわ~」

「朝ご飯いっぱい作ってきたからグランディーネも食べてね」

「いただきますわ~」


 持ってきたバスケットの蓋を開けてサンドイッチを取り出す。


「ほらほらシルフィーナも朝ご飯食べよ」

「も、もう、オトハがそこまでいうなら」

「いらないならグランディーネと二人で食べるけど?」

「誰もいらないなんていってないわよ」


 サンドイッチは一度大きいのを作ってから、シルフィーナたちにも食べやすいサイズに切り分けている。具材は定番を取り揃えている、たまご、ツナ、レタス、チーズ、ベーコン。朝の短い時間で作ったにしては十分だと思う。


「どうかな?」

「おいしいよ」

「おいしいですわ~」

「それなら良かったわ。飲み物は紅茶を入れてきたから、少し熱いから気をつけて飲んでね」


 ペットボトルのキャップを二つ置いて、そこに熱々のミルクティーを入れる。私も自分の分をマグカップに注いで、ふうふうと息を吹きかけてから一口飲む。サンドイッチは結構な数を作って来たのだけど三人で食べきってしまった。


 途中シルフィーナたち用に切り分けていた分がなくなり、私が自分で食べる用に作っていたものを分けてあげた。シルフィーナとグランディーネの二人で、私と同じくらいの量を食べていた。あの小さな体にどうすればあれだけの量がはいるのか不思議で仕方がない。


 まあ、テレビでも女性の大食いをやっている番組を見たことがある。その女性もどこに入るのだろうってくらい食べているので、それと同じようなものなのだろうか?



 朝食を食べ終えたところで、昨日ほったらかしにしていた片付けを始める。焚き火台はグランディーネのお陰できれいになっているので、折りたたんで収納ケースに入れる。


 昨日使った食器類もきれいになっているのでそのまましまっていく。ローチェアとローテーブルはそのままにしておく。一通り片付けが済んだので森の方へと移動する。


「よーし、それじゃあ魔法の練習をはじめましょうか」

「オトハはもう魔法を使えていると思うけど?」

「もう少し威力をあげたいのよね。前は発動することだけに集中していたから。前にシルフィーナが言ったように魔力を多く使って威力を上げるイメージをしてみるよ」


 まずは一度作ったイメージをショートカットとしてまとめた呪文を使ってみる。


「水の矢」


 手のひらから水の矢が飛び出して行き、対象にした木へと当たる。威力は相変わらず弱くて木に少しの傷を付ける程度。今回はこの水の矢の威力を上げるためにイメージを作っていく。


「さてと、どうアプローチしていけばいいかな?」


 シルフィーナは使う魔力を増やせばいいと言っていたので、試しに使用する魔力を今の倍使うようにイメージを変えてみる。


「水の矢」


 使った魔力は倍になったけど見た目は変わらない。飛んでいく速度も変わらないと思う。そして着弾した場所を見ても威力も変わっていないように見える。


「魔力を多く使ってみたけど何も変わらないのだけど」

「そうなの?」


 シルフィーナも首を傾げている。


「オトハ〜。それだけじゃあだめですよ~」


 グランディーナがほわほわーとしながら話しかけてきた。


「どういうこと?」

「使った魔力を利用してあげないと意味はないですわ~」

「もしかして、使った魔力量におおじて何か私の方で指定して、その魔力を使用しないと意味がないってことかな?」

「そうですわ~」


 そうなると思いつくのは大きくするか数を増やすといったところかな? 試しにまずは大きさを大きくするようにイメージしてみる。水の矢を作り出して飛ばすのに使う魔力と、追加で増やした魔力を水の矢の大きさを変えるのに使用するようにイメージをする。


「水の矢」


 次に打ち出された水の矢は、最初に作り出した水の矢の三倍ほどの太さになっていた。矢というよりも杭の大きさになった水の矢は最初の物と変わらない速度で飛んでいき木に当たった。


「矢から杭になったからか、威力は上がっているみたいね」


 木に穿たれた傷は最初の水の矢よりも深く広くなっている。


「そういえば大きさを変えても飛んでいく速度は変わらなかったよね」

「そう見えたよ」


 シルフィーナにも飛ぶ速度が変わっていないように見えたようだ。大きさが変わればそれだけ空気抵抗や重力がかかって速度が落ちると思ったのだけど、そうではないようだった。


 もしかすると水の矢を大きくする方に魔力を使わずに、飛ばす速度の方に魔力を使うようにイメージするほうが威力が上がる気がする。試せばわかることなので、今度は速度よ早くなれーとイメージをしてみる。


「水の矢、っと、はやい」


 思っていたよりも水の矢が飛んでいく速度が早くなった。ただ単に早くなれとイメージしただけで、どれくらいの速度でという部分は考えなかったことが良かったのかもしれない。水の矢が出たと思った瞬間、目標にしていた木に着弾していた。


「今のはすごかったね」

「びっくりしたわ~」


 シルフィーナとグランディーネも驚いている。着弾した木を確認してみると木がかなり抉れている。これくらいの威力があるなら魔物に遭遇してもなんとかなるかもしれない。

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